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判っているのかいないのか、ナッキが答えた瞬間にハタンガ村を囲んだ岩や針葉樹、中洲の先の砂地に繁茂した葦(あし)や萱(かや)の間から、無数の人影、人間と、熊や鹿、猪などの大型の野獣、そして人より少し大きめなトカゲに翼を着けた様な、言うなれば小型の竜、ドラゴン達が姿を現したのである。
姿形の違いは有れど、現れた者達は一斉に恭順の気持ちをそれぞれに可能な姿勢で顕(あらわ)した。
人型の者は判り易く傅(かしず)き、竜、ドラゴンは大きく広げた翼と頭部を地に付け、獣たちは揃ってヘソテンで忠誠の意を表したのである。
「じゃあ、皆よろしくねぇ!」
ナッキのお気楽な声にその場に居た全員が声を揃える。
『マラナ・タ』
こうして北の大勢力、水生生物と大型の陸生生物、空を駆ける竜種の混成勢力、『メダカの王国』は誕生し、私が生きる現代まで、圧倒的な力を持って海に川に湖に沼に、人が生きられぬ高山や遥か地底の奥にまで勢力圏を維持しているのである。
奇(く)しくも北欧の水の精霊王と同じ名前をつけられた小さな小さなギンブナは、一所懸命に頑張った結果、誰よりも大きな君主となった、と言う訳だ。
いや、今回の観察は思い掛け無いビックリ箱が満載であった。
特にプライベートな意味において色々複雑な思いを抱いてしまったが……
しかし、個人的な感想以外では収穫が多い観察であったと言えるだろう!
ティターン、古き神々として覚醒したナッキとサニーは、これまで見た事がなかったスキルの複製、そんな事を配下達と相互に行っていた。
それに、進化の枝分かれの順番…… スキル効果や複写が劣化するだけではなく、変態ナガチカの『繁殖者(ブリーディング)』をも跳ね返して見せた『進化の壁』も初めて認識できたのだ。
善悪とコユキの観察時には思いも寄らなかった規則性があるのかも知れないな……
生命力イコール魔力……
何かが引っ掛かるが、その事を熟考するのは、この観察を一旦終わらせてからとしようか。
仲間たちも不安そうな顔でこちらを見守り続けているようだし、何よりナッキとサニーがそろそろ限界のようだ、終りにしよう……
今回もお付き合い頂き、心底から感謝に絶えない事この上ない。
この回での観察は多分に個人的な葛藤を吐露してしまった事は自覚している、真に申し訳なかった。
さあ、観るべき物は全て観た、の、だろうと思う。
ここまでお付き合い頂いたオーディエンスの皆様には感謝しかない。
さて…… 次の観察は私の生きる時代、皆さんからすれば遠い未来の時代の事となる。
今しばらくお付き合い頂ければ嬉しい事この上ない。
私は|幸福《コウフク》|聖邪《セイヤ》、人々、魚々、様々な生き物の生き様を観察し、時に経験を一にする者である。
P.S. 時に自分の遺伝子に疑問を抱く者でもありました…… はあぁ~……
観察の五 続・メダカの王様 了