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役所で登録を終えた次の日に、冒険者身分証明書と装備を持って外出した。
行き先は、この装備:サマナー用召喚デバイスを購入した時に利用し国家認定の装備販売店である。
デバイスの調整設定と、召喚するモンスターの購入は冒険者身分証明書が無ければ出来ないため、改めて行かなくてはならないのである。
装備によっては一度の買出しで済むのでコレも職業格差と言えるのだろうか。
購入手続き(店)→登録(役所)→受け取り(店)
お役所都合とはいえ二度手間だし足代が欲しいなー
実家近くにも非公式の個人経営の店もあるのだが、そちらはマニアックな感じで、いわく付きの召喚デバイスやら、一見クズカードに見せかけて実は、とかSUGEEE物があるかも知れないが命懸けのダンジョン探索で信頼性不明な物はちょっとアレですしおすし。
今回俺がなるのはサマナークラスだが、一般的に冒険者には6つのクラスがある。
クラスは自称するものだが、自分が得意とするものを名乗るのが一般的で、登録時も装備にあわせて申請する必要がある。
主なクラスと装備は、
ファイター: 専用近接武器・防具
アーチャー: 専用遠距離武器・防具
メイジ: 専用術式武器・防具・異能力認定証
プリースト: 汎用武器・防具・信仰証明書
サポーター: 汎用武器・防具
サマナー: 汎用武器・防具・召喚システム・ソウルカード
となる。
とはいえ、ほとんどの人が最初に設定できるのは、ファイター・アーチャー・サポーター・サマナーだろう。
ファイター・アーチャーは現実での経験が物をいう。
装備も、市販品でそろえることができるので手軽に名乗れるクラスである。
銃器を使う軍人さんも結構な割合でアーチャーである。
メイジは少々特殊で、生まれつき超能力者であるか、ダンジョンで魔法スキルを手に入れて役所で認証を受けて初めて名乗れる。
プリーストも同様ではあるが、ほとんど宗教関係の団体からの出身となり、無所属の初回登録が発覚した場合は宝くじ1等の当選時並みに関係団体からお誘いが来るそうだ。
魔術協会も近年、公的に設立されているが、まだ大きい団体ではないようで情報はあまりない。
サポーターは少々特殊で、パーティーメンバーのサポートを主に行おうとするクラスだ。
中級以上の段階では、このクラスはソロの活動がほぼ不可能に近いので、大手の冒険者団体に所属する事が必須となっていると言われ、
むしろ大手がダンジョン内で補助をさせるために確保していると言うのが一般的な見方だ。
上級のサポーターになるとサポーターの言葉の定義が乱れるとも言われているが。
そして俺が申請したサマナーはというと、実はサポーターに近い立ち位置である。
サポーターとの大きな違いは、戦闘をほぼ召喚モンスターに任せる点で、専用装備が必要となるが本人の戦闘能力は必須ではない点である。
これにより、武術の能力・才能が低い人でも冒険者になることが出来、冒険者のクラス割合はサマナーが一番多い。
ただし問題が無いわけではなく、サマナーは基本的にソロ活動となる。
理由は召喚モンスターである。ネットで調べただけの知識だが、はっきり言おう。モンスターの指揮を取りながら仲間と連携するとか、無理。
味方と敵が入り乱れる狩りゲーで、召喚モンスター数と同じ数のコントローラーを操作しながら、味方に攻撃を当てずに最大効率でモンスターを運用できる人だけが他人とパーティーを組みなさい(白目
初心者のうちは絶対無理、中級者で何とかいければいいなぁ、上級者?昔からの固定パーティーでエスパーならワンチャン、位の感覚だそうだ。
ダンジョンの構造によっては使役が難しいモンスターもいる訳で、敬遠度がアップ、倍率ドン! さらに倍。
まぁ、パーティーを組む事なんか出来そうに無い俺にはサマナーしかない訳ですが。
公式の資料によると、昨年度のクラス割合は
サマナー 60%
アーチャー 20%
サポーター 10%
ファイター 5%
プリースト 4%
メイジ 1%
となっていた。
ここまでクラス分けしておいてなんだが、クラスは自称であって、型に嵌り切った物ではない事に注意が必要だ。
ファイターを名乗ったら召喚デバイスを使えないわけでもなし。得意分野の自己紹介ぐらいで捕らえるのが無難な所だろう。
一例として上げると上級の冒険者には、たった一人でBクラスの天使系の召喚モンスターを使役し、回復魔術と身体能力のバフ系魔術を味方に、闇系の攻撃魔術を敵にバラ撒きながら最前線に長剣二刀流で突撃する自称サポータークラスの御方がいらっしゃる。
クラスとは一体。(哲学
電車で二駅、徒歩十五分。
店に入って召喚デバイスと冒険者身分証明書を預けて、召喚システムの初期化と追加アプリのインストールを依頼、料金を支払った所で三十分位待って欲しいとのこと。
後は調整後に召喚モンスターのソウルカードと契約して召喚デバイスにインストールするだけなので、待ち時間にソウルカードの売り場を見回った。
今回購入するカードは既に決めていたので、対象のカードを先に購入して他のカードを見て回る。
カードには種族名とその種族の容姿が写されていて、カードの下には、店がその種族の特徴を記した紹介文と、モンスターのランクのメモが用意されていた。
値段は強さと需要で変動する様で、人気・不人気は価格にハッキリと反映されていた。
最低金額はGランクの餓鬼の百円で、紹介文を要約すると、最弱と評価される事すら烏滸がましい穀つぶしとなる。
餓鬼の使い方をスマホで検索すると、
・飢餓に支配され召喚者の命令を聞けない
・召喚直後から最寄の食べ物を食べようとする
・食べる事しかしない
・食料を用意して囮に使おうとしても敵が無視する
・食料が近くに無く、敵と味方しか居ない場合、味方を食べようとする
・食料でトラップに誘導して漢解除させようと思ったが、食べ物で遊んではいけないと仲間に怒られた
……俺は検索結果をそっと閉じた。
いろんな地雷が、あるんだなぁ……
逆に店売りされていた中で最高ランクのカードは、一般販売されるカードの中では最高ランクのBランクで木花之佐久夜毘売命(コノハナノサクヤヒメ)、サポート・回復能力に特化したカードでダンジョン発生初期のスタンピードで活躍し一躍有名になったカードでもある。
上級冒険者の第一線では格落ちするが、それ以下の冒険者では所有する事が一種のステータスになっているようだ。能力もさることながら、やはり美人だしなぁ。神様だし、人の言葉では表現できない美しさがそこにはあった。
金額もかなりの物で、百五十億円の値段が付き、一見して特殊と判るケースで展示されていた。同じケース内には、どれも近い金額のカードが納められ、種族名も有名所では無いが神様の名前が記載されていた。
面白いのは、Bランク内でも値段の格差が激しい事で、Bランク内でも最低価格は千万円、種族は黄泉醜女、紹介文を見るとBランク下位の能力は確かにあるが、それ以外はとにかく酷い事を書かれていた。
ネット上の評価を見ても相当な物で、何故か最臭兵器シュールストレミングとの類似性を比較していたサイトでは結論の部分でコラ画像を用意していて「完全に一致」の記述を見たときは店の中で思わずブフォと噴き出しかけた。コレは酷い(笑
そんな風に時間を潰していると、作業が終わった様で呼び出された。
代金を支払い、装備類を受け取った後、俺は裏手の神社に移動した。
次はカードとの契約だ。