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【第一章】開幕
-四大魔道名家-
ガタン,ガタン。
聞き慣れた馬車の車輪が石畳を揺らす音。
ガチャ,バタン。
V. ┊︎「…ヴィクね。」
ヴィク.┊︎「お気づきでしたか。それはそうと,お嬢様が歩かれると,本当に綺麗なスミレの花が咲きますね。」
V.┊︎「流石に気づくわよ。私の今の能力なんて,まだこんなものだもの。それであなたは強力な魔法が使えるのに,何故あまり使おうとしないの?」
ヴィク.┊︎「お嬢様を守る時しか使わないと誓っておりますので。」
V.┊︎「ふふ。あなたはいつでも格好いいのね。でもそんな時なんて来ないかもしれないわよ?私だって魔法を持っているし,それに私,強くなるの。」
ヴィク.┊︎「そうですか。なにか手伝うことがあれば何なりとお申し付けください。お嬢様のお手伝いを心から務めさせていただきます。」
V.┊︎「うふふ,そうするわ。本当に色々ありがとう」
ヴィク.┊︎「…さぁお嬢様。馬車にお乗りください。」
V. ┊︎(あら?どうしたのかしら,ヴィクったら。)
V.┊︎「わかったわ 。****」
私の執事の名前は
「ヴィクトール・シュバルツ」
格好いい響きの名前よね。
ヴィクも没落貴族出身で,こんな格調高い名前を付けてもらっても,こんな境遇になってしまっては元も子もないのに。
でもヴィクには本当に感謝しているの。
私がここまで生きてこられたのも,ヴィクのおかげだから。
私は幼少期,父に虐待されていた。
思い通りにいかないからといって私に暴力を振るっていたの。
朝の紅茶を出すのを少し遅れたぐらいで,罵声を浴びせられ,むち打ちになったことだってある。
そして,ノーベル(犬)をちゃんと躾られなかったからといって,私とノーベルを家から追い出したことだってあるわ。
父が何故そんなことするかは,わかっているの。
父は, かつての名門の栄光に執着し,酒と博打に溺れていたわ。妻を失った苛立ちと,没落のストレスをすべて私にぶつけた。
母が亡くなる前は悲嘆の色さえ見せなかったのに。
亡くなった途端,豹変した。
私が持つ「再生の力」を金儲けの道具(奴隷同然の違法な治療行為など)として利用しようともした。
そんな父が嫌いでしかないわ。
この世界では,魔法が使えれば賞賛される。
魔法が全てだからよ。
日常生活でも使い,操れれば操れるほど,
生きる上で大切なものになる。
私は強くなりたいの。
そのためには,魔法をしっかりと操れるようになりたい。私も「再生の力」は持っているけれど,まだ不十分で暴走する時だってある。
ちゃんと操れるようになるためには,魔法学校で学ばなければならない。
早く学んで,この家から出ていかなければ。
-四大魔道名家-
というものがある。魔法が全てのこの世界。
この四大家は,その魔法の力を遥かに超える素晴らしい威力の魔法を所持している。
{フローレンス家}
父の名は,バルトロ・フローレンス。
母の名は,エレナ・フローレンス。
フローレンス家の能力は,
植物や生命力を操る魔法の最高位。 万物生命の息吹(エターナル・ブルーム) という名。
枯れ果てた大地を一瞬で森に変え,致命傷を負った者さえも瞬時に再生させる。
この能力を持ったものが,歩く場所には季節を問わずスミレの花が咲き乱れると言われている。
能力が完全にある際は,北の聖樹領を治めており,慈愛と再生の守護者と言われていた。
だが,今ではもう没落してしまった。
没落理由はかつて,世界を蝕んだ「死の病」を食い止めるため,ヴィオラの母(エレナ)がフローレンス家の源泉である「生命の魔力」を大地に捧げすぎたことが原因。
領地は不毛の地へと変わり果て,奇跡の力は「微細な治癒」程度まで退化してしまった。聖女(エターナル・ブルームを持つもの)が亡くなり,フローレンス家の慈愛は途切れてしまった。
一刻も早く,私が能力開花(覚醒)をしなければならないわ。
{シュバルツ家}
父の名は,アルフォンス・シュバルツ。
母の名は,リーゼロッテ・シュバルツ。
シュバルツ家の能力は,
影と闇を物理的な質量として操る魔法。
