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私
の名前は「真白」。年齢は19歳、職業は高校生兼アイドルです!……自分で言ってて恥ずかしいですねこれ。
あーもうっ!! どうしてこんなことになっちゃったんでしょう!? えっと確かあれは──。
***
「ねえねえ、聞いた?」
「うん。また出たらしいね!」
教室内の女子たちが小声で話している声が聞こえてきた。
(また出たんですか?)
「ほら、あの『怪人』だよ」
「そうそう。今度は三人組だってさ。こわ~」
「でもあいつらっていつも三人じゃない?」
「うーん。そうなんだけどさぁ。なんか今回は一人だけ見たことない人が混じってたって言うんだよねぇ」
「マジ? じゃあそいつが一番強いってことじゃん!!」
「そっか。今までは二人だったもんね」
「うん。だから早く捕まえてほしいよね。うちらも危ないし」
「ほんとそれ! あたしらみたいな一般人が狙われたらひとたまりもないよ」
そこまで聞いて、わたしは席を立った。
怪人というのは、この辺り一帯に出没するようになった謎の怪物たちのことだ。
その姿を見た者はいないと言われているけれど、噂によると彼らは人間の姿をしていて、人間を食べるのだそうだ。
そしてその被害に遭っている人たちがいるということも知っている。だが、それは仕方がない事なのだと割り切っている部分もある。
なぜならば、そうしなければ自分は死んでしまうからだ。
死ねば元の世界に戻ることはできないのだ。
自分の命が一番大事だという気持ちはある。
ただ、それと同じくらい周りの人間たちのことも大切に思ってもいる。
しかし、どちらか一方しか選べないというならば、間違いなく前者を選ぶ。
そういうタイプだと自覚している。
だから自分が異世界に連れてこられてしまっても、それなりに冷静に対処できていると思う。
もちろん元の世界に帰りたいと思っているが、無理なものは諦めている。
この世界で生きていくしかないのなら、精一杯頑張ろうと思っている。
ちなみに、家族とは離れ離れになってしまった。
なので今は一人暮らしをしている。
そんなわけで、今の状況を受け入れることに抵抗はないのだが……
正直に言って、やはり納得はできない。
なぜこんな目に遭わなければならないのか。
どうして自分だけなのか。
他にも同じような境遇になっている人がたくさんいるのだろうか。
いや、そもそも他にどんな人達が巻き込まれてしまっているのだろうか。
様々な疑問は尽きないが、とりあえず今一番気になっていることといえば、なぜこの異世界に呼ばれたのかということである。いや、それを考える前にまず自分が何者なのかということを知らねばならないのだが……。
しかし、いくら考えてみてもそれらしい答えが出てくることはなかった。記憶喪失なんてよくある話だが、それにしても自分の名前くらいは思い出せるはずだ。
「うーん……」
そこで、僕は改めて周囲を見渡した。
そこは、僕が住んでいた部屋とはまるで違う場所だった。
壁は土色だし天井も高い。そして何より、僕の目に映った全ての物が巨大であった。
ベッドの上に起き上がった状態で見回しているにも関わらず、視界に入るほとんどのものが遥か上空にあるのだ。その光景を見ていてふと思ったのだが、どう考えてもこの部屋はかなり天井が高い位置にあるようだ。それにこの部屋の床には絨毯が敷かれているのだが、自分が寝ていたベッドの大きさと比較すると随分小さい気がする。まるで子供が使うような大きさなのだ。
(ここはどこなんだろう?)
そんな疑問を覚えつつ身体を動かそうとするものの、全身に全く力が入らないことに気付く。そればかりか自分の意思に反して瞼が落ちてくる始末だ。仕方なくそのまま目を閉じてしばらく横になっているとようやく意識がはっきりしてきたようで、今度は今の状況について考え始めた。