テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
二人は、未来の悲劇を回避するために、具体的な行動を起こそうとした。
しかし、その矢先、タイムスリップの真相が、さらに複雑な形で明らかになった。
ある日、奨はマンションの自室で、未来から持ってきたはずのない、一枚の古い写真を見つけた。
それは、デビュー前の練習生たちが写っている集合写真。
だが、そこには、未来では存在しなかったはずの、もう一人の人物が写っていた。
その人物は、奨にそっくりだった。
そして、その写真の裏には、奨の筆跡で、こう書かれていた。
「奨、蓮を守ってくれ。お前が未来を変えるんだ」
奨は、混乱した。
自分は、なぜこの時代に戻ってきたのか。
未来の自分は、なぜ、もう一人の自分を過去に送り込んだのか。
そして、この世界で、もう一人の自分が、どこかにいるのだろうか?
蓮も、奨の異変に気づいた。
「奨くん、どうしたの?」
「…もしかしたら、俺が過去に戻ったのは、俺自身の意思じゃなかったのかもしれない」
二人の愛は、たった一人の「預言者」によって守られているのではなかった。
それは、もっと大きな、そして複雑な運命の糸に、操られていたのかもしれない。
奨は、未来の自分から送られたメッセージを信じるしかなかった。
「蓮を守ってくれ」。
この言葉が意味することは、未来の蓮に、何か恐ろしいことが起こる、ということだ。
そして、その原因を解決するために、奨は過去に送り込まれた。
奨は、蓮に写真を見せた。
「見てくれ、蓮。多分、未来の俺が、俺をここに送り込んだんだと思う…」
蓮は、写真に写るもう一人の奨の姿に、息をのんだ。
「…じゃあ、この世界にいる俺たちは、一体何なの?」
蓮の問いかけに、奨は答えられなかった。
彼らがいるこの世界は、未来の記憶とは微妙に違う。
それは、奨がタイムスリップしたことで、すでに運命が変わってしまったからなのか。
それとも、この世界は、未来の奨が作り出した、もう一つの可能性の世界なのか。
奨と蓮の愛は、もはや二人の関係だけではなかった。
それは、時空を超えた、二人の奨の意思によって、守られようとしているものだった。
そして、彼らは気づいた。
タイムスリップの鍵は、写真に写る、未来の奨が持っている。
彼を見つけ出せば、すべての謎が解けるかもしれない。
二人は、未来の悲劇を回避するために、そして、自分たちの存在理由を知るために、タイムスリップの謎を解き明かすことを決意した。