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コメント
4件
私もこのお話好きなので、読めて嬉しいです🙏💕 3人の正常で異常な関係にどっぷり浸らせてもらえました🤤
嬉しい……読めた……しぁわせ🥰 食べたい気分のお二人のお話は待ってたら出てきますか??(それともひっそり自家発電していいやつですか(真顔))
歪形の僕たちはの続き
ずっとなんだか暗いです
病み表現があるかもしれないので
少しでも地雷と感じたら Uターン推奨
センシティブ注意
抱き締めた涼ちゃんの肩にかろうじて引っ掛かっていたシーツがするりと落ちる。
決して華奢じゃない体が、なんだか儚く目に映るのは、色の白さのせいか、この異常な空間のせいか。
少し躊躇したような指の動きを感じ取ったのか
「いいよ、若井」
さわって。
とても静かな声が腕の中から聞こえた。
見透かされたような気持ちになったけれど、今のこの状況で、それを恥ずかしいと思うほど無駄な時間はない。
だから、遠慮なく腕を回して、背にそっと指を這わす。
「…っ、」
小さく息を呑んで、涼ちゃんが震えた。
つい数分前まで元貴の腕の中で、その下に組み敷かれていただろう、その情事の名残はどうやったってすぐには消えない。
じりっと胸のどこか奥のほうが焦がれた。
嫉妬か、劣情か、涼ちゃんの体を案じてのそれなのかは、自分でも区別がつかない。
這わせた指先が腰の辺りまで来たところで、皮膚が歪に腫れている個所をいくつか見つけ、そこを撫でる。ぬる、と滑る感触があり、確認すると少しだけ血が付着していた。
「今日は、なんだか食べたい気分だったみたい」
なんかねえ、色んなところ、食べたいってかじってた。
末恐ろしいことを、涼ちゃんは、くすくすと笑いながら言う。
こんな流れの、こんな言葉は、毎回、同じ。
どうしてこんな酷いこと、とは思わない。思った時期もあったけれど、そう思うことがここでは無駄なんだと、繰り返してきた時間の中で学んだ。
自分の良識は疑って当たり前。
食べたいってかじられた、なんて、まだマシ。もっともっと酷い時だってあったし。
俺の役目は、元貴が行き過ぎないようにするための監視だけど。1時間、その間に涼ちゃんがどれだけの目に遭っていても、それが如何ほどのものか知ることもできないし、止める術もない。知るのはいつだって、全部終わった後。『監視役が外で待ってる』という事実が、元貴の抑止力になるっていう、ただ、それだけ。
その身を粉にする涼ちゃんに比べたら、名ばかりで与えられた役目だ。
だから、元貴に解放された涼ちゃんのもとに行って、涼ちゃんに触れるのが、本当の役目だと思っている。
涼ちゃんが言ったように、名前を呼んで、涼ちゃんを俺の傍に引き戻すことこそが。
例え、その方法が、俺にとっては苦痛を感じることだとしても。
耳元に口づけてから抱き締めていた腕を解く。
額同士を合わせて至近距離で顔を見れば、涼ちゃんも、じっと俺を見ている。
唇同士が触れ合いそうな距離で。
何かを求めるような、訴えるような、そんな瞳が、揺れている。
唇には触れず、涼ちゃん、とその距離で囁いて、頬にキスをして、体にぐっと体重をかけた。
先ほどまで涼ちゃんが沈んでいたベッドに押し戻すように、その体を押し倒す 。
抵抗はなく、呆気ないほどあっさりと、涼ちゃんは俺に組み敷かれた。
「さわってもいい?」
さっきは、傷に触れた。次は、肌に。
元貴に好きにされる涼ちゃんに対して、感情がばかになるほど動いてしまう。
逃げてほしい。壊れないでほしい。その身を捧げないでほしい。そう思って涙が出るのは、俺の独りよがりな考えで、涼ちゃんが求めているのは、そういうことじゃない。
わかっている。
元貴の深く傷ついた闇から溢れる膿を受け止めた体を、他の誰でもなく、俺に、受け入れてほしい。
涼ちゃんの望みは、それだ。
組み敷かれて、どんな時でもその表情を彩ってたふわふわな笑顔はなくて、ものすごく、不安と期待をごちゃまぜにしたような表情をしている。
それは、数分前まで他の誰かに抱かれていたことなんて感じさせないほど、恥じらいのような初々しい色を醸し出していた。
肩、鎖骨、心臓の上、乳首、脇腹、ときれいな歯形が残されているところを順に、傷のない場所もあわせて、ゆっくりと指を滑らせていく。
「は、ぁっ、わ、…かい…っ」
びく、と小さく震えながら微かに声を漏らして、ぎゅっと目を閉じる。
特に、左胸の頂が血を滲ませていて、明らか他よりも腫れていたので親指でぐっと押し潰した。
「ここ、いっぱい噛まれた?」
「っあ!…や、あ、ぁ、だめ…ッ」
覆い被さる俺の腕に額を擦り付けて、体を捩って喘ぐ。
ねえ教えて。と虐めるみたいに尖りを捻り潰せば、腰がびくんっと大きく跳ね、いっぱい噛まれた…っ、と何度も頷く仕草からも余裕は感じられない。
壊していいよ、と元貴に笑って。若井は僕を呼んでくれるでしょ?と俺に笑って。
きっと、俺が涼ちゃんを壊したいって言っても、いいよって笑うんだろう。
演技だなんて思えないほど、僅かな刺激で気持ち良くなって、ひとつひとつの刺激に敏感に反応して、快楽に溺れそうになって体を震わせている。
どれが、本当の、涼ちゃんなの?
