大地の疑問。それは雫の障害がないことだった。地震が起こる2ヶ月前、雫は交通事故に遭い1ヶ月間意識を失っていたほどだ。なのに今は普通に動いたり話したりしている。桑木も農家なんてやっていない。この世界は何か変だと大地はあの不思議な事が起こりふと思い出したのだ。現実とは全く違う世界なのかもしれないと。その日から大地は少しこの世界を怖く感じた。その日の夜大地は怖くて眠れないため外へ出た。すると、大地の目の前の道を歩いている女性が大地に話しかけてきた。
「すいません!ここって震災の仮設住宅でいいんですよね?」
と。大地は
「はい。大丈夫ですよ。」
と答えた。
「はあよかったあ最近地震が多くて道がわからなくなったんですよ。崩れているから。だから私の職場から2時間ぐらい掛かりましたよ〜」
「それは災難でしたね…それでなぜここへ来たんですか?」
「少し、取材に来まして…この震災のことを記事にまとめたいんです。現地ではこういうことが起こっていることを。」
「はあ…俺でよかったらお話しましょうか?」
「いいんですか!?じゃあよろしくお願いします!」
「はい」
そう言い、大地は自分の家へ案内した。
「ここでいいですか?姉がいるんですけど…まあokしてくれると思うんで。」
と大地は説明し、居間のテーブルの前の座布団に座った。
「どうぞ!座ってください」
と優しい声で女性に言った。
「ありがとうございます!!」
そう言い座布団に座り、メモ帳を出した。
「じゃあさっそくいいですか?」
「はい。いつでも」
「では…お名前をうかがいたいのですがいいですか?」
「はい。いいですよ俺の名前は西条大地って言います。そういえばあなたの名前は?」
「ああ…私は週刊報道(しゅうかんほうどう)に勤めている、和田亜美(わだあみ)といいます。」
「ああよろしくお願いします。」
「はい。こちらこそこんな夜分にすみません。」
「いえ。なんか怖くて眠れなかったのでちょうどいいですよ。」
「そうでしたか。では1つ目の質問です。地震が起こった当時のことを言える限りで構いませんので教えて下さい。」
「えぇまあとても強い横揺れでしたね。そのせいで家は全壊、両親は亡くなりました。偶然外にいた俺達姉弟は生き残りましたけど…。」
「両親は亡くなっしまったんですね…」
「はい。俺がその情報を聞いたのは地震が起き3日後でした。知人から聞いたんです。避難所にいた俺達姉弟に教えてくれました。」
「その時はどう思いましたか?」
「ん〜そうですね〜姉は泣いてました。まあ当然ですかね。でも俺はその時驚きが強かったですね。受け止められなかったというか。その時の夜に突然なんか泣いてましたね。その時初めて受け止めたんだと思います。亡くなったっていうのを。」
「そうですか…。仮設住宅に来るまではどんな生活でしたか?」
「水、ガス、電気。ライフラインは全て止まっていたと思います。でも仮設住宅ができる数日前には完全とまではいきませんが回復はしてきていたと思います。復興してきているんだなあと思いました。仮設住宅が完成し、住み始めたときはライフラインは完全に近かったと思います。まあ今でも食料とかは少ないですけどね。」
「そうですか…。色々大変なことがあったんですね。私も幼い頃に地震にあったんです。あまり記憶はありませんが避難所での食料は少なかったりなどは幼い自分でもわかりました。なのでこの仕事に就いたんです。今回起こった地震もそうですがこの経験を後世に残していかないといけないと思ったので。それで記者になって地震の現状等を取材し、その事を世の中に広めないとと思ったからなんです。」
「…。俺もこの地震経て思ったんですよこの記憶を後世に残していかないとなって。でも、自分ではできないじゃないですか。こんな状態になっちゃ。あなたみたいな人がいて俺、安心しましたよ。」
「はい…ありがとうございます。」
その後、和田は乗ってきた車にのり車中泊をしたらしい。一方大地はまだ寝れずにいた。なにか変だとずっと思っていた。布団にもぐり目を閉じた。その時、煙の匂いが外の方からしてきた。その匂いに気がついた大地は急いで外に行き、様子を見に行った。すると姉弟の仮設住宅の隣の仮設住宅から火が出ているのが見えた。
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