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『四角関係なんて好きじゃない』〜この気持ちに嘘はつけない〜
第10頁 譲れない気持ち
今日は水曜日。バスティンとデート…のはずが――。
ザーー……。
朝からの大雨で外には行けなくなった。
ということで…。
バスティンの部屋でお家デートということになった。
第二寮 バスティンの部屋。
『すまない、花澄さん。』
『バスティンのせいじゃないって。』
『…何かしたいこととかないか?読書とか…ゲームとか…。』
『うーん、そしたら…あ、トランプやろうよ!』
『トランプか、いいな。今持ってくる。』
バスティンは引き出しからトランプを探す。
(ここがバスティンの部屋…。男の子の部屋入るの…初めて。なんか、いい匂いもするし…。
なんか、緊張してきた…っ。)
『早速やろう。』
『うん!負けないよ!』
数時間後――。
『……。』
『また負けた…。』
『あはは、ごめんね私トランプ得意なんだ。』
『悔しいな…もう一度やろう。』
『うん!』
『…花澄さんは昔色々やってたからきっとそれだな。』
『あぁ、囲碁とか将棋の?』
『あぁ。だからこう言うゲームは得意なんだな。』
『そうだね…。昔から得意だったってのもあるかな。でも、色々あって辞めちゃったんだ。』
『聞いてもいいなら教えて欲しい。』
『小さい頃から和風の物が私好きなの。
和菓子とか、畳とか…植物も和のある百合とか竹とか…それで和の雰囲気のある囲碁、将棋、かるた、弓道…どれも畳の上でやるものでしょ?後は和服と言ったら着物だから…それを着てみたくてやり始めたの。それで習い事し始めて…。最初は楽しくてやってたんだけど、賞を取ればとるほど…周りの私への評価は下がるばかりなんだ。』
『……。』
『目立ちたがり屋とか、大人への媚…しまいにはお金を渡して賞をとったんじゃないかって、噂されるようになったの。それで…逃げるように私は去った。だから私がもうそれらをやることはもうない。…やるとしたらよっぽどの事がある時だね。』
『……もしその時がきたら、迷わずやるべきだ。』
『え?』
『華道をしてる時の花澄さんは凄く綺麗だけど…いまトランプをしてる花澄さんの楽しそうな顔はもっと綺麗だ。』
『っ…。』
『俺は花澄さんが楽しいと感じてるその笑顔が好きなんだ。他の誰にもない…綺麗な笑顔だから。』
『バスティン…。そうだね…。もしそんな時が来たらやろうかな。』
『あぁ。』
(バスティンと話してると落ち着くな…
なんか、安心する。)
数時間後――。
『すぅ、すぅ…。』
『…沢山遊んで寝てしまったのか。』
俺はお茶を片付ける。
『俺には…弱味を見せて欲しい。
どんなことからも俺が守る。…それにしても、男の部屋に来て寝てしまうなんて無防備だな…。』
サラッ…。
花澄さんの髪に触れる。
『他の男には……見せたくないな。』
チュッと髪にキスをする。
俺は花澄さんを起こさないようにお姫様抱っこする。
夜。第三寮の廊下。
『ん?バスティン?お前、なんでここに…っ。』
『俺との、お家デートで寝てしまったからな。部屋まで運びに来たんだ。』
『あ、そ、そうかよ。』
『…今は俺と花澄さんの時間だ。邪魔するな。』
『っ……!』
スタスタ……。
『んだよ、、釘刺すようなこと言いやがって。』
次回
第11頁 止められない想い。