【冒頭モノローグ】※乱歩視点
目が覚めた時、隣にいるはずの男の名前が、出てこなかった。
命が助かった代償として、あの男が俺の“記憶”から削れていた。
だけど心臓だけが、叫んでいる。
「何か大事なものを、忘れてる」って。
【場面:病院/3日後】
乱歩は治療室で目を覚ます。身体は回復傾向にあるが、ポオに関する記憶が曖昧。
福沢(見舞い)
「……あいつ(ポオ)は、お前のために全てを使い切った。今、昏睡状態だ」
乱歩(ぼんやり)
「……誰?」
【場面転換:ポオの夢の中】
ポオは昏睡状態の中で、自分自身の記憶と対峙している。
そこには、幼い頃から抱えていた孤独と、“乱歩”という光の幻影。
ポオ(夢中)
「君だけは、消えないでくれ……」
【異変:ポオの異能が暴走しかける】
昏睡中でもポオの異能《モルグ街の幻影》は乱歩を求めて暴走しかける。
周囲に強制幻覚が広がり、病院全体に“ポオの記憶の世界”が投影される。
乱歩がその影響を受け、無意識のうちにポオの過去を見せられる。
【記憶と感情の衝突】
乱歩は幻覚の中で、何度も自分がポオに手を差し伸べていた記憶を目撃する。
そのたびに心が締めつけられる――「名前も知らない男に、俺はこんなに……?」
そして、最奥の記憶。
「お前を死なせたくないんだよ!!
……俺にとって、お前が――たった一人の“救い”なんだよ!!」
――乱歩は、涙を流して座り込む。
乱歩(心の声)
「誰だ……お前は、誰なんだ……
なのに……なぜこんなに、胸が痛ぇんだよ……」
【病室:乱歩、ポオのベッドに手を伸ばす】
ゆっくりと、昏睡するポオの頬に触れる。
乱歩(小さく)
「頼む……思い出せない俺を、怒ってくれ……もう一度、笑ってくれ……ポオ……」
その瞬間、ポオの指がかすかに動く。
【クライマックス:共鳴】
乱歩がポオの名前を“心で”呼んだ瞬間――
ポオの異能が乱歩の意識に完全リンク。
二人は精神世界で邂逅する。
【精神世界:再会】
幻影の中で、乱歩とポオが対面する。
ポオは涙を堪えながら微笑む。
ポオ
「忘れてもいい。全部、またやり直せばいい。
君が“今、俺の前にいる”――それだけで、俺はいい」
乱歩(泣き笑い)
「違ぇよ……俺はお前を、忘れたくなんかなかった……ッ!」
ポオ(手を差し出す)
「じゃあ――
また、最初から。俺を好きになって」
乱歩、その手を強く握る。
【リアル:二人、同時に目覚める】
病院のモニターが警告を鳴らす。
だが――同時に、二人の目がゆっくりと開く。
ポオの第一声。
ポオ
「おはよう。名探偵」
乱歩、涙を浮かべながら。
乱歩
「……遅ぇよ、ポオ。
お前が戻ってこねぇなら、俺が“死にかけた意味”がねぇだろ……」
【第6話ラストモノローグ:乱歩】
たとえ名前が消えても、顔が思い出せなくても――
俺の中に、あいつの“声”だけは残ってた。
それだけが、
世界で一番、うるさいほどの愛だった。
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