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数年前━━━━━━━━
━━━━━擂鉢街
そこに2人は居た。
2人はマフィアだった、、
中原零、その齢14。
痩せ型で14の少女にしたら少し高い身長。
赭色の髪と青色の瞳が人の目を惹く。
その美貌はお墨付きだ。
外に出る時は毎日傘を持ち歩いている。
彼女曰く日差しが苦手らしい。
身にまとっている服は殆どが黒色で統一されている。羽織っている黒色のコートは彼女の身体に対して少し大きい気もする。両手にはめた黒色の手袋は何かと悪の雰囲気を醸し出しており、チョーカーの金具、ネックレスについている指輪、耳についたピアスに脚に着けた一丁の拳銃と銀製のナイフは日が微かに当たり鈍く光っている。
幼い少女でありながら、
ポートマフィア幹部補助という立場に立つ。
その立場は伊達では無い、
この1年足らずで立てた功績は一つや二つのみでは無い。
彼女の資料見たものが自分は夢を見ているのかと己の目を何度も疑う程だ。 そして今零が腰に提げている刀、神刀 十六夜·夜桜蕾は鞘が黒と金の2色とシンプルながら刀身は桃紫色と変わった色をしているうえ、柄に比べて通常の物よりも長い。この神刀は他の神刀の能力や異能者を含む能力者の能力を阻害する特性をもち、この刀を腰に提げている零はそう見ることは無い。
彼女、零の傍に立つ者もまたポートマフィアの一員であった。
太宰治、その齢15
1年前、ポートマフィア前首領の最期を偽装する為に森鴎外が招いた俗に言う懐刀である。
頭には黒い蓬髪、額には白い包帯。大きすぎる黒背広を羽織った、痩せた小柄な少年。
2人はお互いに好意を抱き数ヶ月前から付き合っている。見た目はどこにでも居るような少年少女だ。
しかし本当は、常人には理解出来ぬほどの頭脳の持ち主達だ。2人を知ろうとすれば逆に自分が飲まれ、全てをを見透かされる。
周りの人間は2人を忌み恐れている。
「2人の中に眠るのは底の無い闇だ。」
2人と行動を共にした者、2人を知っている者は皆そう答える。
そんな2人は擂鉢街の下り坂を歩いていた。
傘を差し、周りを見回しながら零が言った
「此処が擂鉢街…森さんに頼まれたものの、なんて言うか………」
「大丈夫?」
心配そうに太宰は声をかけた。
「うん」
はっとしたように零が答えた。
そして───
「ねぇ治…ひとつ問い質したいんだけど、」
「うん?」
太宰が疑問じみた声で聞き返した。
「私がマフィアに入った時、貴方自分が幹部だと言ってたけどあれは嘘だったのかな?」
笑顔で零が問う
あ、と思い出したように発しハイと気まずそうに答えた。
それを聞いた零は表情を変えずどうでもいいかの様に
「あっ、そ」
と言った。そして今までの会話を忘れたように、
「てかさ、森さんの人の扱いの荒らさは相変わらずの悪さだね。」
と手に持っていた本を開きながら言った。
「なんの本?」その本を覗きながら太宰が問う。
「好きな文豪の小説だよ」本を閉じ指で表紙を撫でながら言った
「ふーん…」目を細めながら言った。
零は本と傘をしまった後、懐から煙草を取り出し火をつけ吸う。
「ふぅ…」と言いながら煙を吐く零、太宰は 「思うのだけれど、煙草ってどんな味がするの?最近よく吸っているようだけど美味しいわけ?」と零い問いた。そんな太宰を横目で見てから零はまた吸い軽く吐く、 そのまま空いていた右手で太宰のネクタイをつかみ引き寄せ顔を近付け───────────
─────────────「期待した?」と揶揄う口調で笑いながら言った。火照った顔を手で隠すように覆う太宰を横目に───残念ながらまだお預けだよ、と手をヒラヒラさせながら歩きまた煙草を吸う
その瞬間ブーブーと零のスマホからバイブ音がした。出てくるねっと言おうとした瞬間──────スマホが割れ太宰が横向きに飛んだ、、、その時聞こえたのは『よぉ』という少年の声だった。
「なんで今かな…向こうの世界の方が良かったかな……」と小声で呟きながら後ろを向く零。
