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39 - 第37話 翼竜

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2024年11月27日

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数時間後、船は小さな孤島の近くに到達した。岩に覆われた島で、草木も少なく、まるで誰も住んでいないように見える。

「本当にここで間違いないんだよな?」

「間違いない。ただ、気をつけろよ。ここから先は地図にも詳しく書いていないから。」

いさなが警告する。

「まあ、行ってみないとわからないよね。」

みりんが笑いながら言うと、全員が島の上陸準備を整える。

孤島に降り立ち、全員が慎重に歩きながら探索を始める。島にはあまり目立つものはなく、ただ静寂が広がっている。唯一の特徴は、島の中央に広がる大きな岩山だ。

「この岩山の下に地下の洞窟があるんだ。」

いさなが指差しながら説明する。

「それなら、掘るしかないってことか。」

ゆうなが頭を抱える。

「掘るんじゃなくて…入り口があるんだ。」

いさなが少し不安げに言う。

岩山の根元に到達した一行は、地下への入り口らしき場所を見つける。それは古びた石の扉で、すでに半分は崩れていたが、内部に続く暗い通路が見える。

「これが入口か。」

みりんが扉を押してみるが、すんなり開かない。

「この扉、何か仕掛けがあるんじゃないか?」

リオが扉を調べながら言った。

「仕掛けか…確かに、ただの扉にしては妙だな。」

いさなが辺りを見回しながら、思案する。

その瞬間、突如として島全体が震え始める。地面が揺れ、岩が崩れ落ちる音が響き渡る。

「な、なんだ!?地震か!?」

萌香が驚きの声を上げる。

「違う!この島が…!」

いさなが急いで叫ぶ。

その瞬間、岩山の奥から何か大きな影が現れる。巨大な生物のようなものが、闇の中から姿を現し、震動の原因となっていた。

「なんだ、あれ…」

みりんが恐る恐るその影を見つめる。

ゆっくりと明らかになっていくその姿。それは巨大な恐竜のような生物だった。全身は岩で覆われ、まるでこの島の一部が生きているかのように見える。

「どうする、いさな?」

焦りながら尋ねる。

「逃げるしかない!」

いさなが即座に指示を出し、全員はその場から退避しようとするが、岩山の動きが激しさを増し、逃げ道が封鎖される。

「逃げられない!」

ゆうなが叫ぶ。

その生物はさらに近づいてきて、その巨大な足音が響く。

「ここまで来るなんて…お前もなかなかだな。」

いさながじっとその生物を見つめる。

「どうにかして倒すしかないな。」

みりんが冷静に言う。

島の地下に潜む巨大な生物が、息を吹き返したかのように迫ってくる。その恐ろしい足音と、地面を揺るがす震動が響く中、いさなたちは必死に逃げようとするが、逃げ道は次第に閉ざされていく。

「くそっ、どうしてこんなところにこんなモンスターが…!」

リオが必死に走りながら呟くが、その声に反して足元が不安定で、崩れる岩に足を取られそうになる。

「みんな、急いで!」

いさなが振り向き、叫ぶ。だが、次の瞬間、巨大な岩が落下し、前方を塞ぐ。

「進めない!どうする?」

ゆうなが必動こうとするが、進む方向も絶たれてしまった。全員が無力感に包まれる中、その生物は足音を速め、ついに目の前に現れた。

「来るぞ…!」

いさなが叫ぶと同時に、巨大な生物が体を震わせて大きな突進を見せる。

その攻撃は予想以上に素早く、いさなが反応しきれず、目の前に迫った巨大な腕が激しく突き刺さる。いさなの体が壁に叩きつけられ、強烈な衝撃でその意識が一瞬、遠のく。血が流れ、手足に激痛が走る。

