コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
『四角関係なんて好きじゃない』〜この気持ちに嘘はつけない〜
第9頁 大人な色気。
昨日同様。学校が終わり、私はベリアンとのデートに備えた。
『やっぱりこのコーデにはハーフアップっすね。大人っぽいコーデにはこれが似合うっすから。』
『今の夏新作のワンピースですよ。』
『流石フルーレだね!凄く可愛い。』
『今日はベリアンさんとっすよね?あの人は侮れないっすよ〜。ロノの相手は手強い人ばかりっすねぇ。』
『ふふっ。侮れないって…大袈裟だなぁ。』
『まぁ俺達は花澄さんの味方っすから。
どんな結末になっても選んだ答えを尊重するっすよ。』
『俺もです。』
2人は真っ直ぐ私を見つめた。
『…ふふっ。ありがとう。2人とも。』
私は椅子から立ち上がる。
『じゃあ、いってきます!』
私は待ち合わせ場所に向かった。
ベリアンとの待ち合わせ場所は学校から離れた駅前のカフェ。
『Cafe The Tea AmoR』
季節の紅茶を取り扱ってるお店だ。
ベリアンのおすすめのカフェらしい。
『ベリアンお待たせ。』
『いえ、本を読んでたので全然待ってませんよ。』
『ありがとう。』
(流石ベリアン、さりげない…。)
『ここ、花澄さんと一緒に来たかったんです。ここ、スイーツがとても美味しいんです。』
『そうなの!?楽しみ!』
それぞれメニューを注文して紅茶とスイーツが来るまで会話を楽しむ。
『花澄さんの私服可愛いですね。なんというかオシャレです。』
『ふふ、ありがとう。夏の新作なんだって。フルーレが言ってた。』
『とても似合ってますよ。』
ドキッ。
面と向かって言われてつい、鼓動が跳ねてしまう。
『あ、りがと…ベリアンも凄く似合ってるよ!普段制服しか見ないから…新鮮、というか。』
『ふふ、確かにそうですね。寮は同じでも男子寮で別の棟ですし。』
『会うのは食堂でご飯食べる時くらいだもんね。タイミングが合えば。』
『えぇ。』
『お待たせ致しました。こちらのストロベリーチーズタルトとダージリンご注文のお客様。』
『あ、私です。ありがとうございます。』
『そしてこちらがチョコとピスタチオのタルトとハーブティーです。どちらの紅茶もお好みでミルクとレモンお使いください。』
『はい、ありがとうございます。』
『凄く美味しそう…いただきます。』
私はケーキを口に含む。
いちごの甘さとチーズの程よい甘みが口の中をいっぱいにした。そして、ダージリンはほんのり苦くて飽きがこない。
『やばい、罪な味だ…。甘いと苦いのエンドレス……。』
『ふふっ。花澄さんの笑顔が見れて嬉しいです。やっぱり思いきってここに決めて良かったです。』
(ベリアンのことだ。きっと沢山考えてくれたんだろうな…。)
私はベリアンをじっと見つめる。
『……。』
(よく見るとまつげ長いし、なんか、こう…色気があるな…。)
『?どうかしましたか?』
『う、ううん!なんでもない。』
(思わず見惚れてしまった。)
私とベリアンはカフェを後にして本屋さんに向かう。
『あ、新刊出てる。』
『新刊ですか?』
『うん、この今読んでる小説の続編。
すごく面白いんだ〜。』
『どんな本なんですか?』
『うーん、主人公がある日突然記憶喪失になって、少しずつ記憶を取り戻していくんだけど、どうしても思い出せない記憶があって。それがなんなのか探す物語なんだ。』
『推理…いや、ミステリー系ですかね。』
『うん、最後どうなるのか楽しみ。』
『…あの、もし良ければその本…貸して貰ってもいいですか?』
『え?』
『花澄さんが好きなら読んでみたいです。好きな人の好みを知るのも攻略の参考になりますから。』
ベリアンはふふっと微笑む。
『っ…!』
本来の目的を忘れてしまいそうだ。
交互にデートをして誰を選ぶのか――。
それを託されてるんだ。
『わ、わかった。今度持ってくね。』
『えぇ。楽しみにしてます。』
その日の夜。第三寮。私の部屋。
『緊張したぁ……。…ベリアンがあんな顔するなんて…少し、ドキドキしたな…っ。』
(心臓持つかな……私。)
次回
第10頁 譲れない気持ち。