────兄さんを頼んだよ
そういう零の目は、
心配と同時に決心したような目をしていた。
「駄目ッだ、零…」目を覚ました中也が言う
「ごめんね兄さん、無理だ」零の目の闇は更に深まった。
「治、貴方にはキツイかもしれないけどこの人から兄さんを守って」
──────零が人に頼むうえ、こんなことを言うか…相当な相手なんだな
「ねぇ、なんで今になって来るわけ?貴方とは3年近く会ってないはず。今更来る理由が無い。」
『今更来る理由がない?何を言っている。今だからこそ会う理由があるのでは無いか』長身の人影がそう答える。
「どういう意味?」そう聞き返す零
『ずっと探し続けていたんだ。そしてやっと見つけた。』
「なるほどね」太宰は納得したように言う
「?」「マフィアの情報網でも漁ったんだ。そうすれば誰がどこに所属しているか把握出来る」ほぉ、と納得したように言う零
『説明してもらっているところ申し訳ないが』警戒する太宰と眺めるだけの零
『マリア、ちゃんと学校とか行けてるか?ご飯食べれてる?』心配そうに聞く人影
「うん、やっぱりこうなるよね」と呆れたような反応の零、呆然とした太宰、完全に目が点な中也。
───異能力
そう唱え人影に酷似した姿になる零。そのまま人影の前に立ち、太宰達のいる後ろへ振り返る。
「この人はポール兄…じゃなくてポール·ヴェルレエヌ。私の義理の兄で欧州の諜報員。私の義理の兄って言っても兄さんの兄ではないから、うん」親指で後ろに立つヴェルレエヌを指す。
「学校にはちゃんと行ってるし、ご飯も食べてるから用が済んだなら帰って!」とゲシゲシとぞんざいに蹴る零。
「うむ、なら確認もできたし今回は退くとしよう。だが次はこうは行かぬぞ。我が”弟妹”よ」そう言い残し消えるヴェルレエヌ。
元いた場所を意味無く睨む零 「何者なんだ?あのヴェルレエヌって奴は。それに弟妹って」零に聞く中也
「……今知る必要は無い。いずれ知ることになる」少しの沈黙を置き、零はそう答えた。
─────そう、今は何も知らなくても良いの………
コメント
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とても面白くて好きです!