「羊の王──」そのまま銃を取り、
銃口を声の主に────中原中也に向ける
「あ?」とひとこと言った後立ち上がり零の方へと歩き始める。額を銃口にあたると─やってみろよと一言、そのまま異能で重さを変え落とそうとした中也だったがまるで何も無いように銃口は額にあたっている。
──残念だったね中原中也さん。否、『兄さん』 そう言って零が笑う。
「は?俺を兄だと?」ここで初めて中也は動揺した声をあげる。
「まさかこんな場所で会えるとは思いもしなかったよ」零の顔は笑顔のままだ。中也の真横を横切り太宰がの元へと向かう零
「痛たたた…」太宰は頭と口から血を流してきた
「ドジ」とだけいい傷を治す零「動かないでね。これは俗に言う兄妹喧嘩だ」そんな真剣そうな零を眺めながらわかったよ、と太宰
「まさか敵対しての再会とはね…ちょっと最悪だけどね」
「手前ぇが俺の何を知る」
「まぁ少ないよね小さい時に離れちゃったし」
「俺は手前の事なんざ知らねぇ。そんな初対面のやつに兄呼ばわりされんのは癪でな」そういうと戦闘態勢に入る中也
「まぁ、わかってはいたけどこうなるよね」
そういうと二人の戦いが始まった。
黒い閃光──────
異能のポテンシャルは零の方が優勢だが戦闘のポテンシャルとしては中也が優勢だ
────あまり使いたくないんだけどなぁ
そういうと零は刀を抜いた。そう、零の所持する神刀 である
中也が笑う。そして「こいつは使うしか無さそうだな」と言うとポケットにしまっていた両手を出した
「兄さん、残念だけど異能も知能も私の方が上だよ」零はいつもの様な、闇の底のような目で実の兄中原中也を見た
「そりゃ忠告どうも」と余裕そうな言い方の中也 ──はぁとため息をつくと刀をしまってしまう零
「あ?舐めてんのか手前ぇ」と怒りを見せる中也を横目に何かを呟く零
異能力────「
その瞬間2人が感じたものは殺気に似ても似つかぬ完全な圧だった
「これでもやる?」と明るい口調で聞く零
無言で戦闘態勢を解除する中也に、未だに目を見開いている太宰
ありがとっと言った後地面に座り込む零、直ぐに同じようにする中也、それを見守る太宰
「さてと、何年ぶりかな?こんなにも激しい喧嘩をするのは」
「ふざけんじゃねぇぞ。俺の妹は10年よりも前に生き別れになった、今じゃ死んだことになってる」
「その言い方信じてないな」とムスッとした顔をする零。今まで見たどの顔より否、どんな零よりも幼い、普通の少女に見える。
「ならさ、このチョーカー覚えてる?」と零は首につけていたチョーカーを外して見せた
「4歳の誕生日にさ、その時の私はさ背が低かったから少しでも大人に見せたくて、どう考えても似合わないチョーカーをさ兄さんとお揃いにしたいって母さんたちに駄々こねて買ってもらってさ毎日肌身離さず着けてさ…」そう語る零の目には涙が溜まっている。
「その後すぐだよね。研究者達に拐われて、離れ離れになっちゃってさ、、、また、食べたいね母さんが作ってくれた干し柿」笑いながらも涙を流す零。それを見た中也は
「本当に、ほんとうに手前ぇなのか?零…嘘じゃないのか?」信じられないものを見たように動揺しながらも確認する中也。その目には大粒の涙。
「ねぇ兄さ────そう言いかけた時中也の喉に白い光が走った。その光に沿って首のチョーカーは切れ喉から外れる。地面に落ち乾いた音を立てる。
零が状況を整理し焦るまでの一瞬零の中の何かがプツンツと音を立て切れた…そして零が ─は?と言うのと光が戻り中也が勢い良く吐血するのが同時だった
「…にい、さん?兄さん!!」そう叫び走り近寄る零
「兄さん!兄さん!返事して!!」そんな叫び声が辺り周辺に響く中、傷口からは鮮血がドバドバと溢れ続ける。すぐ側には逆光で顔は分からない人影「零!彼に回復術を!」太宰のそんな叫び声に気付きすぐさま回復させる。だが出血が多すぎて気は失ったままであった。そんな中也を抱き上げ太宰の側へ置く。
────兄さんを頼んだよ。