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人間には、譲れないものと
離してはならないものがある。
それはとても自分にとって
美しくて綺麗なものなのだ。
例えば肌とか、心臓とか、
お気に入りの服とかでもいいし
何個あっても足りないもの。
そんなものを、手放そうと、
離れようとしたその時が
人生の分岐点である
本当は勘づいていた。
あなたがいなくなれば、
自分として生きていられなくなると。
あなたは先を越そうとする。
誰よりも走って行こうとする。
広い広い広大な大地で、
あの丸い背中はひらりと舞い
ぽっと、消えていく
あなたと初めて出会ったのは
入学式の春の緊迫する時期だった。
その姿には、目を焦がされたものだ。
信じられないほど美しく
とても可憐であった。
作る可憐さではない。
純粋な可憐さだったのだ。
声をかけられず立ち尽くした自分を
通り過ぎていってしまった。
目が合ったのに、あなたは
すぐに冷たい目をしていた。
自分には、目もくれず、
ただ何かを見る儚い目をして。
その時、あなたの背中には
羽など生えておらず、
なんだか嫌な気をしたのを覚えている。
可憐であるのに、なぜ
そんな冷たい目付きなのだろう。
少し怖い。
その翌日の事だった。
なぜかあなたは席の近くに来て
ねぇ、と愛しく澄んだ声を響かせた。
話しかけてきた内容は
移動教室の場所がわからず、
迷ってしまうから一緒に
きてくれ、という内容だった。
あなたは真面目そうな自分に
声をかけてくれたらしく、
昨日の事が嘘みたくあなたとの
学校生活を試みた。
そしてあなたに、色々な事を
聞いて、楽しく話した。
移動教室の方は遅れてしまい、
仲良く先生に叱られたのは
2人だけの秘密だ。
そして時は流れ、あなたと
良い関係を持ち、「友達」になった。
友達になるとあなたは
色々と内面を話してくれた。
目つきが悪い所。ゲームが得意な所。
人と交流が深められない所。
小学生の時は一重だった昔話。
目が悪く肉眼は0.8な所。
コンタクトでなんとかやって、
眼鏡は壊したから使えない、とか。
色々あなたについてよく知れた。
個人的にとても嬉しかった。
可憐なあなたの内面が見れて、
しかも意外な一面が確かにあって。
すごくすきだった。
友達として。最愛の人だった。
あなたは自分以外にもかなり
話しかけることを努力して、
必死に向き合っているみたい。
その努力する姿が
なんとも愛しくって、
大切にしたいと思って。
自分はあなたの後を着くように
あなたに尽くそうと思った。
そしてその翌日。
学年末試験と同時に、あなたは
自分以外の友達を作った。
バクバクした心臓がこっちまで
聞こえてきそうなくらい、
体が小刻みに震えながら話しかけた
「阿波」という委員長だった。
阿波はいつも休み時間に、
勉強をかりかりとしている。
割とフレンドリーな自分さえも
話しかけるのは躊躇してしまう。
それなのにあなたは
必死に話しかけて、仲良くなった。
母が子の寝返りを見て、
喜ぶみたいな感情だった。
とても嬉しかった。
自分のこと様に喜んだ。
学年末試験が終わると
あなたは自信が無い、無理だと
言わんばかりの悲しそうな
悟りを開いたような顔だった。
テストもそれぞれ手元に届き、
自分なりにいい点をとった科目が
多かったので、安堵する。
あなたに目をつけると青ざめた
表情で死んだ魚の目をしていた。
休み時間話しかけて、
元気付けれる自信はないが
