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りょーせー類
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『まだ青い空の下で』
第一話 「午前二時の着信」
雨の音で、雫は目を覚ました。
カーテンの隙間から見える空は真っ暗で、部屋の中には時計の針の音だけが静かに響いている。
――ピリリリ。
突然、枕元のスマホが震えた。
画面には“非通知”の文字。
時刻は午前二時ちょうどだった。
「あら、誰かしら…?」
こんな時間に、と思いながら、
雫の胸はなぜか妙にざわついていた。
この時間。この着信音。
まるで、昔の――。
恐る恐る通話ボタンを押す。
「……もしもし?」
数秒の沈黙。
ザーッというノイズの奥から、少女の声が聞こえた。
『もしもし、雫ちゃん』
「……え?」
その瞬間、雫の背筋が凍る。
聞き覚えのある声だった。
幼い頃、毎晩のように“話していた”声。
けれど、思い出そうとすると記憶に霧がかかったみたいに曖昧になる。
『久しぶりだね』
「……あなたは… 」
震える声で問い返す。
すると少女は、小さく笑った。
『やだなぁ。“私たちだけのヒミツ話”
これ聞いても分からない感じ?
相変わらずで良かった〜笑』
ブツッ。
通話はそこで切れた。
雫はしばらく動けなかった。
耳の奥に、あの声だけが残り続ける。
すると部屋のドアが少し開き、眠そうな志歩が顔を覗かせた。
「……姉ちゃん、今誰かと電話してた?」
「え……」
雫の顔を見た志歩はまさかと思い聞く
「…もしかしてまた、“あの子”?」
その言葉に、雫の呼吸が止まる。
静かに頷くその顔は
また来たと言わんばかりの顔だった。
志歩の表情も青ざめていく。
まるで、自分も同じ声を聞いたことがあるみたいに。
NEXT▶︎▷第2話「思い出してはいけない」