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「贄になることはとても幸せなことなのよ」
この村は神への奉仕を大切にしていて、毎年神へ贄を出している。
今年は僕……ではなく、僕の親友のアイビーが贄に出されることになった。
僕はそれがあまりにも嫌で、嫌で嫌で仕方なくて、
毎夜寝付けない程だったので村のおばさんにこうして言ってみたのだ。
まぁ、話にならなかったが。
「いい?神様への贄になるというのは、神様の一部になるということなのよ」
神様は人殺しの村を守ろうとはするのだろうか。
贄に出しているという名の人殺しではないか、こんなの。
「分かった、分かったからおばさん。いつも聞いてるよその話。もう耳にタコができる」
「はいはい。でもね」
「だから分かったってば、少し静かにしてよ」
「全く……本当にわかったのかしら」
本当は全然分かってないし、納得もしていないけど。
この村には多分、何を言っても無駄だろう。
「僕、アイビーに菓子をあげに行くから。またね」
「はいはい。いってらっしゃい」
今日は久々に村に親切な商売人が来て、甘納豆を分けてくれた。
甘納豆はアイビーの大好物だから、喜んでくれるといいな。