話すぐらいならしてやろう。
テストの補足、みたいなのを
説明する時も同様だった。
観察すればするほどあなたは面白い。
休み時間になり、一目散に
あなたのもとへ駆け寄る。
あなたは点数を恥ずかしがりながら
隠して、そこだけ折っていた。
小学生の隠し方だと思い、
あなたが折った紙を元に戻す。
あっ、と腑抜けた声を出すあなた。
自分は40とかかれた点数を、
唖然としてみていた。
あなたは見た目的に賢そうだが
実際はあんまりなのかもしれない。
あなたはその日から、
少し腹立たしく頬を膨らませ、
拗ねている顔をしていた。
悪いことをした気分だが、
あなたはすぐに笑った。
その笑顔には勝てなくて、
増してや演技だと言われ、
あなたの穴にはまるだけの自分だ。
その穴が心地よくて、
大好きなだけだが。
その日の放課後。
何も無い日に屈託するものの、
うっかり教科書を教科書を忘れ、
しかも明日提出の課題まで。
自分が馬鹿になっている気がして、
焦りながら走って、学校へ行った。
春の匂いもそろそろ終わり、
夏の匂いが程よく漂っている。
小学生がはしゃぐ声が
風の音よりも鮮明に聞こえて、
やんちゃな子供が遊んでいた。
学校についた頃には、
部活帰りの先輩たちが群がっていた。
一人ぐちゃぐちゃな制服な自分が
恥でしかないが、仕方がない。
そそくさと自分のクラスへ入る。
教室に入った途端、自分に
猛烈な痛みが襲った。
がつがつと体を殴られるような、
目元を殴られるような感覚。
そして冷たい冷ややかな風。
驚いた。まだ、春というのに
放課後の教室にいたのは
紛れもないあなただった。
それにあなたには
羽が生えていた。
あなたが冷たい風を流して、
冷えた綺麗な羽を羽ばたかせる。
幻覚かと思った。
けれどあなたの香りが、
あなたの髪があまりにも
可憐になびくから
逆に本物だと思ってしまうのだ
あなたの目は強制的に
吸い込むような美しい目へと変形し
美しい羽はバサッと広げて、
自分を見ていた。
なにか話そうと思って
口を開いたが、自分の声は
恐ろしく震えてなにも言えず、
数秒間の沈黙が続いた
そんな時にあなたは言った
ごめんね と。
自分は好きだったその姿は、
あなたにとっては苦しみだった。
あなたは人である。
あなたは生物などではない。
あなたに何が生えても
何があってもあなたは輝かしい。
ごめんね というあなたは
続けて 本当は と言った。
本当は、見せたくないけど、
見ちゃった、だからいいや
羽生える病気って知ってる?
羽生える病気ってどんどん
大きくなって体の栄養を吸って、
最後には全部体の栄養を吸い尽くされて
羽も最後には持ち主が尽きるから、
そのままバサって、ちぎれちゃうんだ。
皮肉だよね
だから、ほとんど余命みたいな。
羽は割と隠せるけど多分今だけ
まだ色んな事知れてないのにね、
なんだか寂しいね、ごめんね
あなたは座っていた机に
ガタンと音を立てて立つ。
目線が合って風がまた入る。
髪の毛が無様に風の方向へ飛び、
しわくちゃになって視界が霞む。
自分は好きだよって言わなきゃ。
その羽もその目も好きだよ。
その一心で伝えなければ。
霞む視界の中でバッチリと
捉えたのはこちらの状況を伺うあなた。
あなたは少し笑って、
瞳の色を多少黒くしていた
あなたに言った。届けた。渡した。
自分は好きだよ、嫌わないよ、
綺麗な羽だと思うよ、
皮肉だけど、その綺麗な羽が好きだよ
あなたは唖然とする。
怖がると思っていたのか、
目をまるくして焦点を自分に合わせる。
