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異世界転生してドラゴン狩りを無双していたら、うっかり竜騎士と恋に落ちそうな件について

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異世界転生してドラゴン狩りを無双していたら、うっかり竜騎士と恋に落ちそうな件について

1 - 異世界転生してドラゴン狩りを無双していたら、うっかり竜騎士と恋に落ちそうな件について

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2024年09月30日

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わたし、福山もみじ28歳は創薬ベンチャーで再生医療の研究に取組み、日々やりがいを感じ寝る間も惜しんで嬉々として仕事に取り組んでいた。

しかし、会社が資金調達に失敗し事業譲渡が決まった。

あと少しで研究に目処が立ったのに。悔しくて悔しくて。

そんな折に社長に呼び出されて駆け足で登った階段を踏み外して…



「メープル、気づいたかい?」

「…、おばあさま!!」

ベットに横たわるわたしの顔を年季の入った顔が心配そうに覗き込む。わたしを女手1つで育ててくれたおばあさま。


いま、前世を全てを思い出した。

そうか、わたしはあの時死んだんだ。

そしていま、この異世界でメープルという名で18歳の女の子として生きている。

わたしはどうやら、村のドラゴン討伐に参加してドラゴンに襲われそうになり頭を強打して倒れたらしい。

そして、仲間のシナモマムに助け出されて、家に担ぎ込んでくれたのだ。


急いで起き上がって窓辺に行き、空を見上げる。

前世ではアニメや漫画でしか見たことがないはずのドラゴンが悠々と空の高いところで飛んでいる。ドラゴンを見ても現世のわたしは驚きの感情よりも倒さなければという使命感が湧いてくる。

数年に1度現れるドラゴンの群れに村を襲われ、わたしは6年前に両親を亡くしている。


わたしはおばあさまが止めるのも聞かずに、家を飛び出した。

海辺を走り、マングローブが群生している森を抜け、村の討伐隊のみんなのところまで全速力で走る。

村の討伐隊のみんなのところに着くと、手詰まりのようで頭を抱えていた。


「メープル!もう大丈夫なのか?」

「もちろん!シナモマムありがとうね。それよりも状況はどう?」

「全然だめだ。強くて歯が立たないんだ。せめて、少しの間でも動きを封じることが出来たら、そこで斬りかかれるのに!」

動きを封じる… 魔法でもない限り難しいわよね。

そう、その場で苦しませて動かないように…

「…神経毒」

「えっ?」

「神経毒を使うのよ!」

「メープル、それはなんだ?」

シナモマムも他のみんなも唖然としている。


さっき、マングローブが群生しているところがあった。もしかしたら、アレが生えているかも知れない。

わたしは急いで海辺のマングローブの群生場所に戻る。


「やっぱりあったわ!!これでドラゴンの動きを封じることができるわ!」

それは前世の世界では最強の毒を持つ植物と言われるマンチニールだった。

この世界ではまだ知られていない毒だった。


それからは村の討伐隊のみんなと一緒に、前世で研究員としての知識を遺憾なく発揮させてもらい、注意を払いながら猛毒入りの巨大な団子を作った。

これによって作られた巨大団子を襲いかかってくるドラゴンに投げ、ドラゴンがそれを拾って食べると神経毒で麻痺を起こす。その間に息の根を止めるという、効率の良い討伐の方法が確立された。


その方法は半年ほどであっという間に全土に広がった。

そしてわたし達は率先してドラゴンをバッサバッサ倒しまくり無双した。



「ドラゴンが空からいなくなる日が来るとは思わなかったですわね」

「本当に清々しい気分ですよね」

「ドラゴンに怯えないで暮らせる日が待ち遠しいわ。早く全て絶滅しないかしら」

お貴族様のマダム達がカフェでおしゃべりを楽しんでいる。

今日は朝からマンチニールの毒を瓶に詰める作業をして、国内で3番目に大きい街の貿易会社に納品にきた。

その帰りにカフェに寄ったのだ。


「マダムの皆様、お話中に失礼。悪いドラゴンばかりではありません。人間に従順で心を通わせてくれるドラゴンもおります故、絶滅すれば良いなどと言うのは口を慎んで頂きたい」


隣のテーブルに座っていたんだろう。

太陽に溶け込んでしまいそうな金髪の若い男性が上機嫌でおしゃべりを楽しんでいたマダム達に水を差すような反論をした。


「ま、なにを突然!!」

マダムのお一人が扇を広げて、あからさまに不機嫌になった。これはまずい。一発触発の危機だわ。相手はお貴族様。相手が悪すぎる。

自席から立ち上がり、マダム達のテーブルに近づいた。


「お話中に失礼。わたしは自分の住む村を襲ってくるドラゴンを討伐したものですが、心を通わせる「良い」ドラゴンなど見たこともありませんよ。貴方はドラゴンの討伐をしたことがないから、ドラゴンの恐ろしさがわかっていない。だからそんな悠長なことを言えるのです。ここの皆様が平和を願うのは当然のことです」

「そ、そうよ。この方の言う通りだわ」

マダム達のご機嫌が少しは戻ったようだ。


わたしに言い返された若い男性は少し不機嫌そうだったが、グッと感情を抑えたのが見て取れた。

「大変失礼した。平和は誰しもが望むことですね」

そう言うと、その若い男性は店を早足で出て行ってしまった。


「ち、ちょっと待って」

わたしは急いで残りの紅茶をグイッと一気に飲み干すと彼を追いかけた。



「先程はごめんなさい。でもあのお貴族様のマダム達を怒らせると大変なことになると思ったの。気を悪くさせたのなら謝るわ」

わたしの声で振り返った男性は先ほどの不機嫌な様子はなく、クスッと笑った。


「いえ、貴女に非はありません。私が狭量だっただけですよ」

正面から見た彼は吸い込まれそうなぐらい綺麗な琥珀色の瞳が優しい、精悍な顔立ちの男性だった。


「あの、貴方がお話しされていた、人間と心を通わせる「良い」ドラゴンは本当にいるんですか?」

「もちろんです。私はそのドラゴンをとても可愛がっていますので、全て絶滅すれば良いという言葉に感情的になってしまいました」

「そうだったんですね。もしよろしければ、その子に合わせてもらえることは出来ますか?」

わたしは神経毒を開発して大量に毒を作り、ドラゴン討伐を率先してきた。

人間と心を通わせることができる「良い」ドラゴンが本当にいるなら、それを見て確認しなければと思った。

彼に無理を言ったのはわかっている。


彼は少し驚いた表情を見せた。

「貴女はドラゴンが怖くないのですか?」

「とっても怖いわ。それでも見ておかなければと思ったんです」

でも、わたしが神経毒を開発したことを彼に言うのは怖い。

きっと知ったら軽蔑され、罵られるかも知れない。


「わかりました。次の祝祭日にこのカフェで待ち合わせをしませんか?」

わたしはこくんと頷いた。


「私は王都で騎士をしている。ノアと呼んでくれ」

「ありがとう。ノア、わかったわ。わたしはメープル。では、次の祝祭日にさっきのカフェで落ち合いましょう」

瞳と瞳が合う。

彼の綺麗な琥珀色の瞳から目が離せない。

良いドラゴンもそんな気持ちになったのかしら。

でも決して彼に深入りしてはならない。

ただ、いまは人と心を通わすドラゴンを確認したいだけ。


わたしはきっとノアにとって「敵」だ。

恋に落ちてはならない。

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