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#異世界転移
花月夜れん
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#執着
さぶれ
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都築七美
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四月の終わり頃。
僕は、駅のホームで電車を待っていた。そんな時。
「すみません。階段はどこですか?」
背後から、声をかけられた。
僕は振り返り階段がある方向に指を向け、
「あっちに行けばありますよ」
と伝えた。
でもその僕に声を掛けた彼女は、白杖を持っていた。彼女は目を閉じているわけではないのに、どこか遠くを見ているようだった。
僕は戸惑いながらも、
「えっと、案内するよ」
「ありがとうございます」
彼女は、ほっとしたように笑った。
僕は彼女の歩く速さに合わせて、ゆっくり進んだ。
「ここ、段差あるから。気を付けて。」
「あ、はい」
「そろそろ階段あるから。」
「分かりました」
階段を上り終えると、彼女は深く頭を下げた。
「助かりました。」
「いや、別に。」
「お名前、聞いてもいいですか?」
「え?」
「駄目ですか?」
「……朝倉。朝倉湊だよ。」
「……朝倉くん」
彼女は、その名前を確かめるように口にした。
「私は白瀬灯です。」
その時。電車が到着する。
風が僕たちの間を通り抜けた。
「じゃあ、また。」
僕がそう言うと、彼女……白瀬さんは笑った。
「また、会えるといいですね」
その声が、なぜかずっと耳に残った。
コメント
1件
読み終えました。駅のホームという日常の一場面なのに、白杖を持つ白瀬さんと湊くんの間に流れる空気がとても繊細で、胸がぎゅっとなりました。特に「お名前、聞いてもいいですか?」の問いかけに込められた、彼女の“見えない相手と確かに繋がりたい”という静かな願いが響いて。何気ない「また」の言葉が、次にどう転ぶか気になって仕方ないです。藍碧さんの距離感の描き方、とても好きです。