桃紫
しねた
ひさびさです₍ ᐢ. ̫ .ᐢ ₎
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紫side
目を瞑れば彼の姿が見えると、
そう思って暗闇で手を伸ばしていた。
彼を探すために、
彼を見つけるために。
彼だけが夢に出てきて
彼について囚われている。
「はー…..。」
また夢を見てしまった。
彼が好きだって言ってくれる夢。
だいたいこれで20回ほどだろうか。
時計は8時5分をさしていて、
遅刻だ、とおもった。
もう慣れてきた。
ここ最近ずっと遅刻している。
ご飯とか食べる気になれなくて、
走ってそのまま学校へ直行する。
この時間だと朝と挨拶とかしてる頃か。
つく頃1時間目が始まるくらい。
でも俺にとってはまだ早い。
夢だけじゃないけど、
朝早く起きて準備しようとしても
なかなか動けなかったりする。
俺だってわからない。
自分が今なぜ大急ぎで
外へ出て走っているのか。
行かなくても、いいじゃん
そんな思いが俺の中から出てくる。
俺は言い返せないしよく分かる。
本当、学校ってなんで行くんだろね
鬱陶しく主張する広告が
目には悪くてすぐに逸らす。
学校をサボった学生がゲーセンで
遊んでいるのを見て、俺の方が
マシだろうと思った。
そう。俺はいつもそう。
他人と比べて自分が勝っているのに
嬉しさを感じで優越感に浸る。
はぁ、また今日も。
気がつけばこの感情になっている。
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遅刻して、担任から
癖が悪いと怒られてから
クラスメイトの冷めた目を浴びて、
静かに嘲笑う男子に好き勝手される。
そこからが本番。
外を見る彼を密かに見る。
男子達から色々言われて、
色々されている間にちらちら見る。
彼はいつも外を見て
彼女と、楽しそうに話している。
話してる彼は楽しそうで、
笑ってて少し俺も嬉しい。
楽しそうに笑う彼を見れば、
今日も来てよかったって思う。
1時間目を告げる音がなり、
男子たちはやばいやばいと
笑いながら自分の机へ駆ける。
俺は痛みに怖がりながら
1番後ろの机に座る。
ノートを開いておき、
俺をこっぴどく叱ることをせず、
呆れたと言ってきた先生が来る。
俺はその先生を見るのが
辛いトップスリーに入る。
ああ、また憂鬱な一日。
彼以外の人間なんて
居なくなればいいのにな
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ずっと分からないまま、ただ、
先生は見て見ぬふりをして、
クラスも見ないように下を向きながら
俺がいじめられるのを見ている
机が背中に当たって激痛走り
地べたで堂々と寝っ転がる。
そのまま立たなかったら、
俺はもっと酷い目にあって、
睨んだら夜までここに居させられて
ずっと苦しみに悶える。
怠けたような声しか出ない。
呻き声しか出ない。
ああ、これが辛さか。
母さんが言ってた辛さ。
これは悪いもので最悪のもの
これを感じたら今すぐ飛び降りて
父さんみたいに首を吊るんだ。
早く飛び降りたり首吊って、
宙に足を浮かせなければ。
そう思っていたけど、俺は
さっと彼のことを思い出す。
彼はここにはいない。
きっと彼女と居る。
「(最後彼に、抱きしめて
もらえるだけでいいのに)」
「(最後だけ俺に愛して、
愛されてみたい)」
「(絶対叶わないけど願いたい)」
「(願うだけならタダ)」
明日もきっと西日越しの太陽を覗き、
起きたくなくて自分を拒んでから
自分をベットに置いてから、
走り出さなくてはいけないんだな。
もう、生きたくないなぁ
幸せになりたい
最後の最後には屋上へ連れて行かれ、
はじめっからそうしろって
思うけど抑えながら俺は渋々上がる。
みんな俺が辛そうにしているのを、
全員が全員知ってるわけじゃないけど
知っているなら止めて欲しかった。
顔は傷付けられず、
ただ背中と腹が痛い。
さっき机に当たった時に
腹も同時に蹴られたからか、
服には黒くなっている所があった。
溜息をつきたいけど、ついたら
酷いこととかじゃ済まない。
俺はされるがままに、
授業を受けずにずっとここで
全部全部好き勝手される。
昼になり、とうとう購買へと
駆け出した男子たちは俺から離れ、
俺をゴミみたいに使ってから
自分は裕福にご飯を食べる。
俺は一日一食だから
羨ましいつもりはさらさら無いが、
なんだか辛いという感情はあって、
すぐ飛び降りようとした。
けどまだ彼がいると中の自分が叫び
足を止めて、俺をいかせないようにする。
ちょっと変な気はするけど、
俺はまだ死ぬべきではないと思った。
またいつものように、
屋上で座っていると
彼が来た。
「….っ」
彼は気まずそうに俺を見た。
どうしよう、こんなに、
汚い姿見られている。
どうしたら、いいのだろう
幻滅されたくない。
「…大丈夫?」
「っ、え、ぁうん」
「へいきだよ、いつもの事、だから」
急に話しかけて俺を心配する彼。
彼は彼女とは一緒じゃなく
1人でここに来たみたいだ。
「…食べないの?」
「..俺は、一日一食だから」
「え、夜だけ食べるってこと?
