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予約客として旅館に入ると、受付の場所に金髪の男と同じく金髪の女がお互いにキスをしていた。
風太「お前ら何処でしよるねん!部屋でせェよ!!」
顔に青筋を立てて捲し立てる風太の低い声を聞いた金髪のカップルと思われる二人は、鬱陶しそうに風太を見た。
肩にかかるくらい長い金髪の男…『羽渡志土《はわたりしど》』。背中まで伸びた金髪の女…『五泉莉來《ごせんりら》』。二人は恋人同士で、この旅館にデートしに来た。
人がいなかった事をいい事に、キスをしていた所を偶然風太や快晴、美虹が見かけていた。
風太が注意していたが、二人はキスをやめて鬱陶しそうに風太を見ていた。
莉來「んだよオッサン!邪魔すんな!」
快晴「(口悪)」
風太「口悪!!てか俺22じゃ!」
志土「別に何処でキスしようが俺らの勝手だろォが!なぁ莉來」
莉來「ねぇ志土♡」
風太「うわッ…。恋人相手に声2オクターブ上がるタイプの女やん…」
快晴「フウちゃん三ヶ月前引っかかった女と同じタイプやん」
風太「なんで俺の傷抉る事言うんお前」
路郎「あ、二名でご予約の羽渡様。大変お待たせしました」
快晴の後ろいる高校生の影野音奈の腰を引いてエスコートしていた路郎は、音奈から離れて、足速に受付の方へ歩み寄り、志土と恋人の莉來に軽く会釈をする。
路郎が離れた時、音奈は顔に熱が溜まって、両手で顔を覆っていた。
志土「おっせぇんだよ!!いつまで待たせやがんだ!!」
風太「お前!!待っとる間に恋人とキスしとった癖に何店員にイチャモンつけとんど!!」
旅館のオーナーが来ると、志土は急に上から目線になり、路郎に対して怒鳴っていた。そんな志土の理不尽な怒りに、風太が強い口調で指摘していた。
路郎「申し訳ありません。お部屋を直ぐにご用意致しますので」
理不尽に怒鳴る客の対応に慣れているのか、路郎は端正に整った笑みを崩さずに、志土に静かにしっかりと言っていた。
志土「汚れ一つでも着いてたらSNSでここの旅館の悪口書いてやるからな」
風太「快晴以上の陰湿野郎やんけ!!」
快晴「僕陰湿ちゃう」
風太「てかお前姑が過ぎるやろ!!」
志土の言葉に風太は更に青筋を浮かばせて捲し立てていた。女にモテるイケメンは嫌いだが、風太は志土の理不尽な態度の方が許せない。
快晴「僕はそう言うのはどうでも良いですけど、あまりやらない方が良いと思いますよ?」
志土「あ!?あんでテメェに偉そうに言われなきゃなんねェんだァ!?」
快晴「偉そうには言ってません」
あまり表情が変わらない紫色キノコヘアーの快晴が静かに淡々とした口調で志土に伝えるが、彼はそんな快晴に苛立ち、半ば怒鳴るように言っていた。
そんな言葉を聞いても快晴の表情は変わらずに淡々とした言葉で否定していた。
快晴「店員に偉そうにする人は、熱が冷めた恋人にもそうするタイプらしいので。恋人がいるならコレからは控えた方がいいですよ」
志土「はァ!?恋人と店員は関係ねェよ!!チッ!適当な事言いやがってムカつく奴だァ…!莉來!早いところ部屋に行くぞ!」
莉來「オーナーさぁんかっこいぃ♡ねぇメルアドと電話番号教えてぇ♡」
志土が隣にいる恋人の莉來に向かって来るように伝える。だが莉來は志土の方を見ておらず、恋人の彼の目の前で路郎を逆ナンし始めた。
オマケに机ひとつ挟んで向こうにいる路郎の左側に近寄り、彼の左腕に自分の白くて細い両腕を絡ませた。さっき志土に向けていた甘い声と同じ声で、路郎に話していた。
志土「……」
風太「……」
快晴「……」
快晴、風太、志土は、莉來の行動に驚いて、呆然とした表情をしていた。
美虹「女の子三人落とすなんて、とんでもないオーナーね」
快晴「女の子三人?」
路郎が出てから、その端正な顔で美虹、音奈、莉來を落としていた。そんな路郎の顔立ちに感心する美虹。
そんな美虹の言葉を聞いて、快晴は冷や汗を頬に垂らしジト目で美虹を見ていた。
志土「お、おい!何してんだ莉來!!浮気とか許さねェぞ!!」
莉來「うるせぇんだよブス!!アンタとは今別れる!!」
志土「あ……え……?」
路郎の腕に両腕を絡ませて、莉來は風太に対する口の利き方を志土にもし始めた。オマケに急に別れを切り出され、志土はまた愕然とした。
路郎「五泉様のご好意、大変嬉しく思いますが、良いのですか?今日は羽渡様とこの旅館にデートでは?」
莉來「いいのいいの!今フッたから!♡だからオーナーさんが莉來の恋人になって欲しいなぁ♡」
路郎「私には、父の遺した旅館の経営を引き継ぐと言う責任がありますが。それでも構いませんか?」
莉來「うんうん!♡」
志土「おい待てよ!!俺ァ許さねェぞ!!」
莉來「別れるっつってんだろ!!早く消えろ!!」
それから莉來は甘い声で路郎と話しをしていた。もう見向きすらされなくなった志土は白目を剥いて固まっていた。
流石に志土を哀れに思った快晴と風太は、彼の右肩と左肩をそれぞれポンポンと慰めるように叩いていた。
快晴「別れるの早すぎww」
風太「笑たるなやお前www」
志土「テメェも笑うな!!」
涙を目に浮かべて口元を緩ませて笑う快晴。 涙を流して大きく口を開けて笑う風太。慰めている行動を しているが、言葉と表情はなんの慰みにもなっていない。そんな二人に向かって志土は鋭い目をして大声で捲し立てていた。
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桜丸
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