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氷のような冷たすぎる空気の洞穴を、提灯片手に歩いていると、シロが先頭へ歩いてきた。焦熱地獄まで、シロが道案内をしてくれているかのようだ。
ああ。また今度は来た道を戻るのですね。
ビュウビュウと前方から、吹雪く粉雪の道をひたすら歩くと、洞穴を抜けた後には、今度は恐ろしいまでの高熱が襲う。
炎で身を焦がれるかのようだ。
汗が滝のように体中から流れていく。
「シロ?」
砂浜へ戻ると、シロが既に渡し船へ乗っていた。
だが、シロが向く方向は、大焦熱地獄があるはずの洞穴がある崖の窪みの方ではなく。更に灼熱の海を進むような形だ。
「シロやい。シロは、どこかでもう一つの洞穴を見つけたのですね。確かにこの灼熱の中では、元来た道を戻るのはよくない……」
私はオールを握ると、シロを信じた。
火柱がまた上がった。
今度のは更に更に大きい。
熱もさぞかし酷いのだろう……。
シロが向く。海に浮かんだ。まだ一度も来たことがない小島の沖には、確かに洞穴があった。
殊更に大きい口を開いた。巨大な地への穴だ。