そんなん体に悪いよ」
「…」
「..ほら、いいよ、あげる」
「えっ」
「…貰いもんだけど」
彼が渡してくれたのは
購買のメロンパンで、割と
大きめなサイズだった。
メロンパンと同時に水を
買っていたみたいでそれも貰い、
面倒見がいいなと思った。
「…悪いよ」
「いいの、俺がいいって言ったから」
「でも..」
「いいから、お腹すいてるくせに」
「………」
「..ありがとう」
久しぶりに心から人に
ありがとうと言えた気がした。
俺はメロンパンを開けて、
空っぽの胃に押し込む。
待ってました、と言わんばかりに
胃は喜びパンを快く受けている。
「なんで、ずっとあいつらに
目つけられてんの?」
「…..え」
「ほら、やり返そうなんて
思わんの?俺だったら思うのに」
「….、したら、もっと、
酷いことされるから」
「例えば」
「例えば、んー、と、
一晩中学校に居させられるとか」
「え、それ先生に見つかるでしょ!?」
「掃除道具入れだから、
そもそも見つけられない」
「…あー、そう」
「だいぶ酷いことすんだね」
「助けられないのは」
「..騒動起こしたら
もれなく退学だから」
「立ち向かおうなんてできなくて、
あいつら中に校長の子供いるっしょ」
「ちくられたら終わりなの、
多分みんなそういう理由だよ」
「…そう、なんだ」
「でも俺いいこと思いついた」
「え?」
俺の目線に合うように、
ぐっとこちらに視線を向ける。
真剣な眼差しが
顔に節穴が出来そうなくらい、
直視されていた。
ぎゅっと胸が痛くなる
「俺と心中しない?」
俺が夢に見た展開と、
同じだった。
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その後、彼から色々聞いた。
大好きで届かなかった彼と
話せる機会は今だけだから、
俺にとっちゃ娯楽。
彼は、悩みについて色々語った。
「俺、ストーカーってやつが居て」
「そいつ俺が付き合ってる
あの女なんだけどさ」
「馬鹿みたいに束縛きつくて
別れたいんだけど別れたら
死んで警察に言うって言っててさ」
「あ、俺が死なせたみたいにね。
遺書にそう書いてるって言ってて
もう書いてるとかきもいし無理だし」
「何より相手が一方的に
付き合わされて、俺特別
好きとかじゃないんだよね」
「ほんと、どうしようもなくて
束縛1番嫌いだからストレスでさ」
「..あいつが消える前に、
俺が消えてやろー、って思った」
「そんなん思ってても
あんまり行動にうつせなくて
困ってたんだよね」
「でもさ、…」
「紫?くんが、辛そうに生きてるの見て」
「俺と一緒に死ねそうって、
死んでくれそうって思って」
「ごめん、なんか嫌なこと
話してる気分だけど許して」
「…俺嬉しかった、救われた、
そんな気がして、w」
「…」
「多分俺ら一緒の事考えてる
死ぬことだけ、考えてると思った」
俺が考えて泣いているのは、
彼の夢を見て現実を知って
苦しんでいるだけなんだ。
俺はあいつらよりも
彼との過ごす日々を見るのが