ピントが合う。
瞳の色が戻っていく。
羽が縮こまっていって、
風も、優しげな風へと変形する。
あなたが従えているみたいな
美しい羽と髪色は光った。
あなたははじめて言われたのか
泣きそうな顔になり堪えている。
あなたは思いがけない返答に
驚いて蹲っていた。
その時、あなたには自分の言葉が、
誰にも言ってもらえなくて
苦しかったんだ、とおもった。
なんて悲しいんだろう。
手のひらが真っ白になって、
怒りと涙が混ざって消えている。
あなたの肩に手を置いて、
ぐっと引き寄せる。
びく、とするあなたは
すぐに頬を赤くして身体を震わせた。
自分の体に巻き付くように、
あなたは羽をしまって言う
ごめんね
何度もきかせられるこの声は
いつもよりも震えていた。
その夜。あなたの事について、
ずっと頭を働かせていた。
自分の中じゃ分からないことだらけで、
頭の中で整理できているか、と言われれば
そんなことはないとは思う。
あなたの一部分を知っただけ。
それでもなにか怖いものに感じれる。
矛盾する考えが頭を惑わせ、
あなたに対する言葉が尽きていく。
頭が惑えば体も何か重く感じ、
抱えているのはあなたなのに、
自分も抱えているみたいだった。
あなたが抱えるその問題は
自分には背負えないのだろうか。
明日は暗くならないのに
暗くなる不安がどっと襲う。
その不安は、紛れもなくこの事。
「いつか」あなたを滅ぶのだ。
あの、可憐な大切な、あなたが。
大好きなあなたが、滅ぶのが
何よりも恐ろしくて辛い。
美しい。たしかに美しい、
けどそれと同じくらい、憎い。
夜の冷ややかな風は流れず
暖かな風が自分の体を包む。
包まれてされるがままになる自分に
風はそう応えず、すぐに去っていく。
まるで誰かに、引き剥がされ
裂かれ、あなたとの関係が崩れるように
風は自分が寂しくなり、
抱えている事を見て見ぬふりをした。
そんな夜に出た結論と言うと、
自分からあなたを引き剥がし
失わないで欲しいだけだと分かった。
あなたが居なくなるのが、
あなたを想う夜が増えるのが
なによりも恐ろしい。
翼は綺麗で美しい。
けれど憎い。
翼は自分にとって天敵だ。
目が焼かれて頬が叫ぶ。
暖かい日差しが自分を起こす。
結局、こうやって起きて、
限りあるあなたに会える回数を
ひとつ消費してしまう。
起きたくなくて、太陽を睨んでいたが
仕方がないことだと体を起こす。
なんてひどい、憂鬱感。
自分のことように考えた夜は
太陽の光で何もかも抹消された。
朝。先輩たちの大きく
陽気な声が響く。
夏になっているのに
まだ朝は少し、肌寒い。
自分は、体の重さが堪らなく、
猫背気味になってしまっている。
元々姿勢はいいのに
進学するにつれどんどん
悪くなっている気がする。
接骨院予約しよう、と思いながら
階段を登っていた。
階段はブラスチックなのか
歩くとかつかつといい音が鳴る。
上靴の初々しさが
感じられる白い色からは
自分の足が挟まる。
外から学校の庭で植えている
金木犀の匂いがする。
階段をのぼり、上にいるのにも
関わらず金木犀はいい香りを
学校にバリアを張るように付けた。
教室に入ればあなたが居た事を
鮮明に思い出してしまい身じろぐ。
が、すぐに直し何事も無かったように
前を向いて自分の席へ座った。
学級委員長のプライドがあるのか
阿波は必ず絶対トップバッターになる。
どんなに早く行ってもいる。
住んでいる噂が流れるほど。
阿波は今日も早くから居て、
ましてや勉強をしている。
