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自己責任と念の為、センシティブつけてますが、話自体はセンシティブでは無いです。
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「ワシはもう空には帰れない。飛び立つ雛鳥たちを見て、折れたワシの翼は地に這いつくばって…それを羨ましくも恨めしく見る」
「それは違うよ。ヴァンさん」
その後の言葉を紡ごうとしているウェスカーだが、口を開き、思い直すかのようにその口は言葉を発さずに閉じられた。
カラン、と氷が熔けて、美しい音色のように2人の静寂を埋める。
「ウェスカーさん…時々貴方は残酷だ」
「ヴァンさんが望んだくせに…要らないもんね?都合のいい好敵手なんてさ」
カランカランと、ウェスカーの言葉を誤魔化すのようにヴァンダーマーはグラスのウイスキーを揺らした。
「確かにそうするために、ウェスカーさんをワシのいや…MOZUという鳥籠にいれた。そして…貴方もワシの元から飛び立った」
「それはどうかな 」
ニヒルの笑みを浮かべてウェスカーは、ヴァンダーマーの方を見た。ヴァンダーマーは何も分からないと言った表情で、訝しげにウェスカーを見つめ返す。
「鳥籠はまだ健在だよ」
その言葉の意味に気づいたヴァンダーマーが静かに笑った。あのMOZUのボスがこのような表情を見せてくれるのは、ロスサントス中でも自分に対してだけだと、ウェスカーは嬉しくなる。
ウェスカーもヴァンダーマーも見えていた。2人を囲む鳥籠もその鍵を誰が持っているのかも……
鳥籠の中で2人の影が重なり合う。
んっ…
艶めかしい声が二人しかいない空間に響いた。
「ヴァンさん、急にはやめてよ」
「それでは、ウェスカーさん。今から貴方に接物をしてもいいですか?」
「敵わないな…」
鳥籠の中で2人の影がまた重なった。