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テラーノベル(Teller Novel)
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レンは自室のベッドの上で仰向けになっていた。

『あーあ……』

今日一日のことを振り返りながらため息をつく。結局あれ以来、千夏とは一言も話さなかったのだ。

夏の様子がおかしかった理由を聞いてみたのだが、「ごめんなさい」「何でもありません」の一点張りだった。

(俺、何か悪いことしちゃったかなぁ)

思い出してみても特に思い当たる節はない。嫌われるようなことをしたというならまだ分かるけど。

それにしても今日の夏はとても可愛かった。普段は大人しい性格なので目立たないが、ああいう格好をして笑うと本当に魅力的だと思う。あの笑顔を自分だけに向けてくれたらどんなにいいだろう……などとつい考えてしまうのだが、残念ながらそれは夢のまた夢だった。

(どうせならもっと早く告白しておけば良かったかな)ベッドの上で横になり、天井を見つめながら僕は溜め息をつく。今日こそは自分の気持ちを伝えようと意気込んでいたものの、結局最後まで言い出せなかったのだ。もっとも、「好きだ」と言ったところで今の僕では夏に釣り合わないし、そもそも彼女が僕のことをそういう目で見ているかも怪しいところである。

それでも、諦めずにアタックし続けることはできるはずだ。明日になったら、もう一度勇気を出してみることにしよう。そんなことを考えていた時――突然、目の前にあの白い光が溢れてきたのだ! そして気がつくと……そこは真っ暗な闇の中だった。どうなってるんだよ!? それにここはどこなんだ? 僕は慌てて周囲をキョロキョロと見回す。すると……前方にかすかな光が見えてくるではないか。やった! 出口に違いないぞ!! そう思った瞬間、僕の体は無意識のうちに走り出していた。光のさす方へと向かって一直線に駆け抜けていきながら、僕は思う。やっぱり僕ってツイてるよなぁ。だってこんなにも早く外に出られるなんて思わなかったもん。しかも、外ではみんなが待っていてくれているかもしれないしね。ああ、本当に楽しみだよ! * ところが……

ようやく光の射してくる場所まで辿り着いたというところで、僕の足は完全に止まってしまった。なぜなら、そこに広がっていたのは予想外の光景だったからだ。まず目に入ったのは大勢の人達の姿である。それもただの人々ではない。みんな全身黒ずくめなのだ。更によく見ると、彼らが手に持っているものは拳銃であったりナイフであったりと物騒なものばかりだ。そして極めつけは何と言ってもその服装だろう。なぜか全員覆面を被っているため顔はよく見えないのだが、とにかく格好だけ見れば完全に犯罪者集団といった感じなのである。

これじゃあ、とてもじゃないけど助かりようがない

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