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埼玉スーパーアリーナ・開演前
音響チェックも終わり、
会場の明かりがゆっくりと落ちていく。
TREASUREはステージ袖で待機していた。
〇〇も、スケジュール表とインカムを手に
緊張しながら様子を見守っている。
そして、いよいよ開演のアナウンス
その瞬間。
ステージの照明が落ち、
観客の手に握られたトゥライトが
一斉に、黄色に染まっていた。
朝光 (…えっ、なにこれ)
ジェヒョク (え、黄色…?)
〇〇も袖からその光景を見た瞬間、
思わず口元を手で覆った。
〇〇 「……これって…」
それは、数週間前。
朝光がYouTubeでさりげなく言っていた一言
「YELLOWのIt”s loveときに、トゥライトが黄色になる景色も浮かぶんです」
その何気ない願いを、
トゥメたちが拾っていたのだった。
Xで拡散され、
トゥメがTREASUREに向けてのサプライズだった。
1曲目『YELLOW』
イントロが鳴り始めた。
朝光 「トゥメー!!!」
眩しいほどの黄色い海のなかで、TREASUREは輝いて立っていた。
MC
ヨシ「…まじ、これやばいわ……」
ジフン「泣きそうなんやけど…最初から…」
ヒョンソク「……ありがとう、ほんまに」
メンバーが次々に喋ってく。
そして朝光。
朝光 「まず、黄色のトゥライト…ありがとうございます。そんな皆さんのサプライズに応えられるような公演にしたいと思います!」
その言葉に、トゥメたちの歓声がまた一段と大きくなる。
〇〇は舞台袖で、
その景色を目に焼き付けながら、
涙があふれそうになるのを必死でこらえていた。
メンバーがステージに座り、
ラストのトークを終えると、
『BEAUTIFUL』の前奏が流れる。
そしてそのとき、会場から自然に聞こえてきた。
「♪ Beautiful 〜 どんな景色も〜」
トゥメたちの歌声だった。
何万人もの声が、心をひとつにして、
TREASUREに歌を返していた。
ヒョンソクはそれを聞いた瞬間、
目を見開き、口を押えてそして、
涙を流した。
ヒョンソク 「…あかん」
ジョンファン 「ヒョン!ㅎ」
その涙に、トゥメの歌声はますます強くなっていった。
〇〇 「…なんでこんなにあったかいんやろ…」
マネージャーとして、
ダンサーとして、
兄の妹として、
裏方でずっとTREASUREを見てきた
このファンミの最後に、
こんな光景が待っていたなんて。
こらえきれず、〇〇の目からも涙がこぼれた。
ハルト 「ほんまこれが最後の曲なんで、トゥライトだけで、盛り上がりましょう!」
『LET IT BURN』で幕を閉じる予定だった。
でも、トゥメは終わらなかった。
💎 「アンコール!!」
💎 「アンコール!アンコール!」
会場全体が声を合わせ、
TREASUREの名前を叫び続けた。
ステージ袖で、〇〇が焦りながら
スケジュール表を見ていると、
ヨシが笑って言った。
ヨシ 「いける? もう1曲いっとく?」
〇〇 「あと少しなら行けます!」
TREASUREは笑いながら、
もう一度ステージに飛び出していった。
トリプルアンコールまで行われた最終公演は、
歓声と拍手、そして笑顔と涙で包まれながら、
幕を閉じた。
ライブ後・打ち上げ
夜、埼玉のとあるお店。
居酒屋風の店内で、
TREASUREとスタッフ全員で打ち上げ。
ジョンファン 「うまっ!!え、これマジで?うまっ!!」
ジョンウ 「この焼き鳥えぐいって!!」
ジェヒョク 「今日のリハーサル、最初から泣きそうやったしなぁ」
ドヨン「もう、ヒョンが泣いた瞬間アウト」
ハルト 「…あの黄色のトゥライト、ほんまよかった」
〇〇は少し離れたテーブルでスタッフと一緒にいたが、
朝光が席を立って水を取りに来たタイミングで、
ふと隣に座った。
朝光 「…お疲れさん」
〇〇 「うん。お疲れさまㅎ」
朝光 「…泣いてたやろ。BEAUTIFULのとき」
〇〇 「…ちょっとだけ」
兄妹は、言葉がなくても通じるものがある。
ふたりはそれ以上多くは語らず、
ただ乾杯のグラスを静かに鳴らした。
夜・ホテル
メンバーたちは部屋に戻って、
シャワーを浴びたあと、
順番にベッドに倒れ込んでいった。
ジョンファン 「…眠すぎて記憶飛ぶ」
ジョンウ 「明日の帰国起きれん気する…」
ハルト 「お前も寝ろよ、〇〇…もうええって、今日は…」
〇〇はその言葉に、少し笑ってうなずいた。
スマホのメモ帳を開いて、たった一言だけ書く。
「全部が、ほんまに幸せでした」
そして、電気を消した。
〇〇の初ファンミ。
それは、涙と光に包まれた、
最高の最終公演で幕を閉じた。
♡20