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午前中のリハーサルが終わり、メンバーは順に楽屋へ戻っていた。
楽屋のすみにぽつんと座っていたこさめの前に、ふわっと甘い空気をまとってすちが現れる。
🎼🍵「こさめちゃん〜、水分ちゃんと摂ってる〜?
ほら、あったかいお茶淹れてきたよ〜」
🎼☔️「……ありがとう、すちくん」
こさめはすちからカップを受け取り、ふっと笑う。
🎼☔️「……すちくんって、いつも優しいよね」
🎼🍵「えへへ〜、優しくするのが好きなんだよ〜。
でもね、こさめちゃんには“優しさ”より、“逃げ場”のほうが必要な気がするんだ〜」
🎼☔️「……逃げ場?」
すちは、こさめの目をまっすぐ見つめる。
🎼🍵「ねぇ、こさめちゃん……“なつ”って、本当に“こさめちゃんの望む番”?」
その言葉に、こさめは息を飲んだ。
🎼☔️「なつくんは……こさめの番だよ。でも、それだけじゃない。
マネージャーとしても、守ってくれて……」
🎼🍵「でも、“檻”だよ」
🎼☔️「……」
🎼🍵「こさめちゃんが笑うと、なつは嬉しそうにするけど――
こさめちゃんが泣いても、たぶん“壊す”だけだよ。
その涙に、向き合うんじゃなくて、原因を徹底的に潰そうとする」
すちは言葉を切って、静かに笑った。
🎼🍵「それって……やさしさじゃないよね〜」
こさめは、言葉を返せなかった。
🎼☔️(わかってる……本当は、ずっと前から気づいてる。
なつくんはこさめを“守ってる”んじゃなくて、“囲ってる”んだって)
⸻
その夜、控え室。
メンバーが帰ったあと、なつとこさめだけが残っていた。
🎼🍍「……今日はすちと話しすぎだ」
🎼☔️「え……」
🎼🍍「“こさめに必要なのは逃げ場だ”――そんなこと言われて、何を思った」
🎼☔️「なつくん……聞いてたの……?」
なつはこさめにゆっくり近づき、その手を顎の下に添える。
🎼🍍「逃げたければ逃げろ。でも、俺の番でいる限り、“許さない”」
その声は冷たく、狂気すら帯びていた。
「お前が必要としてるのは“優しさ”じゃねえ。
俺が与える“居場所”だけだろ」
🎼☔️「……違う」
こさめの声が、震えていた。
🎼☔️「こさめ、ずっと……なつくんに助けられてきた。
でも今は……自分でちゃんと考えたいの。
“番だから”って理由だけじゃなくて、こさめがどうしたいか――ちゃんと決めたいの……!」
なつの表情が、一瞬だけ揺れた。
だがすぐに、無表情に戻る。
🎼🍍「……なら、試してみろ。
誰が本当にお前を守るのか――誰が、お前を“失わない覚悟”があるか」
⸻
その翌日。
レッスン後のスタジオ。
すちとこさめは、人気のないピアノ前に並んで座っていた。
🎼🍵「こさめちゃん〜、泣いてない? 大丈夫〜?」
🎼☔️「……ちょっとだけ、泣いた。でも今は平気。
すちくんに会えて、ほっとしたから」
🎼🍵「そっか〜、それならよかった〜」
すちの声は優しい。でも、その目には芯があった。
🎼🍵「……俺ね、怒ってるの」
🎼☔️「え……?」
🎼🍵「今まで“優しさ”で包んでたけど……
こさめちゃんのこと、“笑わせてくれる”誰かになりたいって思ってたけど……」
すちは、ぎゅっと自分の胸元を握った。
🎼🍵「……ほんとは、“守りたい”って思ってる。
傷つくくらいなら、“俺の手の中にいて”って思ってる」
こさめはその言葉に目を見開いた。
🎼☔️「……すちくん……」
🎼🍵「優しいだけじゃ、だめだったね〜……ごめんね、こさめちゃん」
ほわほわした笑顔のまま、それでもすちは確かに言った。
🎼🍵「俺、こさめちゃんの番じゃないけど――
“なつよりも、ずっと大事にする”って、言っていい?」
⸻
その瞬間、ドアの影から誰かがその会話を聞いていた。
影に隠れていたのは――みこと だった。
🎼👑(……すちくん、やっぱり……)
震えた手を胸元に当てながら、みことは静かに、その場を去った。