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みき
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#ざまぁ
寺町朱穂
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魂審問庁の法廷に、静かな鐘の音が響いた。 白い霧が割れ、ひとりの老人が姿を現す。
白い衣。 深い皺。 しかし、その瞳は澄んでいた。
天城 澄蓮(あまぎ すみれ)・享年82。 かつて小さな“心の拠り所”のような集まりを率いた教祖。
裁判長が告げる。
「被告、天城澄蓮。前へ」
老人はゆっくりと歩み出る。 その姿は、威圧感も傲慢さもなく、ただ静かだった。
検事が口を開く。
「被告は生前、“教祖”として人々を導いていた。 しかし、その活動が他者を傷つけたかどうか―― 本裁判ではそこを審理する」
澄蓮は穏やかに微笑んだ。
「私はただ……居場所のない人に、居場所を作りたかっただけです」
裁判長が手を上げる。
「記憶映像を開示します」
光が広がり、澄蓮の生前の記憶が映し出される。
・孤独な老人の話を毎晩聞き続ける澄蓮 ・家族に見放された若者に食事を振る舞う ・悩みを抱えた人々に、ただ寄り添い続ける ・“信じるかどうかは自由です”と笑う姿 ・寄付を断り、代わりに手紙を受け取る場面
検事は静かに言う。
「あなたは“教祖”と呼ばれていたが、 強制も、金銭要求も、支配もしていない。 むしろ―― 人々の心を軽くするために動いていた」
澄蓮は首を横に振った。
「私は大した者ではありません。 ただ……誰かが泣いていたら、放っておけなかっただけです」
その時、法廷の扉が開いた。
光の中から、数人の魂が現れる。
・家族に見放された青年 ・孤独だった老人 ・心を病んでいた女性 ・家を失った男
彼らは一斉に澄蓮を見つめた。
青年が言う。
「澄蓮さんがいなかったら、僕は生きていなかった。 “君は君のままでいい”って言ってくれた」
老人が言う。
「わしは毎晩、澄蓮さんに話を聞いてもらった。 あの時間が、わしの生きる支えじゃった」
女性が涙をこぼす。
「あなたは私の手を握って、 “苦しい時は泣いていい”と言ってくれた。 あの言葉で救われたんです」
澄蓮は静かに目を閉じた。
「……私は、ただ…… 誰かの心が少しでも軽くなれば、それでよかったのです」
裁判長が立ち上がる。
「天城澄蓮。 あなたの魂は、他者を縛らず、 ただ寄り添い、支え続けた。
その優しさは―― 純粋な光である。」
槌が高く掲げられる。
「判決。
天城 澄蓮――無罪。 魂は天上界へ送還する。」
澄蓮は驚いたように目を見開いた。
「……私のような者が……天へ?」
裁判長は微笑んだ。
「行きなさい。 あなたのような魂は、天上界にこそふさわしい」
光が湧き上がり、澄蓮の身体を包む。
彼は静かに頭を下げた。
「……ありがとう。 私は、これからも誰かの心に寄り添えるよう…… 光の中で祈り続けましょう」
証人たちが涙を流しながら見送る中、 澄蓮は光の中へ歩き出した。
裁判長が最後の槌を打つ。
「――天城澄蓮の裁判、これにて終結」
法廷には、柔らかな光だけが残った。