「いさな!」

萌香が叫び、駆け寄るが、足元が不安定で前に進むのもやっとだ。

「大丈夫か…?」

みりんがいさなのもとに駆け寄り、意識が途切れかけている彼を抱きかかえる。だが、いさなは何も言わず、ただ目を閉じたままだ。

「くっ…こんなところで死ぬわけにはいかない!」

いさなが顔を歪めながら、必死に意識を取り戻そうとする。手足が重く、息も荒く、目の前が霞んでいく中、最後の力を振り絞って言った。

「みんな…アーティファクトを…必ず集めて…帰れ…!」

その時、巨大な生物はさらに一歩踏み出し、岩のような大きな腕を振り上げた。激しい風が巻き起こり、いさなたちはその圧力に身を固くする。

「これは…間に合わない!」

リオが目の前で迫る危機に絶望的な声を上げる。だが、突如として、その生物が足を止める。

「…?」

みりんが驚き、目を見開く。生物はしばらくその場で動きを止め、まるで何かに反応したかのように、じっと動かなくなった。

「何だ…?」

ゆうなが息を呑む。その瞬間、遠くから強烈な光が放たれ、巨大な生物がその光に引き寄せられるように動き出す。

「これは…?」

いさなが呟く。

その光が生物に当たると、突然、岩のような生物の体が震え、そこから裂け目が生じ始める。そして、その裂け目から異常なエネルギーが放出され、周囲の空気が一変した。いさなはその光を浴びながら、突然自分の体が温かく感じるのを感じた。

「このエネルギー…!まさか!」

いさなが意識を取り戻し、ゆっくりと立ち上がる。まるで死にかけていた自分が再生したかのように、体が軽くなっていく。

「いさな!生きてるのか?」

萌香が驚きながら声を上げる。

「どうして…?」

みりんが疑問の声を漏らす。

「多分、この光はアーティファクトの力だ。」

いさなが言うと、まさにその瞬間、巨大な生物がその体を大きく震わせ、再び空に向かって放たれたエネルギーが爆発的に広がり、周囲の岩や木々が一瞬で吹き飛ばされる。

いさなは、再生した体で立ち上がりながら、遠くに見えるアーティファクトの光を見つめていた。その光は赤く、まるで炎のように燃え上がっていた。「赫」という言葉が、いさなの頭の中で響く。あの光は、間違いなくアーティファクトの一部だと確信していた。

「やっと…次の一歩が踏み出せる。」

いさなが呟くと、周囲のメンバーたちが彼に駆け寄る。みりんは少し驚きながらも、ほっとした表情を浮かべた。

「いさな、よかった…!本当に、なんでこんなに強くなったの?」

萌香が感心したように尋ねるが、いさなはただ微笑むだけだった。

「アーティファクトの力だろうな。でも、この力にはきっと代償があるはずだ…。」

いさなが言葉を続けると、リオが少し警戒するように眉をひそめた。

「代償って…まさか、何か危険なことが起こるって言うの?」

いさなが答えようとしたその時、地面が再び震え、周囲の空気が一変した。遠くの山々がわずかに揺れ、その上空には黒い雲が広がり始めた。

「やっぱり、来たか…」

いさなはその状況に察し、眉をひそめる。周囲のメンバーたちも緊張感を抱えながら、その異常な兆しを感じ取っていた。

突如として、空から暗い影が降りてきた。巨大な影、それはまるで天を覆うような大きさを持っていた。その影は、アーティファクトが置かれている場所に向かってゆっくりと迫ってくる。

「この影…まさか、あれは…」

みりんが言葉を失いながら、影の正体に気づく。その影が浮かび上がると、それは巨大なドラゴンのような姿をしていた。炎を吹き出し、空気を震わせながら、確実に彼らの元へと進んでくる。

「これは…アーティファクトの守護者?」

リオが恐怖を抑えきれずに呟いた。いさなもそのドラゴンの姿に目を見開き、ゆっくりと前進した。

「アーティファクトを集めることができたということは、もう隠しておけない。『赫』の力を試す時が来た。」

いさなが静かに言うと、仲間たちがそれぞれ武器を構え、準備を整える。

ドラゴンが地面に大きな足音を立てて降り立つと、その圧力で周囲の大地がひび割れ、岩が飛び散った。いさながアーティファクトの力を感じると同時に、その力を自分の体に取り込むことができるか試すべき時が来たことを悟った。

「みんな、下がれ。俺がやる。」

いさながそう言うと、ゆうな、みりん、萌香は驚きながらも、彼が言う通りに後ろに下がった。ドラゴンの大きな瞳がいさなをじっと見つめ、その目が鋭く光る。

「赫の力よ…俺に力を貸してくれ!」

いさなは心の中で祈るように叫び、手に力を込める。その瞬間、赤い光が彼の体を包み込み、周囲の空気が熱くなった。いさなの体から放たれる光は、まるで炎のように燃え上がり、ドラゴンの前に立ついさなの姿を圧倒的に強く、輝かせた。

