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ミケは困ってしまいました。だってせっかく来たのに、何もせずに帰ってしまってはつまらないのです。けれど、帰り方もわかりません。困り果てたミケを見かねて、ペーターが声をかけます。
「あの……大丈夫?」
心配そうな顔をして、ペーターは尋ねてきました。
「うぅん、だいじょばないわぁ~!!」
思わず叫んでしまいました。
するとペーターもびっくりして叫びます。
「ど、どうかしました?」
「あっ、ごめんなさい。ちょっと考え事していただけだから気にしないでちょうだい」
取り繕いましたが、内心焦りまくりです。
「でも、本当に大丈夫ですか? 顔色が悪いように見えますけれど」
心配してくれるなんて良い人ですね♪
「ありがとう。私は平気だから安心して」
笑顔で応えると、ペーターは更に大きな溜息をつくのです。
「はぁ~~~」
それから、ふと思い出したように呟きます。
「ああ、でも。もしかしたら……。。。いえ、なんでもありません」
気になるわねぇ……。
「それよりも、ほら。帽子屋さんがいなくなってしまいましたし、探しに行きましょう?」
確かに、いつの間にかいなくなっている帽子屋のことが心配です。
私は彼を探しに行くことにしました。
*******
***
しばらく歩いていると、向こうの方から歩いてくる人影が見えてきました。
あれこれ悩んでいると、ペーターが再び声をかけてきます。
「あの……もしかして本当に迷い込んで来ちゃったとか?」
「ううん、違うわ。私はただ、ちょっと観光に来ただけですから」
慌てて否定します。
するとペーターは納得してくれたようで、「ああ、なるほど」と言ってくれました。
良かったです。これで一安心ですね♪ でも、ミケちゃんはまだ諦めきれません。
どうにかして元の世界に戻れないものかと必死になって考えます。すると―――
(あっ!)
そうだわ!! あの手があったかも!!!
「ねえ、ペーターさん。鏡のある部屋を知らない?」
「鏡の部屋……ああ、知っていますよ。案内しましょうか?」
ペーターは気さくに言ってくれました。親切な人みたいです。
「ありがとうございます!!」
こうして二人は一緒に鏡があるという部屋にやって来ました。
そこには大きな姿見があって、その中には美しい女の人が映り込んでいました。
「姉さん…….. 」
思わず呟いた瞬間、その姿見の中に吸い込まれるようにして消えてしまいました。
後にはただ静寂だけが残されていました。
ミケちゃんは無事に元の世界へと戻ってきました