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あゝ、前置きとして彼について喋っておこうか。
見目麗しく、傍若無人な素振りなど一つも見せず。その面様はいずれ神を誘う程にまで危うく艶かしく美しい。
彼を見た人々は、聖少年がそこに現れ今すぐにでも我々を救ってくれる様に思えたと口にするのだ。生き続けた彼は神にはならないがその容姿でいれば尋常な人生などでは居られない。
かの有名な怪奇小説家である、彼が残した作品の中には、ダゴンという作品があったがそれらに彼は近いのであろう。
まるで海を彷彿とさせる眼を輝かせながら、全く神のように笑うのだからそれは毒になって、どんな感情の状態であれ人は総じて感情は変化し彼に心奪われる。
皆んな、そうであっただろう。そうして我々が最後に思うのは彼は、”人でいられるか”とーー。
side/rd
ロスサントスの街並みは朝焼けから始まる、ネオンに照らされる街ではなく朝焼けから、始まる街。
俺はそんな所が好きだった、ニューヨークや東京は人工的であったが此処ではそれは無く、ありのままでいる様な気がして、息苦しさが無くなった。
警察署で相変わらず寝続けると朝起きた時は体が固まって、しかも葉がつくのだからnrsはそれに毎回いやに気付いてくる。
何度も家を買う事を催促する彼は何時だって怒っていたが買う気が起きないのは言えない。
「お、rdちゃんパイセンおは〜」
「おはよ」
丁度目の前を通るhnrnと猫mngが軽やかに挨拶をする、朝の太陽に照らされた彼女らは何時もよりも輝き明るく見えていた。
一気に眠気を覚まされたような気がして、何時もよりも少し背筋を伸ばして返事をした。
俺も彼女らの後ろについて行くようにして警察署の入り口を越えて、署内に入る。
自然的な光が玄関である大きなガラスドアから入っているが署内二階の事務作業の部屋に入れば人工灯が空間を照らし出していた。均一的な明度を持つその部屋はよく見る部屋でもあったし、しかし自分の中では少しだけ違和感を覚える部屋でもあった。
まるで、ここが居場所では無いと脳が否定しているかのような気分になる。良くも悪くも、そんな感じだったのだ。
閑話休題。
朝日が完全に出てこの街をいつもの様に照らし出した頃署員が集まり出した、皆んな三者三様な被り物をして様々な会話をする。
例えば、車の話。新しい車を買った、カスタムしたんだ、そんな話が耳に聞こえてくる。
「rdo、おはよう
今日も鉢植えの側で寝たんだって?」
その顔はいうにイケメンの部類に入るだろう、しかし表情は全くの笑顔だがそれと一変しその感情は抑えきれていないほどの怒りに在り溢れている。
確かにnrsが言うことは最もだが、何せ手続きや通勤が面倒臭い。ここで寝た方が署には近いし面倒臭がりな俺には都合が良いのだ。
口先で軽く謝りながら、一向にその話を止める気が無いnrsの周りには既にdrやkotiが居て、なんとも一緒になって責め出すのだ。
心配しているんだと、健康じゃ無いだの諸々言うがどれも正論パンチである、心はなにぶん重症だ。
すると、署長buaが測った様な良いタイミングで声をかけた。なんとも、今日は運が良いと思った。気怠げに脚を動かす皆んなについていきながらまあなんとも愚痴々と横で彼が喋るものだ。ごめんよnrs、ただただ面倒臭いんだ(尚必要性を感じていないと云う)
「えー、今回は…」
話始めた署長と、其れ等の情報を詳しく話すnrさんは手慣れて、逐一有り余る情報を共有していた。
いつも通りの日常である、皆んなの瞳や雰囲気が切り替わるこの瞬間はこの職について早くに気づいた事である。
署を出た所、植物が綺麗に生やされた植木の階段でただ立ち止まって空を見上げた。何か、この空にシンパシーを感じた気がしたのだ。
ーー何ともこの世界は曖昧である。
未だ空はこんなにも輝き、美しさを放ち続ける。青く澄んでいてこの世界をどこまで行っても覆い尽くすこの空は手を伸ばしたって届かない。
悠久の空は焦ったいが、丁度良い塩梅だったと。
観想、続けると浮き足だった俺の姿を見たのかそれとも気まぐれかは分からないがtburが俺へと触れてくる。
「空に帰んないで下さいよ」
「んはは、そうだね」
ーーあゝ、何と云う事だろうか?