1番苦しくて辛い。
俺は、確かにしにたいと思う。
消えたい、と思っている。
けれど、彼が居るから、
今まで生きようとしてきた。
もう彼が居ないなら、
俺は生きる術を失うんだ。
この話に乗らない以外の選択肢は無いし
俺にとってはうまい話だった。
だって、彼は彼女のことを
心の底から嫌っている。
あの笑顔は演技で、
あの話声は作っている。
その真実を知って俺は、
嬉しさに浸った。
そうだ。彼は俺の事なんて
眼中に無いけど話そうと、
「一緒に」居てくれようとしている。
嬉しいな。目を合わせることすら
ままならなかったのに。
「俺もしのうと思っても、
しねなかったから嬉しい」
「..彼女と仲良さそうだったから
ちょっと意外だけど、ね」
「ほんと?….」
「じゃあこれからよろしく」
「..うん」
その日から、彼は毎日
昼休みは屋上に来るようになった。
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桃side
初めて会ったのは入学式で、
俺と抱く感情が同じだと
会って数秒で感じた。
体から出る寂しさと苦しさが
痛いほど伝わってきていて、
瞳から浮き出る毎日が
残酷で悲しそうだった。
俺にはない、環境での苦しさを
歯がゆさをかんじている。
すぐに声をかけようとしたけど、
男であろうと絶対に許さない
メンヘラ女がいるからなかなか話せずでいた。
ただいじめられ出した時は
とにかく壊れると思って焦った。
すぐ消えてしまうんじゃないか。
消えてしまったら、俺は1人で
苦しまなきゃいけない気がする。
俺は誰と一体、この話を
このことを打ち明ける?
このことを話していないのに
俺は変に焦りを感じて、
今か今かとタイミングを図った。
そしてきたのが、メンヘラ女が
委員会で俺を離れた時の事。
屋上に連れていかれる瞬間を見て
あいつらが降りたら即行って、
と頭の中で計算する。
そして、あいつらが屋上から去り、
大急ぎで購買へ駆け出していった。
恐る恐る階段をのぼり、
昼食を抱えながら行った。
屋上へ到着したら
まずそばに駆け寄って
あいつらの話題を出す。
悲しそうな顔をしていて、
今にも消えそうな瞳をゆらがせる。
そして本題へ入る。
一緒に心中する願いを。
夢で何度も見た言葉を、
救いの、楽な方へと。
その日から、俺は毎日屋上へ通った。
屋上へ行く度に、
嬉しそうな顔をするのが
たまらなく愛おしい。
無表情なのに、凄く可愛くて、
目に光をどんどん帯びていく。
メンヘラ女は友達が出来て
あまり俺に吸いつかなくなり、
俺は気配を消すのが上手くなった。
そして、「紫くん」と「桃くん」と
呼びあえるような仲になった。
紫くんは友達というのが
作ったことがないらしく、
色々したいらしい。
そこからは映画に行ってみたり、
趣味の話を盛大にしてみたり、
授業を遊ぶ理由で抜け出してみたり。
紫くんは俺と趣味があって、
本当に話しやすかった。
それに、紫くんは笑えるようになった。
「桃くん、今度家行ってい?
