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「平行線上にいる私たち」


                                                                                         登場人物

                                                                                     羽夢(うむ)中一「」

                                                                                     もう1人の自分 『』

                                                                                               友達⌜⌟‎


                                                                              鬱陶しいぐらいに暑い

                                                                              ただでさえ憂鬱なのに

今、私は今までにないぐらいの鬱状態に陥っている。


中学校に入ってはや半年を経とうとしている。

中学校は小学校とは大違いで、勉強や部活に追われる毎日。

そのおかげで今、やる気もないのに勉強に追われ、恋も上手くいかない毎日に絶望を感じていた。


⌜羽夢ちゃーん⌟

⌜悪いんだけどノート見せてくれないかな?⌟‎‎

「いいよ、ニコッ」


偽り

この世の中はこれで成り立っている気がする。

今の自分は到底本当の笑顔を振る舞える気になんてならなかった。


⌜マジ助かったー⌟

⌜ありがとね!⌟

「いえいえ〜」

今の自分の偽りの笑みは、他者から見たら能面を貼り付けたような顔にしか見えていないんだろうなとしみじみ思う。

そんな馬鹿げたことを思いながら私は図書室に向かった。


‎特に読みたいものがある訳では無いが、1人で静かな場所に居られることが唯一の救いだったからだ。


そんな時1つの本が目に入った。


パラレルワールド‎


そういえば今日担任が自分はパラレルワールド系の物語が好きだと言っていたな。

読んでみよう…



読んでいくうちに自分も物語に入っているのでは無いのかというほどのめり込んでいた。



絶対に出会うことのない平行線上にいるもう1人の私

図書室から出たあともその言葉が頭に張り付いて離れなかった





家に帰ってくるとすぐさまスマホの画面を開いた

パラレルワールドについてもっと深く知りたかったのだ。


自分の選択次第でAの自分として時を歩むか、Bの自分として時を歩むかが変わる

人は一日に最大3万5000回もの決断を下しているそうだ。

今もそう。このサイトを見るか、見ないか。宿題をするか、しないか。……

考えれば考えるほど頭がおかしくなりそうだ。

だが今の偽りだらけの私にはこういうオカルトな話にのめり込んでいたのがちょうど良かったのかもしれない。


そんなある日、友達の誕生日祝いにお花を買いに行きつけの花屋に行った。


『いらっしゃいませー』

見慣れに店員だ。どこか私に似ているが…新入りの人かな?

「あの」

『はい』

「友達に誕生日祝いのお花を贈りたいんですけど」

「なにかいい花ありますかね…?」

『そうですね…』

『こちらの胡蝶蘭などはいかがでしょうか?』

『花言葉は幸福が飛んでくるですのでピッタリだと思います』

「あっ、きれい!」

「ありがとうございます!これにします!」

『お買い上げありがとうございます』


「…あれ?」

「これも胡蝶蘭ですか?」

紙袋には見覚えのないふたつの花が入っていた。

『…それは私からのプレゼントです』

『そちらの白い花がゼラニウムという花で、』

『そちらの紫の花がカキツバタという花です』

「…ほう?」

『今のお客様にピッタリの花です』

『ゼラニウム、カキツバタの順で』

『花言葉を調べてみてください』

「…分かりました」

不思議に思いながら彼女が店の奥に入っていくのと同時に私の店の外に出た。


その後友達の家に行って例のお花を渡してきた。すごく喜んでいてこっちまで嬉しかった。


自分の部屋に戻り、この2つの花の花言葉を調べてみた。

すると…

白いゼラニウムの花言葉は「偽り」

カキツバタの花言葉は「希望 幸せは必ず来る」

の検索結果が出てきた。

正直、少し気味が悪かった。

まるで彼女が今の私のことをずっと見ているみたいで。

でも、幸せは必ず来るっていうポジティブな言葉はすごく助かった。

彼女は人の感情を読むことに長けている人だったのかな…?

そんなことを考えながら、その2つの花を花瓶に飾り、そのまま一夜を過ごした。



翌日。

私は昨日までの憂鬱な気持ちがまるでなかったかのように晴れ晴れとした気持ちで学校へ向かった。


それから好きな人に告白されたり、テスト成績が上がったりと希望と幸せが溢れ出した毎日を送れるようになった。


もしかしたらあの2つの花のおかげかな

なんて思ったり思わなかったり__



画像

❦ℯꫛᎴ❧

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