暇な時=勉強なんだろうと思った。
自分はそんな阿波を流し目に
自分の鞄から課題を出す。
しっかりできていることを確認し、
阿波がカリカリとペンを走らす音を
教室中に響かせているので、
それをBGMに自分も勉強を始めた。
自分はBGMとか音楽を聞かなきゃ
あまり集中ができないタイプ。
学校の授業は別だか
家では必ずイヤホンをする。
α波、という脳波が働くという
音を何時間もループして聞けば、
いつの間にかタスクは終わり
意図せず夜更かしをしている。
そんな自分に利を与えてくれる
音楽は根っから好きで愛用している。
阿波は激しくペンを強く
がり、と走らせていく。
長い髪を眼鏡の中に入らぬよう
阿波はくい、と髪を耳にかけた。
たらっと肩からずり落ちる髪が
教室から入る光に反射して
とても美しく髪そのものが際立った。
特別慕う訳では無いが、
とても親近感が湧く。
なぜなら、ちょっと右側の髪、
跳ねてアホ毛になってるから
あなたと合いそう、
なんて思っているとクラスの人が
ぞろぞろと教室に来ていた。
あなたも来ていた。
自分とは裏腹に気分が良さそうな
顔をしてルンルンで登校していた。
自分はおはよ、と声をかけた。
おはよ、何してるの。
と話題を提示するあなた。
自分が世界史の予習をしている、
と言うとあなたは感心し、
予習すること自体凄いと言った。
あなたは勉強を
テスト期間以外しないらしく、
徹夜をするタイプみたいだ。
自分がそれについて健康第一、
とだけ言うとふふと笑って席へ行った。
ふふ、と笑う時の仕草が
あまりにも綺麗で可憐で、
少し息が詰まった。
あなたは笑う。
自分には出来ない顔で。
教室から入った太陽が
夏を表すような輝かしさで、
頬が焼かれるように熱くなった。
クラスの人が必死でカーテンを閉め、
少し暗くなった教室でも
あなたはひとり輝いていた。
その1ヶ月もした後のことだ。
完全に夏が始まり、蒸し暑い湿気と
熱気に包まれた部活帰りの運動部の人達。
空には青い空が広がり
飛行機雲が空気を読まずに
直進していた。
あなたは、どんどん
やせ細っていた。
栄養を吸われ、あなた自身も
かなり飲み食いしているのに、
どんどん容赦なく吸われているそう。
必死に抵抗していても、
あなたは身を隠すのに必死で、
大きくなった翼は無防備に羽ばたいた。
翼があなたの体を蝕み、
どんどん自分を美しくしている。
ふざけるな、と思った
あなたの方が綺麗だ。可憐だ。
翼は美しい。けれどあなたよりは醜い。
だって翼は引き離せば、
あなたの痛々しい怪我を作るから。
そんな怪我を作らないでくれ。
そんな痛々しくさせないでくれ。
あなたの体を蝕むのを、
辞めてあげてくれ。
自分もあなたと辛くなる。
苦しくなってしまう。
どんどん翼が憎くなる。
あなたも憎む。
自分も憎む。
でも抜けない。
あなたは翼に殺されることを
真に受け覚悟している。
どうして、と言いたいほど
あなたは前向きに生きている。
自分にはできない
あなただけのもの
昼になり、日が明るくなっていく。
ピークと言わんばかりに
異様に光を放っていた。
あのね、余命、3ヶ月だって
ここは非常階段。
誰にも見られないように、
あなたとここに来た。
あなたはそう言った。
自分の気持ちを放って。
あぁ、と変に心の底から声が出た。
あなたはいつもの笑顔に
真っ暗な瞳を貼り付けていた。
あぁ、と言った自分は、
現実味を失い絶望の波が襲う
真に受けた苦しみが、
真に受けた現実が叫ぶ
全部の神経が叫んで、
あなたという人に人生を