ドラゴンがその巨大な体を動かし、いさなに向かって鋭い爪を振り下ろした。だが、いさなはその爪を軽々とかわし、アーティファクトの力を使って一気に攻撃を仕掛ける。

「きたっ!」

いさなが叫ぶと、炎のようなエネルギーが一気にドラゴンの体を貫いた。ドラゴンは驚きながらも、その攻撃を何とか避ける。

「なるほど…!」

いさながその反応に驚きつつも、再度攻撃を仕掛けようとするが、ドラゴンはその大きな翼を広げ、一気に空中に舞い上がる。

「空を飛んだか…!」

いさなが追いかけようとするが、空中戦になるとアーティファクトの力を使いこなすのが難しくなる。だが、その瞬間、ドラゴンがまた地面に降り立つと、地面が大きく揺れ、周囲の岩が崩れ始めた。

いさながドラゴンとの壮絶な戦いを終わらせ、見事にその力を手に入れた瞬間、ドラゴンは静かにその巨大な体を地面に沈めた。炎を吐くことなく、ただその眼差しをいさなに向けて、何かを伝えるようにじっと見つめる。

「これで終わりだ。」

いさなはその言葉を小さくつぶやき、ドラゴンの前に歩み寄る。アーティファクトの力を使い、ドラゴンをテイムすることに成功したのだ。

ドラゴンが低くうなり声をあげながら、ゆっくりと頭を下げると、その口から何かが落ちてきた。それはまるで蒼い宝石のように光るアーティファクトだった。

「これが…。」

いさなはそのアーティファクトを手に取り、その重さを感じながらも、その力をしっかりと受け入れる。アーティファクトの一部が彼の手の中に収まると、まるで新たな力が注がれるような感覚が広がった。

「これが『蒼』のアーティファクト、そして、ドラゴンの守護者としての証。」

いさながそう言うと、ドラゴンが低く鳴き声を上げ、空へと羽ばたいていった。どこか満足そうにその姿を空に浮かべながら、最終的には遠くの山々に消えていった。

その時、いさなとともに戦っていた萌香が近づいてきた。彼女は少し嬉しそうに、また一つアーティファクトを取り出す。

「これで、計四つ…」

萌香の手には、すでに四つのアーティファクトが並んでいた。その一つは、先ほどいさながドラゴンから受け取ったアーティファクト、そして他のアーティファクトも手に入れていた。

「すごい…萌香、すごいな。こんなに集めるなんて。」

いさなが驚きの表情で言うと、萌香は恥ずかしそうに笑った。

「うふふ、ありがとう。でも…私、これを集めるために本当に色々頑張ったから。」

萌香は、少し照れた様子で言うと、手に持ったアーティファクトをいさなに見せた。その中には、彼女がこれまでに訪れた場所で手に入れたアーティファクトが並んでいた。

「このアーティファクト、全部集めたら…本当に東京に帰れるんだよね?」

萌香は確信を持って言うが、いさなは少し考え込みながら答える。

「うん、でもそれだけじゃ足りないかもしれない。『赫』を集めたことで、次に何が待っているのか、まだわからない。」

いさながそう言うと、萌香は少し不安そうに目を細めた。

その後、いさなと萌香は、アーティファクトを並べてその真の力を探ろうとした。しかし、アーティファクトの力にはまだ謎が多く、どれも一見すると普通の宝石のように見えるが、その内部には強力なエネルギーが秘められていることが感じられた。

「一つ一つがどれも強力な力を持っているのは間違いない。」

いさなが言うと、萌香はそのアーティファクトの一つを手に取って眺めながら、思案するように言った。

「でも、どうしてこれらが必要なんだろう?どんな目的で集められたのか…」

いさなの表情も少し硬くなり、彼はアーティファクトを見つめた。その時、ふと頭の中に神様からのメッセージがよみがえった。

「全部集めて山のてっぺんに置くと東京に帰れる…か。」

いさなはその言葉を反芻しながら、これから何をすべきかを考えた。アーティファクトの力を信じるべきなのか、それとも他に隠された秘密があるのか。

「でも、今はまだ分からない。もう少し、この島を探索してみよう。」

いさなはそう決心し、萌香に向かって微笑む。

「一緒に、全てを集めて東京に帰るんだ。」

萌香もその言葉に頷き、二人は次の冒険へと向かって歩き出した

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