結花がするイジメは特殊。私を幼なじみという設定にさせて私自身を困らせる。しかも、ひとりで抱えるような形で。
いつの間にか、このクラスにも取り巻きができてたようだ。
「あのピカキンみた?最新の動画!」
ふゆながルンルンで話す。
「みたみたっ!クレーンゲームしたくなっちゃった
よ〜」
私はワクワクしながら賛成する。
「私なんかYouTube見ないからさ…」
みりんは恥ずかしそうに髪をいじった。
「なんでよぉ!絶対見た方がいいっ!!」
「いや…親が許してくれない」
みりんは困った表情で言った。
こっちで盛り上がってると…
「このっち〜」
嫌な声がして背筋がぞっと凍る。
「結花ちゃん呼んでるから、席離れるね〜」
私は2人に手を振って結花の所へ向かった。
「結花さん…いい加減にやめてよ」
私は思いきって結花に言った。
結花はなんも知らない顔をしてこういう。
「なにを?ただこのっちと仲良くしてるだけじゃん?」
「とぼけないでくれる…!?」
どんどん高まってくイライラが収まらない。
「……何様なの」
結花はいきなり声を低くして言った。
「何様…って…、3年生の頃から結花さんはずっと私を形を変えていじめてくるじゃんっ」
私は声を震わせながらも言う。
「……そんな記憶ないし。勝手に勘違いしないでくれる?」
結花はそっぽを向く。
「今は仲良くしてやってんのにその口調何?もう終わったことでしょ?」
何様というのはこっちのセリフだ。
忘れたフリしやがって…
もう*どうでもいい*わけではないのに。
「……そういう問題じゃない!」
私は強く言う。
「どういう問題よ?まあ、あんた一人で私を説得させるのは無理よ、じゃまたねっこのっち!」
先より鬱陶しい言い方で私に手を振る。
私…ひとりが無理なんて。。
そんなのっ…!!!
私が教室に帰るとふたりが駆け寄った。
「なに話してたの?」
ふゆなは心配そうに聞いた。
「……恋バナとか…」
咄嗟に考えた言い訳を2人に伝える。
「…ふーん、でもあたし達と話すとさ結花さんやってくるじゃん?」
ふゆなは結花を冷たい目で見つめながら言う。
「多分、結花さんはこのはと仲良くしたいんだよ」
ふゆなは口をとがらす。
「そうそう…2人は幼なじみなら結花さんと深く関わった方がいいと思う」
幼なじみ。そんな私の嘘はふたりは信じ込んでしまってる。
みんな…きっとこの言葉に悪意は無い。
ふゆなとみりんばっかじゃなくて結花とも遊んであげたら?と普通な話なのに。
誰にも言えない。ふゆなもみりんも完全に結花と私に騙されている。
私の嘘は誰の役にも経ってない…。
そう思うと罪悪感でしか無かった。
「…そうかな」
私は胸の辺りをぎゅっと掴む。
「そうだよっ、本当は結花さんとペアを組んだりしたいんでしょう?」
みりんの優しさが今はとても複雑でしかない。
みりんは優しい。でも私を傷つけてしまっている。
「……結花さんとたまには組んでみる」
嘘をついて、その嘘に騙されて、そう考えると胸が痛くてとても重い気持ちになる。
こんなこと…していいのかな?
でも仕方ない。
誰にも心配なんてかけたくないから
それからというもの。ふたりの言う通り私は結花とも仲良しごっこをしっかりする。
ペアを組む時は必ず結花のところへ。
中休み話す相手は結花ばかり。
しんどくてたまらない。
その疲れを抱えながら家に帰る。
「ただいま…」
「おかえりっ 」
元気のパールの声が心に染みる。
「最近疲れてるよね、何か嫌なことあった?」
パールの心配に私は首を横に振る。
「…最近運動会の練習があって疲れてるかもなぁ」
また誤魔化す。また嘘をつく。また人を騙す。
そんなの…嫌だ。でも心配はかけたくない。ならしかたない…。
運動会。
夏休み前に行われる大イベント。一生懸命頑張っている。
「運動会かぁ、私も来ていいかな」
パールが私に聞いた。
「いいんじゃないかな、」
パールにも運動会は見てほしい――。
私…がんばるから。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!