きっと、どれもが、本当の涼ちゃんなんだろうけれど、そうやって疑う気持ちを持っていないと、先に俺の心の方が壊れそうだ。
「入れられたの?」
ねえ、涼ちゃん。元貴のを、中に、入れた?
わざと言葉を区切って、耳元で低く囁く。
声を嚙み殺すよう唇を引き結んで、目を閉じた涼ちゃんの頬にぽろぽろと涙が零れたのが見えた。
…演技かどうか疑う、なんてどっちのセリフだよと思う。
元貴に散々好きにされて、きっと、肉体的にも精神的にも色々なものが擦り切れた後、この行為のどこが、涼ちゃんを救うんだろう。
俺の胸中、もう余裕なんて1㎜も無くて、罪悪感でズキズキと心が痛いのに。
もう一緒に逃げようよ、壊れるところなんか見たくないよ、誰にもひどいことなんか二度とさせない、と今すぐに泣いて叫んで抱き締めたいのに。
でも。
それは、正解じゃない。
涼ちゃんが俺に求めてるのは、同情や憐憫じゃなくて、享受と愛染。
それを弁えてないといけない。
「ぃっ…、いれ、た」
知ってるよ、そんなの。
言わせるように仕向けて、言わされたように言って、一糸纏っていない全身を赤く紅潮させて快楽拾って震えてる。
なんでこんな事になってるんだろうという罪悪感。そして、疑念や葛藤、理性なんかと戦っているうちに、その罪悪感が段々と霞むほどの、劣情に支配されていく。
所詮、性の欲望には勝てない。
俺の、地獄の時間は、ずっと終わっていない。
ふぅん、と返事をして、肌の上で指先を滑らせ、両手で涼ちゃんの脚を開かせる。
弾かれたように目を開いて俺を見上げた涼ちゃんの表情は、やっぱり不安と期待が入り混じったそれ。
「俺のも、入れていい?」
俺はどんな表情で、こんなことを言ってるんだろう。
自分で自分のことなのに、よくわからない。
衣服を乱してはいないけれど、中心はもう痛いほど硬く熱を持って主張している。
そこに、そっと涼ちゃんの指先が触れた。
直ではないのに、形を確かめるようにするりと撫でる指の動き。ピクリと反応してしまう。
動作のすべてに反応して、泣いて、言葉で嬲られて喘いでる姿は庇護の対象のように見えるのに、手慣れたように、そうやって誘う仕草をする。アンバランスさに、背筋が冷えるのに、体の奥から熱が上がって、眩暈がしそうだ。
ひとつ落ち着かせようと息をつくと、思ったよりも熱く震えた吐息になった。
「いいよ、わかい」
いれて。
涼ちゃんは少し泣きそうな笑顔でそう言って、目を細めて微かに唇を動かした。濡れた唇の隙間、赤い舌が震えている。
ごめんね。
最後に、伝えるつもりのない、空気だけでそう呟いたでしょ?
