テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
りょーせー類
50
『私たちだけのヒミツ話』
第二話 「思い出してはいけない」
翌朝。
雫はほとんど眠れないまま学校へ向かっていた。
昨夜の電話。
そして志歩が口にした、
“あの子”という言葉をまた 考えようと
するたび、頭の奥がじくじくと痛む。
「……姉ちゃん」
隣を歩いていた志歩が、小さく声をかける。
「昨日の電話、本当に聞こえたんだよね」
「……うん」
「声、女の子だった?」
雫が頷いた瞬間、
志歩の顔色がさらに悪くなった。
「やっぱり……」
その反応に、雫は足を止める。
「ねぇ、しーちゃんは あの子の…
顔とか名前とか知ってる?」
しばらく黙り込んで考えたあと、
「……私も知らない…知ってるのは
毎晩二時になると電話が鳴って、“3人で秘密の話をする”って遊びをしてたことぐらい」
あの断片的な記憶が、頭の奥でちらつく。
暗い部屋。
受話器越しの笑い声。
『今日も一緒にいてくれる?』
でも、一番大事な“相手の顔”だけが思い出せない。
「……なんで思い出せないのかしら」
雫が呟くと、志歩は苦しそうに目を伏せた。
「忘れたんじゃない」
その声は微かに震えていた。
「……思い出さないようにしたのかも」
その瞬間。
キーン、と耳鳴りが響く。
廊下の奥。
誰もいないはずの階段下に、一瞬だけ白いワンピース姿の誰かが立っていた。
長い髪で顔は見えない。
けれど、その“何か”は確かに笑っていた。
――見つけた。
耳元で、少女の声が聞こえた気がした。
NEXT▶︎▷第3話「三人目」