いい映画見つけたんだよね」
「え、ほんとに!!いいよ、行こ」
「今日でもいい?いつでも
良いけど、無料配信されてたし」
「今日空いてるよ!増してや
女も委員会忙しいらしいし
一緒に帰れるかも、」
「!!、初めてだね、中々、
一緒には行けなかったから、。」
「っ、….ふ、紫くん最近
よく笑えるようになったな」
「え?ほんとに?..よかった」
こんな感じで、毎日楽しかった。
毎日がメンヘラ女に溢れてたのに、
紫くんが居てくれて、俺は初めて
嬉しいという感情で溢れた。
メンヘラ女にも束縛されてたが
紫くんと話せているから、
本当にそれでよかった。
放課後。
待ち合わせ場所で身を潜めていたら
ボロボロになった紫くんが来た。
「ごめん、遅れちゃった」
「っえ、大丈夫?」
「うん..お腹と背中痛いけど
何とか、それより早く行こう」
「..傷は?」
「う、腕と、背中、だったかも」
「…家で手当てするから、
家まで我慢できる、?」
「大丈夫だよ、ありがとう」
痛々しい腕の切り傷が、
何十回も切られた腕が、
感情そのものが溢れていて
苦しみを露わにしていた。
どくどくと血が溢れて、
地面に付着していた。
出血量が多いから早めに
家へと駆け出した。
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「ん、ありがとう、ごめんね」
「いーのー」
ぐるぐると包帯をまわして、
制服を荒く脱いだ紫くんは
辛そうに痛みに悶えた。
時に顔を歪める紫くんは、
少し泣きそうだった。
「….ねぇ、桃くん?」
「ん、?」
「俺、もうやりたいこと終わった」
「….そう、」
「家に行くのと、趣味の話、
2人で映画と授業抜けて、、」
「それから放課後一緒に帰った」
「俺ができるとは思わなかったよ、
友達なんて、無縁の俺に、」
「…ありがとう桃くん」
「俺、今日これ付けられたの、
辞めてって言ったからなんだよね」
びりっと頭に電流が流れて、
ぞくっと怖気がした。
え、と声が出た。
「言い合いになっちゃって、
俺このままだったら死ぬって」
「そしたら、全力で止めて、
俺の事サンドバッグにしてんの」
「馬鹿みたいでさ、俺、
やめてって言ったら」
「1人がカッター持ち出して、
それで深く切られてた」
「俺、辞めたいって抵抗したら、
そのまま言ったらガチでしぬかも」
「…..戯言だけどね」
紫くんの声はたまに、
戯言のように聞こえなくて、
ちょっと怖かった。
自分よりも多くの闇を抱え込んで
生きている紫くんの脳内は、
どうなっているのだろうか
辛い思いだけなのか、
色々交じっているのか
ただただ、怖い
紫くんは俺が巻き終わると
ありがとう と優しく言って、
切り替えて映画の話を切り出す。
それどころじゃないのが
本心だったけど、合わせなきゃ、
また悲しい顔をさせてしまう。
うん、と言って、
ぐっと喉に力を入れた。
__________________
昨日、誰と一緒に帰ってたの。
俺が夢から覚めるのはこの時。
メンヘラ女が話しかけてくる時。
昨日は一人で帰ったを繰り返して
わざと冷たい態度をとる。
それでも相手の熱は冷めず、
ずっと話しかけてくるばかり。
嫌気を指すのも仕方ないことだと
重い空気にわざとする。
そんな態度をとると、なんでを連呼して
うるさく声をあげているばかり。
はぁ、と頭を抱えて、
辛くなって本音が零れる。
「………嫌だよ、そりゃ、俺だって」
「束縛とか、されたくない、方だし」
「…俺はお前と付き合って苦しかない」
「わかる、だろ、それくらい」
メンヘラ女は俺のことを掴み、
ぐっと自分に近付けてくる。
驚いて一瞬目の前が暗くなり
何が起こったか整理できなくなる。
頭に鈍痛が走って、
自分が何をされたのか、
よく分かった。
「…あ、えっ」
「な、にっ」
冷たい廊下が、頭を冷やして
髪が崩れていく。
苦しくなる喉が腫れるように
光を通さなくって、
窓辺から差し込む光が目に刺さる。
終わりなのかなと思った。
綺麗な夕日が見れたから、
綺麗な何かが見れたから、
それは俺にとって
十分なんじゃないか?
それにメンヘラ女も俺をさしたら、
俺を殺したらしぬんだし
紫くんだって笑えるようにさせた
映画だって一緒に見れたし
友達らしいこと沢山してた
紫くんは誰かのために、
なにかできる人だからもっともっと
生き延びた方がいいんだし
俺ごときが、連れていくなんて
そんなの自己中だしさ
そんなのメンヘラ女とやってる事、
同じだって言ってるようなもん
この女と同じ?
