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快晴「着いたな」
美虹に連れてこられた場所は、ナゴミヤ旅館。その旅館の外観は大きな御屋敷のようだった。「女性客が行方不明になる」と不気味な噂が立ってるいにも関わらず、普通の旅館のように綺麗だった。
風太「ここが女の子が行方不明になるって言う噂の旅館か。美虹先輩!俺から離れんといてください!」
美虹「ウフフ、逞しい♡」
快晴「別にその人放っといてええよフウちゃん」
風太「人の心ないんかお前!」
喫茶店で会話している内に、美虹と仲良くなった風太。美虹のコミュニケーション能力が高いので、風太は美虹と直ぐに仲良くなれた。
その時、快晴は視線を感じた。右側を見てみると、岩場の陰からコチラをスマホで撮っている高校生くらいの女の子…影野音奈がいた。白色カーディガンの下にベージュのTシャツを着ている。
快晴「何してるの?」
音奈「ひっ!!あ、あの…ッ!ご、ごめんなさい!殴らないで!!」
快晴が声をかけると、音奈は体をビクリとさせて冷や汗をかき、自分を庇うように両腕を前にしていた。
その音奈の顔や手には最近までの殴打痕があった。
快晴「虐待?」
音奈「ち、違う…!」
快晴の言葉を両手を振りながら否定する音奈。
美虹「どうしたの?お母さんとお父さんは?」
音奈「こ、ここには…来てない…ッで、す…!」
音奈は冷や汗を流しながら吃り気味にそういう。女性が怖いのか、美虹から視線を逸らしていた。
快晴「(……。虐めか。多分、学校の女の子達から虐められとーなあの子)」
「いつの時代も虐めは直らんなぁ」と胸中で嘆く快晴。
その時、美虹が音奈に両手を伸ばしていた。音奈は「ヒッ!」と小さく叫び体をビクリと震わせた。
風太「虐待か?」
快晴「ちゃうらしいで」
美虹「ちょっと快晴君!この子から話を聞いてあげて!」
快晴「はぁ、わかりました」
快晴は気だるげにそう言い、音奈に歩み寄った。音奈は快晴から目を逸らして震えている。
快晴「あの、どうして撮ってたんですか?」
音奈「す、すみません…。ど、度胸試しで…!」
快晴「度胸試し…?」
音奈「お、女の子が行方不明になるって言う曰く付きの旅館に、わ、私一人で行けたら、い、虐めをやめるって…」
快晴「なるほど(多分、虐めはやめへんやろな)」
虐められているであろう音奈を哀れに思いつつ、止める術もわからないので快晴は余計な言葉は言わず、簡単な同調の言葉を吐いただけだった。
快晴「(取り敢えず、旅館の調査が終わってから、この子の両親と話をしよう)」
音奈への虐めについて両親が知っているのか否か快晴にはわからないが、話を聞くだけ聞いてやろうと考えていた。
路郎「いらっしゃいませ。お客様でしょうか?」
快晴がそう考えていると、旅館の自動ドアがひとりでに開き、旅館の中から黒いスーツに抹茶色の茶羽織を着ている男の人が現れた。この男はこの旅館のオーナーで、和水路郎と言う男だった。
美虹「あらヤダイケメンで超イイ男じゃない!♡」
風太「美虹先輩!イケメンちゃうけどイイ男なら俺もそうッスよ!」
快晴「フウちゃんイイ男♡」
風太「お前に言われても嬉しないわ!」
イケメンな路郎を見て頬を朱に染め甘い声をあげる美虹に振り向いて欲しくてそういう風太。そんな幼馴染みの風太の思いを汲み取った快晴が、美虹の代わりに甘い声を出して褒めてやるが、風太は顔を真っ青にして気持ち悪そうな顔をしていた。
快晴「解せぬ」
風太「なんでや!?」
風太の反応に「理解出来ない」と言う快晴。だが風太は両目をカッと見開かせて口を大きく開けて反論していた。
そんな快晴の横にいる音奈は、路郎の端正な顔立ちを見て頬を朱に染めて見蕩れていた。
快晴「(確かに、ほんまイケメンやなあの人)」
女心を持っている訳でもない快晴から見ても、路郎の容姿は整っていた。
路郎「ご予約のお客様でしょうか?」
美虹「あ、はぁい♡雨戸でぇす♡」
美虹は黄色い声をあげながら、甘い声で路郎に言う。その背後で風太が嫉妬心に塗れた顔で路郎を見ていた。
快晴「フウちゃん、女にモテるイケメンアカンもんな」
快晴がそうボヤいた言葉は横にいる音奈からは聞こえていただろうが、音奈は路郎の容姿に見蕩れているだけだった。
路郎「三名でご予約の雨戸様ですね。お待ちしておりました」
風太「なんやねんあの顔の周りにあるキラキラ…!」
美虹「カッコイイー…」
路郎の顔周りがキラキラしているので、風太は頬に青筋を浮かべて苛立たしげな顔をしてボヤくと、近くにいた美虹がうっとりとした表情で路郎を見ていた。
風太「おい快晴!このイケメン野郎が犯人や!!」
快晴「何の事件の犯人やねん?てか、まだ事件すら起こってへんやろ」
路郎を指差して少し離れた所の後ろにいる快晴に、青筋を立てて捲し立てる風太。快晴は呆れた顔をして静かにボソッと風太の言葉を訂正する。
路郎「どうぞ、お入りください」
美虹と風太、快晴に向かって笑みを浮かべる路郎。その時、音奈にも笑みを向けていた。そして彼女に歩み寄る。
路郎「ご予約されてないお客様ですか?」
音奈「はッ!?あ、えッ…えっと…」
路郎が歩み寄り話しかけると、音奈はハッとして頬を朱に染めながら路郎から視線を外した。
路郎「ここで出会ったのも何かの縁です。ぜひ、私の旅館で寛いでってください」
路郎は音奈の手を取って人の良い笑顔でそう言う。音奈は更に顔を赤くして「あわわ…ッ!」と言いながら首を縦に振って何度も頷いていた。
路郎「ありがとうございます」
音奈「あ!い、いや…ッ!違ッ…!」
路郎「旅館のお部屋は沢山ありますから、お寛ぎください」
端正な顔をした路郎に優しく背中を押されエスコートされる音奈。路郎の優しい微笑みを向けられ、男慣れしていない女子高生の音奈は胸が大きく脈打ち、彼に流されるままに旅館の中に入った。
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桜丸
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