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「お蔭? って僕たちって、何かしたっけ?」
ナッキのハテナに答える優しいお父様。
「勿論、昨日お会い出来たのは私の村を訪ねてくれたナッキ殿とサニー殿のお蔭、そこから『存在の絆』の消失に気が付く事が出来ました、確かにそれも一因では有ります…… しかしそんな事は瑣末(さまつ)、些事(さじ)に過ぎません、私の心を真実動かした、それはお二方の存在なのです、新たな悪魔、いいえ、神として覚醒された事、その事実が私に旅立ちへの勇気を与えてくれたのですよ」
「ふーん、何で?」
フナめ、不敬だな…… フンッ! まあ良い、偉大なるお父様のお言葉を聞くが良い、愚物(ぐぶつ)めがっ。
「私にとっての神とはかつて同じ時を過ごし、世界を守る為に天空へと旅立った悪魔達だったんです…… 特に女房の家に居た悪魔達は誰も彼も大物でしてね、幼い頃から見知っていたとは言えね、長じてから何と無く目にしたゴエティア、レメゲトンや悪魔の偽王国、地獄の辞典なんかの影響なんでしょうね、いつの間にか思ってしまっていたんですね…… 我々地を這う生き物とは全く別個の存在、朝の食卓で共に納豆の糸の粘りに悪戦苦闘の苦笑いを合わせながらも、私独りが自分勝手にそう決め付けていたんでしょうね…… 義理の父母なんてその極みでしたよ…… だってその内に秘めているのが現創造主である魔神王なんですからね! それだけじゃなく、人の身のままで魔王や魔神を思いのままに使役するんですからね…… そりゃね、人間離れしていた、と言うか人間じゃなかったですね…… 化け物…… うんっ、そう呼ぶしかない、文字通りの|埒外《らちがい》の者だったのですよ!」
確かにコユキや善悪の異常性は私自身も嫌と言うほど目にして来た事である。
しかし、然しである! 有り余るガッツと自己犠牲の精神…… 我が祖父母であるコユキと善悪和尚には、私個人としては好感以外の感情を抱く事が出来なかった、のだが? 父の評価は違っているのだろうか?
聞いてみよう……
「私はね、同じ時を過ごしながらもね、次第に感じ始めてしまったのです! 特別な存在として世界に君臨し続ける彼らと、中庸(ちゅうよう)に生まれつき今後一切世界や歴史と関わる事無く生を終える凡庸な自分の差異をね…… だからこそっ! 彼ら、神々や悪魔が決して選ばないであろう道を選択してしまったのです…… ここハタンガに留まる、つまり停滞です…… わ、私にはね、新たに神の域まで辿り着いた、ナッキ殿、サニー殿、アナタ方の登場こそが自ら閉ざしてしまった未来への扉、それをこじ開ける鍵に他ならなかったのでございますぅ、うううぅ、ありがたいっ!」
ほおぉ、なるほどね~、立派過ぎる、と言うかガッツと闘魂に満ち溢れ捲っていたコユキと善悪を間近に見続けてきたお父様はちっと自信喪失になってしまっていた、と言う事か?
確かに腕が千切れようが呼吸が止まろうが、気にせず闘う二人の姿には私自身初見では戦慄を覚えてしまった物だが……
お父様がこれ程プレッシャーを感じていたとはねぇ、判らなくは無いがあの二人って特別なのでは?
と思う、私観察者である。