心底心配するような眼で見つめられてしまった、その顔は眉間に皺を寄せて唇を詰むいで以下にも”堪えた”表情であった。
そして彼は俺の頬に触れたーー、しかし仮面は被ったまま。
きっと今、tburの手には固い仮面の触感が伝わっているに違いない。それは日陰に居たせいできっと少し冷たくて、少しだけ恐ろしいと。
ーー「客船強盗っすよ、ヘリ出しますか」
「うん、出すよ」
そう俺が言うと、tburは安心した様な表情で頭を撫でて、手を振り去っていった。
そういや、tburは考えに耽る俺が嫌いだと云う。他の人から話を聞けば浮世だった、どこか焉世の者に成っているように感じてーー不安になるだとか。
side:wes
空は依然として晴れ渡り悠久を感じさせる事まで容易くーーである。
さて今日も今日とて、他のギャングが取っていない内に得た客船強盗のチャンスを生かせないものか。
そう思いながらヘリを悠々と運転し、警察が来るまでの間守備をし続ける。来てほしくない気持ちが、多いのは当然として今日は何故か空を独占したい気持ちが強い。
青々とした空は何時もと変わらないはずである、否違いがあれば晴れているとか、雨が降っているだとか些細な違いだけで。
ーー「駄目ですよ」
声が聞こえる、それは上からである。
かの有名な蒼い彼が、直々なお出迎えをーー、私はほくそ笑みどこか浮世だった彼の優美で強かな動きのヘリにアタックを開始するまでも無く当たられたのだった。
理不尽なまでの正確さを持つヘリを毎度の如くその精度を保ったまま運転する彼は、警察の中でも群を引いている。勿論、犯罪者に恐れられる彼だ。
恐ろしさと、好奇と、美しさ…。
ーー蒼い彼は、見上げた空によく似ていた。
ヘリ同士の追突する音が私の耳奥を通り抜け勝利への欲求で脳のストッパーが外れる、アドレナリンの過度な放出はやれ気分を高揚させた、見事なまでの”ハイ状態”である。
目をかっぴらいた、彼を、aoirdoという残酷な空を記憶に残す為である。
ヘリのガラスの奥の奥、彼の瞳が確かに私のヘリを見つめる。
その目は、いやに美しくて空の様な水色を宿して、深い蒼が眠っている。水晶体が輝く様に光体がその目を照らし出していて逆光で、光だけが鈍く見える。
なんとも美しいソレは、厭世的な人々を照らす光となるほど眩しかった、
そうして私は考えたのだーー。
side:wes
rdo君のヘリに激突され、見事なまでに不意打ちのアタックで落とされた私は今や護送状態となっていた。
なんとも屈辱的である。
仲間たちと揃ってパトカーに入れられ、ロスサントスの街並みを駆ける車窓に私は目を向けた。
空が鈍く輝いていた、世界を明るくしていた空は何も変わらない、そう、いつも通りだったと。
ーー私が手に入れたかった、独占したかった空は…。
パトカーから降ろされ駐車場に着く、何人かの警察が目の前を進んでいく。
奥へ、奥へ。重い扉を開けると牢屋の広い部屋へと連れ込まれ、鉄格子の扉を閉められた。
「ウェッさん、駄目ですよ」
青い髪はまだ見える、そして眼の中の水色に輝く空模様がまるでこの世の物と思えなかった。深い青は深海の様で、はたまた太平洋の水平線の色をしていた。
慈愛なんかでは無い、けれど決して寒冷の海ではなかった。
彼は手を伸ばした、細く、華奢だが硬く男性らしい手。
残酷な空の生贄(そのもの)はどこまで行っても澄んで真っ直ぐな眼をしている、戦闘中では気付かなかった発見だ。
