北校舎の教室を使う水曜日の一限では、いつも窓際の席を選ぶ。
春には桜、夏には新緑、秋には銀杏、冬には寒椿。
窓枠に切り取られた景色が、一枚の写真のような色濃さで視界に写る。
俺は教室に入ると、真っ直ぐに窓際の一番後ろの席へ向かった。
荷物を置いて椅子を引く。
鞄から教科書を取り出す手を止めて、しばしその景色に視線を据えた。
ほんのり橙色に色づいてきた。
季節が変わろうとしている。
今日もこうして眺めている内に、あっという間に授業が終わるのだろう。
まだ頭が起きていないのか、我ながらやけに詩的な感想だなと思っていると、突然ガタンッ、と大きな物音が立った。
驚いて、一気に引き戻される。
「わー、ごめん!」
慌てたような声が降りて来て、顔を上げた。
「あ」
思わず声が出る。
「おはよー」
外気を伴って、バタバタと席に着く彼女が俺に顔を向*******
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