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午前10時過ぎ。
静まり返った室内、カーテンは閉じられ、わずかな隙間から日差しが差し込む。
「午後から出勤で良かった」
すちはそう呟きながら、裸のままベッドに腰を下ろした。
その膝の上、みことがぐったりと身体を預けている。
「……だって……朝から……また、なんて……」
「朝だから、だよ。昨日のこと、まだ身体が覚えてる。すごく、あったかいね」
指で優しく撫でると、みことの脚が小さく震えた。
すちはスマホを操作し、あの動画を再生する。
画面に映る、昨夜のとろけたみことの顔。
そして、その中から聞こえる、みことの喘ぎ声。
『──や、だ……っ、すち……そんな、の、また……っ』
「ほら。昨日、どんなふうに感じてたか、覚えてる?」
「……やだ……やめてよ……それ、もう見ないで……っ」
「だって、今から──これと同じこと、するんだよ?」
すちは画面をベッドサイドに立てかけ、
片手でみことの腰を持ち上げながら、自分自身をあてがう。
みことの中は、すでにぬるく、柔らかく、すちを受け入れる準備ができていた。
昨夜何度も満たされたばかりのそこは、少し開き気味で、すちの指を覚えているかのように反応する。
「……っあ、や、また……ふ、っ……」
ずぶ、っと深く差し込まれた瞬間、みことの口から切ない声がこぼれた。
「──ほら、同じ動き、してみよっか」
画面の中の自分が腰を揺らされるタイミングと、すちが現実で揺らす動きがシンクロする。
みことは混乱する。
自分の中で起きている快楽と、画面の中で泣いている自分の顔。
それが、ぴったりと重なって──
「や、やだ、こんなの……映ってる、のと、同じで……っ、」
「なに? 恥ずかしい? ……でも、昨日の声と今の声、どっちも同じぐらい可愛いよ」
すちは腰を深く沈め、根元まで押し込むと、
動画の中のタイミングと完全に一致するように、抜いて、また押し込んだ。
『すちっ、すち……っ、もう、むり、っ、いっちゃう……っ』
現実の中でも、同じようにみことの目が潤み、震えた声が漏れる。
「──みこと。いま、動画の中の“お前”と、“今の”お前、どっちが気持ちいい?」
「わかんない……っ、わかんないよ……っ、でも、気持ちいいの……っ」
「そう。じゃあ、もっと混ぜてあげる」
すちはみことの背中をぎゅっと引き寄せ、
画面の中でみことが絶頂を迎えるタイミングに合わせ、さらにピストンを強める。
「ほら、あと5秒……動画の中の“お前”がイく瞬間に、イってみて」
「っ、や……っ、そんなの、無理……っ、あっ、あ──ああぁっ……!」
画面の中でみことが果てた瞬間、
現実でも、みことの身体がびくびくと跳ね、快楽の波に飲まれて崩れた。
「……すごい、ちゃんと同じタイミングでイけたね」
「──……やだ……っ、すち……やだ……っ」
みことの頬を伝う涙は止まらなかった。
体は熱いのに、心の奥だけがつんと冷えて、
揺さぶられるような羞恥と快楽と愛情の全部が一気に胸を突いて、どうしようもなく涙になって溢れていた。
すちは、動きを止める。
そして、ベッドサイドで再生されていた動画の音声を、そっと止めた。
静寂が、ふたりの間に落ちる。
「……意地悪しすぎたね。悪かった、ごめん」
そう言って、ゆっくりと腰を揺らしながら、みことの涙を唇で吸うように拭った。
優しく、何度も、柔らかく──
「みこと……大丈夫。怖いことなんて何もないよ。ここは、俺とお前だけの場所だよ」
甘く囁いて、そっとキスを重ねる。
押しつけるでも、深く絡めるでもなく、
本当にただ、唇をそっと重ね、啄むように何度も何度も──
「……ん、すち……」
みことの声が、涙まじりにこぼれた。
「……ちゃんと、ここにいるよ」
みことの脚を包むように抱き寄せ、
すちは奥深くまで、ゆっくりと自分を沈めていく。
浅く、小刻みに動かすたび、柔らかくて熱い中がきゅう、と反応して、
みことの瞳がとろけていく。
「ん……っ、や、だめ、すち……そんな……ゆっくりなの……せつなくなる……」
「……せつない、の?」
「っ……うん……っ、や、もっと……、ついて……」
唇を離すと、みことは切なげな目を向けてきた。
熱と涙で濡れた瞳。
艶やかに色づいた唇から、こぼれる声。
「──もっと……いっぱい、ついて……っ、して……」
その言葉に、すちは喉の奥を震わせた。
たまらなくなった。
「──もう、止めないから……」
一瞬で腰の動きが変わる。
さっきまでのやさしさはどこへやら、
ぐっ、と深く突き上げられ、みことの身体が跳ねる。
「あ──っ! すちっ、まって……でも、すき……っ、すき、すち……!」
「……全部、俺のせいで泣いて、求めて……っ、誰にも見せない、みことの顔……」
肌がぶつかる音、みことの喘ぎ声、熱と粘膜が絡み合う淫らな音。
心も体も、すちの愛に溺れながら、
みことは何度も何度も、壊れそうになるたびに「好き」を叫んだ。
___
「あ……ぁ……っ、すち……」
果てたあと、みことの指先がわずかにぴくぴくと震えていた。
腕の中で蕩けるように崩れた身体を、すちはそっと抱きしめる。
ベッドの上には熱と湿度と愛の痕跡。
乱れたブランケットと濡れた肌。
みことの髪が額に貼りつき、頬は赤く、目元にはまだ涙の跡が残っている。
すちはそっとみことの頬を撫でる。
「……泣かせすぎちゃったね」
みことは首をふる。
「……ううん、いやじゃなかった、よ……。ただ、なんか……胸いっぱいになって……っ」
その言葉に、すちは少しだけ眉を下げ、
そして、ふっと優しい笑みを浮かべる。
「じゃあ、シャワー行こうか」
「……うん」
ベッドから抜け出したすちは、手早くスマホと撮影用の小さな三脚を片づけた。
録画データのアイコンが画面に並んでいるが、今は触れずに、
すちの意識はただ一人──みことにだけ向いていた。
浴室に入ると、すちはみことを そのまま抱えたようにしてシャワーの前に立たせる。
お湯が出る前に、手で温度を確認してからノズルを向ける。
「熱くない?」
「……うん、大丈夫」
細かく調整したぬるめのお湯が、2人の身体を撫でるように流れていく。
すちは後ろからみことを支え、
泡立てたボディソープを手のひらにとると、
そのままそっとみことの肩、背中、腕へと撫でるように洗いはじめる。
「すちの手……あったかい……」
「お前の身体が冷えないように、してるだけ。昨夜から、ちょっと乱暴にしたから」
手のひらがみことの腰を撫で、お尻を丁寧に洗い流していく。
触れるたびに、くすぐったそうに震える。
「ここ、赤くなってる。……ちょっと、腫れてるかも」
「っ……だって、すち……いっぱいしたから……」
「……次は、もうちょっと優しくするね」
みことは、小さくうなずいた。
すちは優しくシャワーをかけながら、
濡れた髪をすくって、みことの額にキスを落とす。
「……みこと、可愛すぎて……俺、ほんとにどうにかなりそう」
「……すちがいちばん、だいすき……」
そんな言葉を囁き合いながら、
お湯に包まれて、2人は静かに、心を寄せ合った。
互いの肌に触れながら、
さっきまでの熱を冷まし、
それでもまだ、どこか芯の奥でぬくもりを欲している──
シャワーの音だけが、やさしく響いていた。
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