━━あぁ、また、これか。
先の見えない、果てしなく長い道。
色のない、何も無い世界。
その道の先に、1人の青年が見える。
歳は…10代後半くらいだろうか。
とても遠くにいるはずなのに
どこからか、声が聞こえた。
恐らく青年の声だろう。
「回って転がって、僕のところに来て。
歩いたり、走ったりすると、
スタート地点に戻っちゃうからね。
いつか、僕のところにたどり着けたら……」
━━ううん、何でもない。
…何回、何十回と聞いた台詞。
ここに来ると、意識が朦朧として
思考がうまくまとまらない。
ぼんやりとした中で、思った。
早く、行かなきゃ……早く…
…………どれくらい、経っただろうか。
転がりすぎて、頭が痛い。
目が回って、視界が揺れている。
はぁ、はぁ、と息を切らしながら
必死に前へ、前へと転がり続ける。
疲れて、途中で休もうとすると
青年の声が何重、何百重にも重なって
不協和音となって聞こえてくる。
「まだ駄目。」
「もう諦めるの?」
「そんなんだから君はいつまでも上手くいかないんだよ?」
……うるさい。
無我夢中で転がり続けた。
ふと気が付くと、目の前に青年が立っていた。
…どうやら、たどり着いたみたいだ。
力がうまく入らない。
青年の袖を掴もうと、手を伸ばした。
その瞬間━━━━━━━、
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