テラーノベル
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私と恵は寄り添って、ピッカピカのバッグが陳列されてある棚を見る。
「恐い。社会人の一か月分の給料より高いバッグ」
「恵、生々しい事言うのやめなよ……」
「そこ、ヒソヒソしない」
涼さんはビシッと突っ込みを入れたあと、店員さんとフレンドリーに話しつつ、恵に似合いそうなバッグを見繕ってもらう。
私と恵は、色んなバッグを見せてもらいつつ、ヒソヒソと相談する。
「あんまりちっちゃくても、物が入らないよね。長財布ってでかいし」
「んだ。私、いざという時の救急セットとかも持ち歩いてるから、こんなお洒落でちっちゃいバッグは無理だわ……」
「女子ぃ~、ヒソヒソしないで堂々と意見言ってぇ~」
涼さんはオネエのように言い、私たちの意見を店員さんに伝える。
「えっと、防犯の意味も込めて、上がちゃんとファスナーとかで閉じる奴がいいです」
「んだ。あと、汚れが目立たない奴で、手で持つと忘れちゃう可能性があるので、肩掛けできる奴」
涼さんはそれを聞き、英語でペラペラと翻訳していく。
あまり派手すぎる柄や色もちょっと……という事で、最終的に決定したのは、私も恵も同じモノグラムのバッグだ。
私はラインナップ、恵はスピーディ・バンドリエール30ソフト。
(やっと決まった……)
ホッとしていると、涼さんが猫なで声で尋ねてきた。
「ね~ぇ? 恵ちゃんにこのキャップ似合いそう!」
そう言って彼は、本体は黒で、つばの部分がちょっとレオパードっぽくなっているキャップをスポッと彼女に被せた。
「なんなら俺もおそろで似合いそう!」
涼さんは恵と二人で大きな鏡の前に立ち、ニコニコしている。
「じゃあ、朱里はこっちどうだ?」
尊さんはつばの部分にモノグラム柄、本来にも黒地に地模様のモノグラムがあるキャップを被せてきた。
「……か、可愛いですけど……」
「俺はシンプルに黒キャップでいいかな」
「すみませーん! 俺、こっちのハットも買っとくね!」
涼さんはデニム柄のモノグラムハットも手にし、「白と黒もいいね」と呟いている。
私と恵は無言で目を合わせ、「始まったぞ……」と諦めの表情をしていた。
そのあと暴走した彼らは、オーストラリアは今冬なので、マフラーや手袋、サングラス、私たちにカチューシャ、シュシュ、ヘアクリップにヘアゴムも選び始める。
「……こうなるって分かってたよ」
「そうだねー」
私たちはお店のソファに腰かけ、ご満悦でお会計しているメンズを見守る。
どうやらやっぱりカード会計になるらしく、カジノで儲けた現金は、空港で買い物をしたあとに、余ったらドカッと寄付ボックスに入れるらしい。
セレブのやる事は規模が凄い。
「すげぇ荷物っすね」
恵はすっかりやる気を失った顔をして、ボソッと突っ込む。
「大丈夫! 荷物は俺が持つからね!」
「そうじゃないっす」
荷物とスーツケースはチェックアウトしたあとだけれどホテルで預かってもらい、私たちはいよいよヘリコプターに乗るため、ヘリポートに向かう。
この辺りはグリーン島へのクルーズや、ヘリコプター、またはセスナでの空の旅などを売りにしているため、そのような施設が多くある。
グリーン島に向かうツアーでは行きは空で、帰りは海からというのもあるそうだ。
ヘリコプターやセスナも、グレートバリアリーフを見学するだけのコースや、キュランダのほうの熱帯雨林までグルッと回るコースもあるらしい。
「うわー、ヘリコプターって人生初めて乗ります」
ヘリコプターは、機体によって搭乗できる人数が異なるけれど、最少で三人、最大で六人ぐらいがチャーター機の基本らしい。
今回は定員五名の機体なので、四人で乗る事ができた。
少人数でツアーに臨む時は、相乗りになる事もあるんだとか。
私たちはヘリコプターの前で記念撮影をしたあと、中に入る。
飛行機と同じで、スマホは電波を発する物だから機内モードにしておく。
ちなみに飲食もNGで、撮影はグリーン島で大活躍したGoProならOKらしい。
ヘリコプターの後ろ半分のシュッとした部分は、小さいローター(プロペラ)が高速で回転するのでとても危険らしく、後方には近づかないでくださいと指示を受けた。
ヘッドセットを装着したあと、しげしげと操縦席を見るけれど、飛行機では勿論見られないので、物凄く新鮮だ。
飛行機よりずっと小型という事もあり、フロントガラスというかが、グワッと広くて圧倒される。
ガラスは一番前の席に座って、脛ぐらいから真上以上まで広がっている上に、左右も見回せるようになっている。
私たちは公平になるように、後部の四席に座っているけれど、一番前に座ったら物凄い迫力なんだろう。
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