狂わされていく
ねじが外れる
頭が無駄に痛くなる
目じりが熱くなりだしたら終わり。
夏の暑さで火照ったあなたの頬は
ひとつも苦しむことなく純粋だった。
ああ、いなくなってしまう。
そう、もう居なくなってしまう。
苦しみながら栄養を吸われて
終わりだって自覚して居なくなる
いやだ、でも、仕方の無いこと
それでも、それでも自分は
ずっと一緒にいたい
まだあなたに
「話していない。」
あなたに言えてない。
自分のことは何も言えていない。
何も、自分から
打ち明けようとしていない
自分は口を開いて、あなたの名を呼ぶ
いかないで、より先に出たのは
自分についての事だった
性別に悩んでるんだ、と。
毎日この服を着るのが嫌だ。
毎日見るだけで憂鬱になるんだ。
毎日あなたの事を考えている。
あなたのことだけ考えてしまっている。
あなたが好きなんだ
あなたのことしか見れない
あなただけ見ていたいんだ
がたっとお弁当が崩れる。
中から何も出ないけど、音は
張り裂けそうなくらい弱々しく鳴る。
ああ、やっと言えた
胸の奥に溜まりに溜まった思いは
一気に溢れて体から抜け出していく
言葉となり揺れる空気
唖然とするあなたは驚いて
「僕」に言った。
「私も好きだよ」
行かないで。
本当は言いたい
けれどあなたの好きが、
あなたが言った好きが
壊れるほど好きで大切なんだ
あなたは自身の空っぽの弁当箱を抱え
自分から死のうとしていたことが発覚した
あなたも僕も悩んでいた
張り詰めて威嚇するスカートに
苦笑いしているあなたは
少し笑って僕を見た後、
視界をグルンと後ろに向けた。
そしてあなたは
階段上からドサッと落ちた。
救おうと手を伸ばしたけど、
あなたは振り払った。
翼のひとつの羽が落ちる。
まだ生きていて欲しい、
その一心で手を伸ばしても
もうあなたは落ちていた
輝かしい白い翼が地べたに落ち、
頭を打ったあなたからは血液が流れる
白い翼に血液がつき、
どんどん赤黒くなっていく。
鉄の匂いがして、
金木犀の香りが濁されて
あなたの匂いが消えた。
後のことはよく分からなくて、
クラスメイトの阿波が駆けつけて
翼に驚きながらも保健室へ
行こうとしていたが、
僕がそれを止めた。
あなたの冷たくなった手を握って
あなたの夏なのに冷えた体を支えた
誰にも触って欲しくない。
僕だけのあなただ。
僕だけの彼女なんだ。
止めてずっと抱きしめていたが
阿波が警察まとめ色々な人へ
拡散していってしまったので
僕らは引き離され、
あなたは息絶えた
その日は夜も夜と感じれず
ただ廃人のように生きていた
生きている感覚がしなくて、
その明日も、そのまた明日も
学校へ行けなかった
あの非常階段は封鎖されて、
あなたの血痕が残されているそう。
僕はずっと苦しんでいた。
そんな日をすごしていたある日。
あるものが郵便物として届いた。
驚いて中を覗いてみると、
あなたの文字の入った手紙だった。
これは最後にあなたがぼくに
のこしてくれたのだと気づいた。
あなたが最後に残した手紙を
僕に渡された時は驚いた。
あなたへ!未来の手紙です。
私ずっと見られてる感覚がしてたんだけど
それって、絶対あなたのせいだよね?
私も時々見てたんだよね。
気付いてた?ガッツリ見てたよ?
あなたと会った時の私、
他人と関わるのが嫌で
全員のこと睨んでたんだよね
みんな嫌そうな顔してる中、
あなただけは輝かしい目で
びっくりしたの。
それでね、仲良くなれそうだなって。
初めて声掛けた日のこと覚えてる?
