第36話「血の刻印」
🚀 シーン1:夜明け前の静寂
薄暗い空に、微かに朝日が差し込み始める。
ゼインは瓦礫の上に立ち、遠くの街を見下ろした。
夜戦を終えたばかりの戦場には、まだ戦いの残滓が残っている。
「……つかの間の静寂ってやつか」
ゼインは、銀灰色の瞳で地平線を眺めながら呟く。
「お前、戦いが終わった後もそんな顔してんのかよ」
背後からナヴィスの声が響く。
彼の青い瞳が、淡い朝焼けを反射して光っていた。
ゼインは肩をすくめる。
「戦闘が終わるたびに、何かが削れてる気がするんだよな」
ナヴィスは苦笑し、黒髪を手でかき上げた。
「お前はすでに十分、戦闘狂だよ」
ゼインは苦笑しつつも、その言葉に否定できない自分がいた。
🚀 シーン2:再び迫る脅威
そのとき——
「——ヴェール・バインド、接近!」
すずかAIの警告が響く。
「……やっぱり、休む暇なんてねぇな」
ゼインは即座に黒いジャケットを翻し、銃型のフラクタルを構えた。
「ナヴィス、どの方向からだ?」
「北東。数は……ざっと見て10人以上ってところか」
ナヴィスは、軽く拳を鳴らしながら構えを取る。
「どうする?」
ゼインは少し考えた後、低く呟く。
「……迎え撃つしかねぇ」
ナヴィスは笑みを浮かべる。
「だろうな」
🚀 シーン3:激突
ヴェール・バインドの部隊が姿を現した。
彼らは全員、黒い強化装甲をまとい、アンチ・フラクタル兵装を携えている。
「碧族を視認……排除する!」
先頭の兵士が叫ぶと同時に、一斉に攻撃が開始された。
『EXECUTE (BULLET_SPREADER)』
無数の弾丸が夜の闇を切り裂き、ゼインたちへと降り注ぐ。
「チッ……!」
ゼインは即座にフラクタルを発動した。
『EXECUTE (FORCE_FIELD)』
碧色の光が周囲に広がり、銃弾をすべて弾き飛ばす。
「やるじゃん」
ナヴィスが笑いながら、前へ出る。
『EXECUTE (FOULT_SHIFT)』
彼の姿が一瞬でブレ、次の瞬間には敵の背後にいた。
「よう、挨拶代わりだ」
ナヴィスが拳を振り抜き、敵兵士の強化装甲を砕く!
「なっ……!」
ヴェール・バインドの兵士が驚愕する間もなく、ゼインが追撃に移る。
『EXECUTE (IMPACT_STRIKE)』
ゼインの一撃が、敵の武装ごと吹き飛ばす。
「……悪いな、こっちは慣れてるんでな」
🚀 シーン4:対峙する黒影
戦闘が激化する中、
突如として、一際異質な存在が戦場に現れた。
「……お前たちが、碧族の戦士か」
低く響く声。
ゼインとナヴィスは、視線を向けた。
そこに立っていたのは、黒いマントを纏った一人の男。
その瞳には、明らかに碧素の光が宿っていた——
「……碧族、だと?」
ゼインが目を細める。
ヴェール・バインドに、碧族が所属している。
男はゆっくりと口角を上げる。
「……“裏切り者”とでも言いたいか?」
「そうだな……敵に回るなら、そう呼ぶしかねぇだろ」
ゼインは銃型のフラクタルを構え、睨みつける。
——この戦いは、ただの戦闘では終わらない。
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