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昼。
いつもより少し遅い時間。
——ピンポン。
インターホンが鳴る。
クールキッドが顔を上げる。
「にいに?」
「……だろうな」
セブンが立ち上がる。
ドアを開ける。
エリオットが立っている。
「来たぞ」
軽く手を上げる。
「……ああ」
短く返す。
中に入る。
クールキッドはすぐに反応する。
「にいに!」
ぱっと顔が明るくなる。
「元気だな」
エリオットは軽く頭を撫でる。
そのまま部屋を見る。
いつも通り。
でも——
セブンの様子が少し違う。
「……何かあったか」
すぐ気づく。
「……」
セブンは少しだけ黙る。
それから。
「……苦しいって言われた」
そのまま言う。
一切の装飾なし。
そのまま。
一瞬。
エリオットが止まる。
意味を理解する。
想像する。
そして——
「……はは」
普通に笑う。
隠さない。
「……笑うな」
セブンの声が低くなる。
でも怒りきれてない。
エリオットは肩を揺らす。
「いや、そりゃそうなるだろ」
「……何が」
「力入れすぎ」
即答。
「……加減が分からない」
正直に言う。
エリオットは少しだけ目を細める。
「まあ、だろうな」
納得したように頷く。
「で?」
少しニヤッとする。
「ちゃんとやり直したか?」
「……してない」
「じゃあ失敗したままじゃん」
軽く言う。
「お前、不器用すぎ」
セブンは何も言い返せない。
事実だから。
「……」
少しだけ沈黙。
それから——
エリオットが一歩近づく。
「じゃあさ」
軽い調子で。
でもどこか楽しそうに。
「俺もぎゅーして」
ぽん、と言う。
「……は?」
セブンの動きが止まる。
完全に想定外。
「練習」
エリオットは平然としている。
「……ふざけるな」
低く返す。
でも。
即拒絶じゃない。
迷いがある。
エリオットは肩をすくめる。
「子ども相手だけだと分かんねえだろ」
理屈っぽく言う。
「大人で試せ」
セブンは黙る。
一理ある。
でも。
「……お前でやる必要はない」
「他にいないだろ」
即返し。
逃げ道を潰す。
「……」
セブンはしばらく動かない。
クールキッドはそのやり取りを見ている。
少し面白そうに。
「パパ」
「……何だ」
「やって」
無邪気に言う。
完全に流れに乗っている。
「……」
逃げ場がなくなる。
セブンは小さく息を吐く。
「……一回だけだ」
低く言う。
エリオットが笑う。
「はいはい」
そのまま、少し腕を広げる。
受け入れる姿勢。
「……」
セブンが近づく。
動きは相変わらずぎこちない。
でも。
さっきとは違う。
少しだけ、意識している。
力。
距離。
触れ方。
ゆっくり。
軽く。
抱き寄せる。
「……」
数秒。
静か。
エリオットはそのまま。
何も言わない。
それから。
「……うん」
小さく言う。
「今のは大丈夫」
評価。
シンプル。
セブンはすぐに離れる。
「……こんなものか」
「そんなもん」
エリオットは頷く。
「最初より全然いい」
クールキッドが近づいてくる。
じっと見る。
「パパ」
「……何だ」
「いまの、だいじょうぶ」
同じことを言う。
でも。
少しだけ嬉しそうに。
セブンはわずかに目を細める。
「……そうか」
短く返す。
それだけ。
でも。
昨日より、確実に前に進んでいる。
エリオットはその様子を見ている。
少しだけ満足そうに。
「な」
軽く言う。
「やればできるだろ」
セブンは何も言わない。
でも否定もしない。
クールキッドはそのままセブンにくっつく。
今度は自然に。
セブンも、少しだけ腕を動かす。
さっきより、ちゃんと。
加減して。
包み込む。
「……」
小さく、静かな時間。
でも。
確実に変わっている。
ほんの少しずつ。
#見捨てられた
リコりす@コメントくれ
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