第35話「影と鋼の邂逅」
🚀 シーン1:戦場の夜明け
冷たい風が瓦礫の間を吹き抜ける。
ゼインは黒いジャケットの裾をなびかせながら、銀灰色の瞳を細めて夜明け前の街を見下ろした。
ヴェール・バインドとの小競り合いを繰り返しながらも、ゼインたちは次の戦いへと向けて動き出していた。
「……気になるか?」
ナヴィスが青い瞳を夜空に向けながら声をかけた。
ゼインは小さく息を吐く。
「……いや、ただ……」
「戦いのことか?」
ゼインはナヴィスを見つめる。
「……戦いが続くたびに、俺の中で何かが変わっていく気がする」
ナヴィスは軽く肩をすくめると、無造作な黒髪を手でかき上げた。
「お前が強くなってるだけだよ。そういうもんだろ、碧族ってのは」
ゼインは拳を握った。
(……本当に、それだけなのか?)
🚀 シーン2:影の来襲
突然、静寂を切り裂くように警報音が響いた。
「ヴェール・バインドか?」
ゼインは即座に銃型フラクタルを構え、戦闘態勢に入る。
その瞬間——
「——久しぶりに、楽しめそうだ」
闇の中から響く不気味な声。
漆黒のフラクタルエネルギーがうねりながら、ゼインたちを包囲する。
「こいつは……!」
ナヴィスの顔が険しくなる。
影の中から姿を現したのは、ヴェール・バインドの特殊戦闘員。
だが、そいつの瞳は、人間のものではなかった。
「碧族……?」
ゼインが目を細める。
「ようやく俺たちの存在に気づいたか?」
敵の碧族が微笑み、手をかざす。
『EXECUTE (PHASE_ERASE)』
——その瞬間、ゼインの足元の空間が歪んだ!
🚀 シーン3:迎撃開始
「ゼイン! 動け!」
ナヴィスが叫ぶと同時に、ゼインは直感で後方に跳躍する。
影のフラクタルがゼインのいた場所を飲み込み、瓦礫ごと削り取った。
「こいつ……! 空間を“消してる”のか!」
ゼインは驚愕しながら、即座にカウンターを狙う。
『EXECUTE (IMPACT_FORCE +50)』
碧色の光が腕に収束し、敵の影を貫いた!
しかし——
「甘いな」
敵は影と同化し、ゼインの攻撃をすり抜ける。
「チッ……!」
ナヴィスが横から割り込み、手をかざした。
『EXECUTE (GRAVITY_DISTORTION)』
重力が一瞬歪み、影が押し潰されるように沈み込む。
「今だ、ゼイン!」
「——行く!」
ゼインは瞬時にフラクタルを展開する。
『EXECUTE (PHASE_STEP)』
瞬間移動と同時に、敵の懐へ突っ込む!
「——終わりだ!」
ゼインの拳が、敵の影を砕いた。
🚀 シーン4:戦いの終焉
影が消え去り、敵の碧族はその場に崩れ落ちた。
「……やるな、お前」
ゼインは銃型のフラクタルを下ろし、冷たい視線を向ける。
「お前ら、何者だ?」
敵の碧族は苦笑しながら、闇へと溶けていく。
「……近いうちに、また会うさ」
そう言い残し、彼の姿は完全に消えた。
ナヴィスは息を整えながら、ゼインの肩を叩く。
「お前、今のでまた一つ戦闘狂に近づいたんじゃねぇか?」
ゼインは目を細め、静かに夜の街を見上げた。
「……俺は、どうなるんだろうな」
誰も、その答えを持ってはいなかった——。
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