二人の顔が急接近した、麗奈は目のやり場に困った、ブラックの日本人には絶対いない金色の様な瞳をまともに見返したら、暗示にかかってしまいそうだ
初めて会った時から思っていた、形の良い唇や鼻ぺちゃの自分と違って、まっすぐな鼻筋を意識しすぎて、自分が何を言おうとしていたのかわからなくなる
息を吸うと温かで男らしいブラックのボディオイルの香りが鼻孔を満たす
「もう・・・書類を書くのにどれだけ時間を・・・」
麗奈が怒って書類から目を離し、ブラックの顔を見た、しかしブラックは麗奈の後ろの大きな鏡が施されている壁をじっと見つめていた、険しい表情をして鏡を見つめたまま、ピクリとも動かない
「ブラ・・・」
「しっ! 」
ヒュっという風と共に目に止まらぬ速さでブラックが椅子から飛び起きて、麗奈に襲いかかった・・・と思ったら麗奈を抱えて受付デスクの下へジャンプした
それと同時に背後で機関銃の銃声の音が店内に響き渡った
ズガガガガガガガーーーーーーーーッン
「キャー――――――ッッ」
店内の煌々と灯されている蛍光灯が一気に割れて、破片が雨のように降って来た
「ヒィッ」
うなりと人の叫び声が店内に所狭しと響いた
割れたガラスの音
唸り声や叫び声
子供の泣き声
子供がいるの?
あたり一面火薬の匂いに包まれ、割れた蛍光灯が消えたせいで薄暗くなった店内
「騒ぐな!」
男が店にいる客と銀行員全員に向けて銃を振り回して叫ぶ
「今のは宙に向かって撃ったが、みんな両手を上げろ!非常ベルなんか押してみろ!今度はここにいる全員皆殺しだからな!」
机の下に隠れた麗奈はブラックに口を押えられていた
押さえられなくても恐怖とショックで身動きできない
麗奈は目を見開いて思った
―どうしよう!銀行強盗だわ!――
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