私は伸びる彼の腕に反抗はしなかった、そして彼は伸ばした手を私の手に重ねる。
手錠の冷たい感触、彼の冷たい手の感触。
二人が感じる感覚は何にせよ、普遍するものだと私は思う、そうして彼はその面様を私に近づけた。
艶やかな表情、これをもし慣れていない者にしたのならきっとセクシャリティの沼に沈んで不埒な結末になったのだろう。
ーー彼は私の手に軽く触れた後、その手を絡み合わせた、そして…。
彼の手が私の首筋へと当てられ、いやに口角を緩りと上げて微笑んだ。
嘲笑じゃない、けれど意味も無いのかもしれない。
そうだったな、空そのものの彼はいつだって気まぐれで手を伸ばしても、ヘリから見上げた空の様に届く事なんて無い。
それでも焦がれるのは、それでも魅了されるのは美しいからであり、慈愛をその心を向けて欲しいからであってーー。
首筋に触れた手は喉仏へと伸びた、彼が口を開けた、甘い童顔の彼はやけにあざとくて蠱惑的だ。
まるでおいたが過ぎる犬を叱る様に、少し眉毛を下げて彼は口を紡いだ。
ーー
「あの空は、皆んなの物なんです。
でも、誰も手に入らないから名前をつけれないだけ。分かっているでしょ」
「独り占めは良くないですよ、困っちゃいますから」
「さて、切符切りますよ」
空自身は気づきやしないーー
首から手を退けて、切符を切り出す彼を横目に私は観想に浸った。
彼は、空である、全くの青色である。
鈍感で、優しくて、可愛くて、美しい君。
ーーその行為は毒だというのに、人を魅了するだけする、悪魔の行為であるというのに気付きやしないーー
彼が描く物語の、ダゴンは邪気に溢れて人々をその姿に釘付けにさせるーー。
忘れられない、そのお陰で彼は物音を聞いて、いやソレ迄も薬に浸った賢者であったと云う
ーー思い出した、君は陀艮(ダゴン)である。
しかし真逆の、だ。
美しさと、その気まぐれで人々を魅了し囚われさせる。現に、ギャングや警察は既に君を離そうとも君を譲ろうともしない。
意思の尊重を語りながら、実のところ外堀を埋めて逃げられない様にしている。
ーー海を独占しようと思うのは、私も当てられたから
嗚呼、なんとも悪魔的な…
溢れ話
→
「rdo君〜?犯罪者に過度なおさわりは禁止だよ」
「ええっ、そんな事した?」
side:dr
いやはや、目の前で青髪を緩りと振る彼は悍ましい。
あまりにも鈍感、と言った方が良いのか蠱惑な彼と言った方が良いのか…。
艶かしい表情で、首筋に触れる彼は犯罪者の目を釘付けにしたのだ、聖少年の様な彼がその童顔で、子供の様な好奇に溢れた眼でギャングボスに触れるとなったら…お茶の間が凍るシーンの完成である。一体、何のドラマなんだ…。
嫉妬と云うよりかは何とも言えないこの感じだ、彼の神聖さを失わせるべきでは無いのだから、危機を作らない様魅了させない様にこの行為はやめさせなければいけない…。
しかしこれは無意識の行為であって、それをなんとかするのは中々に骨が折れる。
さっきの犯罪者(餡ブレラ)も、ボスのwes並びに他の者でさえその姿に何処か”眼を奪われた”様な雰囲気があった。
狙われない様、外堀を埋めている筈だがそれは彼自身の何の障害にも成っちゃいない。
「(どうやって、彼を守ろうか……)」
〈rdoを前線で守ろうとする墜ちたdrさん〉
別サイトでの感謝絵
さよなら〜👋