わかりたくもないのに、俺は、わかっちゃったよ、涼ちゃん。
そうして、大切なはずの余計な感情を置き去りにして、俺は涼ちゃんを抱いた。
涼ちゃんの生白い脚を肩までつくほど折り曲げ、躊躇うことなく、初手で奥まで突き入れる。
「っ、いゃ、ぁああっっ」
喉をびくんと大きく仰け反らせ、悲鳴のように喘いで、目の焦点が一瞬飛ぶ。
俺の太ももにたてられた爪。かたかたと震える指先が、衝撃の強さを表している。
その衝撃が収まるのも、涼ちゃんの中に熱が馴染むのも待たず、激しく抽挿を繰り返す。
「待っ…ぅんっ、あっ、ぁっ!」
「ね、すごい音してる」
ほら、と腰を緩く回す。
涼ちゃんの奥にある元貴の残滓が俺の熱で掻き回されて、ぐちゃりと粘りの強い卑猥な音を出す。
顔を真っ赤にした涼ちゃんは、いやいやと顔を横に振り、やめてよぉ。と涙を零した。
痛みはない、と思う。
さっきまで、元貴がここにいたんだから。
そうじゃなくても、熱を包む内側は、穿たれる事で得られる悦びを知っているように、蠕動している。
「や、だ…っ、あっ、で、ちゃ…っ」
出ちゃうから、やめて。
抽挿を繰り返して撹拌されたものが、泡立って押し出されるように溢れる。
指で掻き出すことは今まで何度かあったけど、今日はそうしていないから、濁った擬音が厭というほど大きい。
膝に手をかけて、更に脚を開く。
「ぁん、っ、う…ッ、みっ…、見な、ぃ、で…っ」
涼ちゃんが、両手で顔を覆う。
眼下、薄暗い中、全身で快楽を受けいれている姿が影の濃淡で浮かび上がる。
汗ばんだほんのり赤い肌も、熱を銜えているところも、至る所に散らばっている噛み痕も、汗で滲んだ血の痕も、赤い鬱血痕も。余すところ無く、全部が視界に映った。
思った以上に噛み痕や鬱血痕が多くあって、それが際どいところにも数え切れないほど。
それを見て、僅かに残った理性がぶっ飛んで行って、にげて、こわれないで、なんて綺麗ごとが全部、俺の頭からなくなってしまったら。
やっと、この行為の意味が完成される。
もう最高値かと思っていた熱が、更に上がって、脳が沸騰して頭痛がする。
涼ちゃんの中にあるそれが、本能で硬さを増して膨張し、莫迦みたいに興奮していることをまざまざと感じて思わず舌打ちが出た。
膨らんだそれに内壁を圧迫され、涼ちゃんが息を詰める。
「くぁ…ッ、ぅッ…なん、でっ」
なんで、まだ、おおきくなるの?
舌足らずに熱を煽る誘い言葉をよくご存じで。
ねえ、知ってるよ、涼ちゃん。
その恥ずかしそうに赤くした顔を両手で隠して、でも口元は微笑んでるんでしょ?
でも、俺は、知らない。気付かない。それでいい。
「赤ずきんちゃんみたいなこと聞くね?」
大きくなったのは、涼ちゃんの、奥の奥を、突くためだよ。
揶揄するように笑いを含めて耳元で言えば、ばかじゃないの。と涼ちゃんは言う。ものすごく素で出た言葉に聞こえた。
悲鳴のような嬌声も、粘質なぐちゃぐちゃする音も、ぎしぎし鳴るベッドの音も。俺と涼ちゃんの息遣いも、何もかも。
防音室から外には漏れないから、なにも気にしなくてもいい。
元貴の家の、元貴の部屋の、さっきまで元貴に散々好きにされていたベッドで。元貴の匂いが色濃いシーツの上で。
元貴じゃなくて、俺と。
異常なことが異常ではない、この空間。
元貴くらい深い闇に身を投じることもできず、涼ちゃんほど底の無い深い愛情を持つことも出来ない俺は。
莫迦なふりして、莫迦になって、それで涼ちゃんが涼ちゃんでいれるなら、それだけでここにいる意味があるんだと言い聞かせることしか出来ない。
あぁ。本当に。
この、地獄のような、歪んだ時間が
俺は、心底嫌いだ。
おわり
文章があっちに行ったりこっちに来たり。
上手な言い回しができないのに、こういうことなんだよっていう気持ちで文章を書くから、感情が所々に飛んでしまって、いつも、読みにくいなあ、と思ってます。自分で。
なので、読んでくださった方はとても読みにくかったと思います。
それが私の文章のクセだと思いつつ、もう少し、わかりやすく、簡潔に伝えられないものかと。
結局、このお話は誰が誰を好きとか、そういうのではなくて
みんなが、それぞれ罪悪感持ちながら甘えあって欲望には勝てないんだぜ☆っていう。
あと、優しいwkiさんには、ただただ試練なお話でした。
正常であることが異常っていうそういうややこしい設定がすんごく好き。
きっと各々が、各々を特別に好きなんだろうけど、歪んでるからこそ成り立ってるよねーっていう。
(説明下手か)
こういう、真面目な話(私の中では)と、えろいのを混ぜ合わせるのって難しい。ハードルが高い。
多方面に頭下げます
ありがとうございました