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寝起きで足を重くさせながらキッチンへ向かう。
滉「あ、起きた?おはよう。」
若井が笑顔で俺を見ながら鍋で何やら作っている。
元「おはよう…あれ、俺どのくらい寝てた?」
滉「んー、3時間くらい?」
久しぶりのオフなのに寝すぎてしまった事に頭を抱える。
3時間あれば曲のワンフレーズくらい作れただろうに。
そんなことを思いながら若井の隣に立つ。
元「何作ってるの?」
そう言いながら鍋を覗くとスパゲッティを茹でていた。
滉「今日の夜ご飯は俺の特製トマトクリームスパゲティです!」
自身のスマートフォンで必死に作り方を確認しながら仕込みする若井を見ていたら嬉しくなったのかホッとしたのか後ろから若井のことを抱きしめていた。
きっと抱きしめた理由は分かっているんだろう。
いつもならこんな事したら「なんだよ〜」とか「どうした〜」とか言うであろうに言わなかった若井は優しいな。
元「ねぇ、若井。」
滉「ん?」
スパゲッティが茹で終わったのかIHの電源を消しながら返答する若井。
元「こっち見てよ。」
調理中で俺の為に作ってくれていると分かっていながら顔を見てくれない若井に耐えられず肩を掴みこちらを向かせる。
耐えられなかった。
若井の優しさに若井の笑顔に__
唇と唇が触れ合う。
一瞬若井は驚いたようにしていたがすぐ受け入れてくれたのか煽る様に唇を押し込む。
駄目だ、我慢出来ない。
そんなことを思っていたがスパゲッティが視界に入り折角若井が作ってくれようとしているのに麺がのびてしまって台無しにしてしまうのは悪い。
そう思い唇を離すと少し寂しそうにする若井。
その表情に意外だと驚く感情と嬉しさでふっと笑ってしまう。
元「なんだよその顔っ」
滉「急にして急に辞めるからだろ!」
若井は少し顔を赤くしながらも笑い返す。
元「ごめん、作ってる途中に」
別にそんな事はいいのにと言わんばかりの顔、若井は分かりやすくて本当に可愛い。
滉「いいよ、出来上がるまでゆっくりしててね。」
そう言うとスパゲッティを湯切りする。
そんな若井の隣で湯切りの様子を見ながら、
元「じゃあ後で食べ終わったら続き、しようね。」
ボソッと聞こえるか聞こえないかくらいの声量で言うと、若井は黙り込んだ。
愛犬がご飯を欲しがってきたので若井の足元の戸棚にあるご飯を取る。
身体は正直だ。
若井の自身は膨らんでいた。
必死に隠す様にしているようだが全然隠せていなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「「いただきます。」」
いつぶりだろうか、人の手料理は。
ずっと制作続きで手料理なんて全然食べていなかった。
元「美味しい……」
余程美味しさが顔に出てたのか俺の顔を見ると嬉しそうに若井が微笑む。
滉「ずっと出前とかコンビニ飯とかだったんじゃないの?」
やっぱりバレていた。
心配かけるのは嫌だが折角色々してくれたのだ。
素直に答えるのが1番な気がした。
元「うん。手料理はすごく久々で感動した。」
滉「そっか、喜んでくれたようで良かった。」
その後美味しさのあまり黙々と食べ、お互いが食べ終わった時若井が口を開いた。
滉「なぁ、また作りに行くよ。ずっと出前もコンビニ飯も栄養足りなそうだし、制作だって俺たちの為でもあるわけだし。」
…何故だろう、涙が止まらない。
いつから俺はこんなに涙脆くなったのだろう。
嬉しさと安心の余り若井の手を強く握り
寂しがり屋な僕の本音を全て話した。
話し終えると若井が強く両手を握り
滉「もう独りじゃないよ。涼ちゃんもいるし、俺がいる。寂しい時何時でもいいから連絡して、会いに行くから。」
あぁ、欲しかった。こういう存在。
いつでも会いに来てくれる、寂しさを埋めてくれる人。
俺は気付くと若井をそのまま押し倒していた。