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吉田視点
「はぁ…」
身体が重く歩くスピードがいつもより遅い。理由はわかっている。太智からキスされて、俺が太智の話も聞かずに否定して。あの時の太智の表情がずっと頭に残っていて全然寝れなかった。
無意識に口元に手がいく。昨日、太智からキスされた感覚がまだ残っている。
「なんで太智は俺なんかに…」
太智のことは好きだ。初めての俺のファンで、初めての友達で、実はアイドルで。俺にとっては特別な人。だけどそれは親愛としてで恋愛としては見てなかった。…見てなかったはずなのに…
「わかんねえよ……」
「何がわかんないの~?」
「困ってるなら俺たちが話しきこか~?」
「…えっ、うわっ!?佐野さん、曽野さん…」
「もうー!舜太で良いって言ってるのに!」
「俺も勇斗で良いって!それより何かお困りですか?」
急に後ろから現れた佐野さんと曽野さんはニコニコと笑顔で。今の俺にとっては太陽を直視しているようでとても眩しく見える。
自分で抱えられないものは人に話すのが一番いいことくらいわかる。わかるが、男同士の恋愛、それも自分たちのメンバーの事を聞かされるのは嫌すぎはしないか…?
「いや…でも……聞いてて楽しい話じゃないし…それに二人ともどっかいくんじゃないの?」
「今日は集合まで時間あるし全然仁人の話聞く時間位取れるよ。それに友達が困ってる時は力になるのは当たり前じゃん」
「そーそー!まだ知り合って日は浅いけど俺たち仁ちゃんの事大好きなんよ!仁ちゃんの力になりたい!」
「…ありがとう…勇斗、舜太……」
「「名前!!」」
「ふふっ、なんか変な意地張るのもおかしいなって。…それじゃあ話すけど本当に聞きたくなかったらすぐ止めて。……太智のことだから…」
「……太智の…」
それから俺は昨日のことを話す。勇人と舜太は驚いた顔をしたが、何も口を挟んでこなかったため俺は話をつづけた。
「大智とそんなことが…」
「わかんねえの。太智のことは好きだよ。でもそれは親愛でさ。それに太智はアイドルだし、アイドルに熱愛何て一番ダメでしょ。それにこんな俺を好きっておかしいよ、俺なんもしてないのに。あっ、もしかして俺揶揄われてるのかな。なんかの罰ゲームとか」
自分でも何を言ってるのかわからないまま、早口にいろんなことを口走る。そう、太智にとってあれは遊びで俺は遊ばれてただけ。そう思い込もうとしたとき頭にズドンと痛みが走る。
「いっ…!!何すんだよ勇斗!」
「仁人、それ以上太智の事悪く言うな。アイツがそんな奴じゃないってことくらい仁人ももうわかってるだろ?」
「~~!!わかってる!!わかってるから困ってるんだろ!!」
太智はなんにでも全力で、喜怒哀楽もわかりやすくて、でも人が嫌がることは絶対しない優しい人だ。そんなの知り合ってからずっと感じてる。
「仁ちゃんはさ、だいちゃんからキスされてどう思ったの?嫌だった?」
「…吃驚した。なんで急にキスしたのかとか、アイドルが何してるんだとか。…けど」
「けど?」
「嫌だって気持ちが一切湧いてこないの。おかしいじゃんこんなの」
「おかしくないよ。人を好きになる気持ちにおかしいなんてことはないんだから」
「舜太……」
「っしゃ!なら後は仁人の気持ちを伝えるだけかー!」
「…でも俺もう太智と合わせる顔ないよ。太智の話も聞かずにひどいフリ方したし…」
「うーん、どうやって顔合わせるとかは後で考えるとして!とりあえずごめんなさいのメッセージ送ったらええんやない?まずは謝らんとなんも進まんわ!」
「わ、わかった…」
震える指でなんとか送信ボタンを押すとと同時に太智からも同じようなメッセージが届き思わず声が出る。そこには謝罪の分と共に「会って話したい」との文も。
「え、すごめっちゃタイムリーじゃん。二人とも考えることは同じなのかもね」
「仁人今日の予定は?」
「今日は社長さんと話し合いだけ。午後からはフリー」
「おっ、うちの社長とか!それなら今から行くのって事務所?」
「うん」
「ちょうどいいわ。今日俺たちも事務所で撮影だからそれ終わったら太智と話す?」
「話せるなら、それがいいけど…」
「わかった!なら撮影が終わったら隼ちゃんと一緒に太ちゃん連れていくね!仁ちゃんは空き部屋で待っててもらう?」
「うーん、空いてる部屋貸してもらうか。まあ事務所行って聞いたらいいだろ」
「そこまでしてもらうのは…!」
「いいの。俺たちも太智と仁人がギスギスしてるのはつらいし、こういうのは早めに話さないとどんどん話せなくなるもんだからな」
「……うん、ほんとうにありがとう…俺、ちゃんと太智と話すよ」