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夜風が少し冷たい。
金髪は肩をすくめて、
俺の横に体を寄せている。
「京一郎…って、ほんとにどこでも寝れんだね」
「まあな。
便利だろ?」
「ちょっと羨ましいかも」
金髪は小さく笑ったが、目はやっぱり寂しそうだった。
「寝れない時は、どうするの」
「寝れない…ときは、
考えるのを辞める。」
「へえ
……考えないようにするのって、どうやって?」
「なんでもいい。
呼吸に集中したり、煙草吸ったり……気ぃそらすんだよ」
金髪はそれを聞いて、ふっと肩を揺らして笑った。
「なんか……京一郎、らしいってゆーか」
「らしい?なんだそれ。 」
「なんとなく。
これで、あたまぼわぼわするの……治んのかな」
「まあ……
あー、でも…煙草は駄目だな。」
「でも……
京一郎と居るのが……いちばんのお薬、」
金髪は俺の腕を大切そうに抱きしめる。
「……なんだよ」
「京一郎……あのさ?」
「ん」
「……俺と、居るの
嫌じゃない?」
「……まあ」
「なんで」
「なんでって……なんとなくだよ。
まあ、 心地…いいんだろうな。」
「……ふーん。なんとなく、ね 」
「…悪いかよ」
「悪くない……」
「京一郎……明日、予定ある?」
「……予定…特にない。
あってもなくても、ここに来るから。」
少しの沈黙の間、金髪が言った。
「京一郎……、
夜って…不思議だな」
「…不思議?」
「昼と違うじゃん。
時間もゆっくりだし……空気、重くない。」
「だな。
昼はなんか急かされるけど、
夜は勝手に落ち着くわ。」
金髪は腕を抱える力を少し強めた。
「京一郎……名前、また呼んでいい?」
「…好きにしろ」
「京一郎……」
「橘……京一郎…さん、」
声が夜の空気に溶け込んでいく。
それと…
金髪の体温が一気に熱くなった気がする。
「……なんだよ、そんなに呼んで」
「……きょう……いち、ろ」
急に金髪の声が静まった。
その後、優しい寝息が聞こえた。
「……ガキがよ。」
金髪の声が、胸に静かに落ちる。
俺はその感覚を味わいながら、金髪の頭を撫でていた。