天国に行けないよりマシ
地獄で苦しむ方が随分マシ
俺は紫くんは人に危害を
加えられる人だとは思えないし
紫くんは人に危害を与えない
すっごくいい子で優しい
喉に苦しみが入る。
胸に何もかも閉じ込める。
脳が死んでいく。
体が背骨から抜けるように
何かが無くなる。
空気が俺を拒んで吸えなくなり、
苦しみと共に全てが壊れる
本当に終わりなんだな
夢にも見れてない死に方
夢に出た事は、ぜんぶ、
俺を支えてくれるんじゃないの?
お前の言葉全部信じちゃうよ
_________________
紫side
屋上から誰かが飛び降りた、
というニュースを朝見た。
うちの学校、それに、
昨日桃くんと放課後会えなかった
まさか、と思ったけど
そこに映し出された顔写真は2枚
桃くんが悩まされていたあの女の子と
俺と心中する約束をした桃くんだった。
一瞬息が出来なくなった。
現実味を失って、
体から汗が吹き出た。
大好きな桃くんはもう居ない
まだ好きと伝えてない桃くんが居ない
何があったの?何が、
桃くんを死なせた?
ニュースによると桃くんは
窒息死。首にはしめられたあとがある。
即座に桃くんがあの女の子の
地雷を踏んでしまったことに気付いた。
俺は死ぬ意味を失って、
辛さに悶えているだけだった。
学校は愚か、愛する人まで失っては
俺がいじめられる意味が無い。
俺も、桃くんの元へ行きたい
行って、好きだって伝えて
精一杯、笑って、桃くんって
大声で言うんだ。
_______________
桃くんに好きと伝えれなかったのは
ただ何よりも怖かったからだ。
俺があいつらに殺される気がして
ただ怯えてて、周りが見えなかった。
背負うものが多くって辛くて、
ただ逃げていただけだった。
桃くんを失ったのも、そうなのかな
自分のせいまでにしたい挙句、
桃くんについて考えたくなかった。
辛くなって、味がしなくて、
寝転がって何日も食べない、飲まない
毎日が長くて大変だった
けれど、もう覚悟は整ったのか、
俺が死ぬ結末が見えてきて
もちろん夢にも出てきてしまって
自分で首を絞めて、苦しめて
つらさに悶えながら死んでいく。
その前は飛び降りて死ぬ。
確か、夕日が輝く場所だから
学校の屋上だった気がする。
また学校で死人を出すのは
少し心苦しいが仕方がない。
俺は夢に出たことが正解だと
思い込んで学校へ久々に足を運ぶ。
とは言っても、死ぬだけだけど。
無駄に制服を着て、空の鞄を持ち
屋上へ一目散に駆け登る。
「…….」
そこは恐ろしく開けた場所で、
人が1人死んだってのにまだ封鎖されず
公開されたままとなっている。
屋上では思い入れがありすぎて、
よく分からないことになっている。
桃くんと出会えた場所も、
桃くんと約束した場所も、
あいつらにも好き勝手された場所も
全部全部俺の思い出。
そんな場所で死ねるし、
何より夢に何度も出る桃くんが
いなくなったことが寂しい。
こういう時こそ、思ってた時期が
1番楽しくて1番嬉しかった。
夢に出てくる度喜んで
たまらなかったのを覚えてる。
寝っ転がって誰も来ないことを確認して
朝日がゆっくり動いている時間帯。
俺はフェンスに手をかけた。
冷えているけど少し優しいフェンスと
桃くんの面影と重なっていて、
何度も見たあの後ろ姿が見えた。
最後に好きって言いたかったけど
これは空で言ってしまおう。
苦しむのは空で。
後悔は空で。
さん、にー、いち
自分の中でカウントダウンして
ぜろになった瞬間、飛んだ
風が恐ろしいほど吹いて、
一瞬でスローにはならないけど
逆さまになった世界が、
あまりにも綺麗で
俺が見ていた世界とは違って
なんて綺麗なんだろうと思った
これ、あとで桃くんに話そう。
あの時に見た映画みたいな、
綺麗さだったよ、って。
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明日の投稿もお楽しみにしてください!!
何とかして、2人は絶対に
一緒に苦しまないようにしました!
コメント
2件
投稿あざます🙇♂️ 「俺と…」のところで題名と相まって、何となく予想をしながら読んでいたんだけど……顛末が斜め上だった……🙃 必ず予想を裏切ってくるのは本当に流石としか言いようがない…