深淵の影支配(アビス・シャドウ)という名。
自身の影から漆黒の兵団を召喚し,敵の影を縫い留めることで魂ごと拘束する。光すら飲み込む「絶対虚無」の空間を作り出すことができる。
能力が完全にある際は,南の暗影城に鎮座しており,冷徹な秩序の番人と言われていた。
それと裏腹に,アルフォンスとリーゼロッテはヴィクトールを溺愛していた。それは気高く,影を持っていながらも,誰より,そして何よりも息子を大事にしていた。
だが,シュバルツ家もまた没落してしまう。
没落理由は,とても滑稽なものだった。
あまりに強大で禍々しい「影の力」は,平和な時代になると他の貴族たちから
「魔王の再来」
として恐れられ,時の皇帝に対し
「影の魔法が反逆を企てている」という冤罪をかけられ,爵位と資産を剥奪された。
シュバルツ家は,爵位と資産剥奪により
アルフォンスは,それへのプレッシャーとストレスで精神も身体も蝕まれていきました。精神を保つことが大切で,精神面が大きく関わってくる「影の力」に押されてしまい,亡くなった。
リーゼロッテは,アルフォンスの死を受け止めきれず,そのまま病に伏せて亡くなった。
このことから,ヴィクトールは,一人で生きるという選択を取らざるを得なかった。
まだ15でありながら,これもまた没落した貴族の「フローレンス家」の執事として,仕えることになります。ですが,ヴィクトールは,爵位が剥奪されただけであり,まだ能力の力は健在でした。
{ルミナス家}
父の名は,カシウス・ルミナス。
母の名は,アウロラ・ルミナス。
ルミナス家の能力は,
天体と光のエネルギーを変換する魔法。
星辰の導き(アストラル・レイ)という名。
昼間でも星の力を降り注がせ,超広範囲を焼き払う戦略級の光線術を得意とする。
また,星の配置から未来の断片を読み取る予知能力も備えている。
東の天文塔に住まう,天理と予言を司る賢者。
今でも貴族として名を上げており,かつては,フローレンス家と勝負をしていたくらいです。
そして当主は,今も尚健在の
セレスティアンの父,カシウス・ルミナスです。
ルミナス家は,皇帝陛下と代々仲が良くカシウスとアウレリウス・ソラリス(皇帝陛下)は酒を交えるほどです。
{ヴォルカノン家}
父の名は,カイザー・ヴォルカノン。
母の名は,フレア・ヴォルカノン。
ヴォルカノン家の能力は,
熱量と破壊を極限まで高めた炎魔法。
煉獄の核熱(プロミネンス・コア)という名。
単なる火ではなく,鉄をも蒸発させる太陽の熱源を生成する。彼の怒りは火山の噴火に直結しており,一族の血を引く者は体温が常に高温であるという特徴がある。
西の烈火連峰を支配し,最強の武力を 持つ闘神。
ヴォルカノン家は,皆威圧的で絶対的な権力者です。逆らうことは許されず,一切の許しを問わない。
父の風格はただならぬ程凄まじいもので,
息子イグニスにも常に最強であることを強要しているそう。
そして,没落した「フローレンス家」と「シュバルツ家」を徹底的に見下しており,私たちに慈悲はない。
これが「四大魔道名家」
私が知っているのはこれくらいだわ。
特に注意しなければならない名家は,圧倒的に
{ヴォルカノン家}
ヴォルカノン家は権力重視すぎて苦手なのよね,。
まぁ関わることがあるとしたら,魔法学校くらいかしら?イグニスと私は,同い歳だから…
もしやクラスさえも一緒…?!絶対嫌だわ。
イグニスがどんな子なのかも知らないのに。
面倒なことは極力避けないと。
そう考えているうちに,
フローレンス家公爵邸に着きそうだわ。また,父に顔を合わせなければいけないなんて,なんとも苦痛ね。
でも魔法学校に入るまでは耐え抜いてみせるわ。
⎯⎯⎯そうよ。私は「ヴィオラ」なのだから。
【第一章】閉幕
コメント
2件

少し物語が進むのが遅いですが,ご理解お願いします。😿まだ序盤ということで,説明したいものが沢山ありどうしても進めません。これからばんばん進めるのでよろしくお願いします。

ヴィオラはまだ14歳という設定です。 ヴィクトールは15歳 セレスティアンは16歳 イグニスは14歳です。 色々疑問に思うことがございましたら,コメントください。