テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
『続き』
「俺のこと、そんなふうに思ってたの?」
潤也の声がまだ耳の奥で響いている。
「そ、それは..その… 。あれだよ。」
「あれってなんだよ?」
僕は目をそらして、手の中でぎゅっと拳を握った。
「……僕に構ってよ、」
言いながら、胸が痛かった。
本当は怒ってるんじゃない。悲しいんだ。
「僕のこと、見てくれてないって思ったんだよ…?」
潤也は黙って、じっと僕を見ていた。
いつもと違う、なんだか痛そうな顔。
「……直樹。」
潤也は僕を強く抱き締めた。痛いくらいに。
「ッ….ちょ!?///」
「……俺のいちばん大切な人は….」
僕は少しだけ息を呑んだ。
「直樹に決まってんじゃん。」
「…照れるし。急に..なんだよ、!」
「….許してくれない?」
「….許す。」
潤也は肩を落として、弱々しく笑った。
「んー…可愛い。」
潤也は僕の頭を両手でくしゃくしゃとすると、僕の顎を無理矢理掴んで目を合わせた。
「でも、もう嘘はやめる。これからはちゃんと、直樹と向き合う」
僕は少しずつ、涙があふれてきた。
「……僕も、潤也…お兄ちゃんのこと、嫌いじゃない」
声が震えたけど、嘘じゃない。
潤也とちゃんと話せたのは、初めてだった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!