移動教室本当はわかってたよ。
でもやっぱり話したいって思って。
その時は特別好意なんて
もってなかったし、
自分のことで精一杯だったけど
あなたに羽を見られた時に確信した。
あなただからといって、やっぱ
拒絶すると思ったんだよね
でも、あなたは親よりも
私のことを綺麗だって
翼似合ってるとか言わんばかりの
キラキラした目してたの。
本当はどう思ってるか
分かんないけど、私はね
一生会えない人に会えたって、
大好きだって、思ったんだ
もっと一緒にいたいって
思ったけど、私も力が無くなる程
弱って、私自身首を絞めてる。
ごめんね。あの日言い続けたのは
この事をしてたからなんだよ。
本当にごめん。
私大好きな人に、
はじめて出会ったのにね
大好きだよ、愛海。
あなたの性別のことも知ってる。
あなたはいい名前だけど、
とってもかっこよくて大好きだよ。
私はね、この羽で死にたくない。
この羽で栄養を取られて、
苦しむくらいなら幸せになってから
ぱっと死にたいんだ。
ごめんね。私わがままで。
だからもし私が死んだら、
幸せだったってことで。
愛海、今までありがとう。
もし来世で出逢えたら、
もちろん愛海からプロポーズして
性別が違くたって、一緒に居よう。
ちゃんと結婚して指輪買って死ぬまで
ずっと、ずっと一緒に居ようね
ありがとう。えいるは幸せだよ
えいる
あなたのえいるという名前は
耳に残ってしまって、綺麗だった。
もう、居ないんだ。
もう居なくなったんだ。
性別のことで、どうしてもこの
愛海という名前が女の子らしく
僕的には嫌だった。
本当に嫌で嫌っていたけど
あなたに呼ばれるなら本望だった。
もう一度呼んで欲しい。
あなたにもう一度 愛海 と。
そうしたら僕の名前を好きになれた。
そうした方が僕にとって、
嬉しかったから。
あなたと居れたらずっと、
どこまで生きれる気がしました。
そして、僕は今髪を短く切り
少しだけかっこつけています。
いまもみているといいな。
あの日ひろったあなたの形見は
あなたの綺麗な痛々しい翼です。
と言っても実物じゃなく
レプリカを作ってもらっただけで。
それでもこれを見たら、
1発であなたとわかるんです。
子供の時に書いた日記には、
あなたへの思いがありました。
僕にはかけがえのない人です。
あなたは僕の人生を大きく変えた。
もっともっと言いたいこと沢山
あるけど、あなたにありがとうを
精一杯大声で叫びたい。
そしてあなたに
結婚してくださいと、
いつでも言えるように指輪をつけて
指輪をネックレスにつけて、
そのネックレスに思いを連ね、
それを肌身離さず持っています。
いつかあなたに会う日まで。
いつかあなたに好きと、
心から伝える日が来るまで。
あなたを幸せにすると誓って、
あなたの綺麗な姿を見て、
毎日幸せにして。
夏の蒸し暑い気候は去っていき、
秋が始まっていく。
秋はあなたとは迎えれなかったけど、
あなたの翼もあるから、
あなたとずっと一緒です。
「ありがとう、愛海。」
________________
ふぅ….!最高だ….
(ここで少し小ネタを)
えいるという名前は、
フランス語で「翼」という言葉で、
スペルはaile、とてもこの子に
ピッタリだと思い付けました!
そして愛海(あん)は、
イタリア語で「天使」といった言葉の
頭をとってあんにしました!
スペルはangelo(アンジェロ)です!
天使は天使でも美しい翼が
無ければ天使として、
生きれないのではと思いまして
2人で1人の天使、という
意味を込めて名付けました。
因みに愛海が自分と言っていたのは
自ら性別について、悩むことを
すごく拒んでいたからです。
「あなた」について考える日々の方が
断然いいと思っていたのもあるかも。
題名の つれづれなるまゝに は、
退屈とかそんな感じの意味ですが
あなたについてお互い思い合う、
つれづれとされるがままに思い合い
引かれ合う、というニュアンスです。
急展開がこの2人にはお似合いだなー
と思い、急展開が過ぎたかも
しれませんが誠心誠意、頑張りました。
良ければこの作品が、
世に多く知り渡らなくてもいいから
たった1人だけでもいいから
誰かの心に響いてもらえれば、
感心してもらえたら幸いです…!
明日もちゃんと毎日投稿、
頑張っていこうかなと思います..!
明日も楽しみにしていて下さい!
めちゃくちゃいいの用意してます!
それでは!
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投稿あざます…🙇♂️ 勉強しようと携帯を充電器にさしたところで通知が来て、題名がどうしても気になってしまい、結局全て読んでしまった………(好奇心って怖い) この2人に「つれずれなる…」はどういうことなのだろう、と考えていた矢先、ニュアンスの解説を読み、納得……ほげーの一言。 この素晴らしい作品が毎日読めるなんて…嬉しい限り……😭