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kaede🍁
8,903
#💛💜
みら

7,126
次の日の夜。
阿部と目黒は。
佐久間と康二と一緒に。
再び異世界へ来ていた。
目的はまず、二人の転職。
「ここ?」
康二が目の前の大きな建物を見上げる。
白い石で作られた神殿。
前回来た時より。
周りには店や家が増えていて。
人の姿になった元モンスターたちも。
普通に行き交っている。
佐久間が。
「神殿ってもっと厳かな感じかと思った」
と言う。
阿部が。
「中は普通だよ」
と先に歩く。
目黒もその隣。
康二が少し不思議そうに聞いた。
「あべちゃん、来たことあるん?」
「あるよ」
「何しに?」
「賢者関係で」
少し間。
「あと魔王関係」
「両方あるんや」
「ある」
佐久間が。
「肩書き渋滞してるよね」
と笑う。
中へ入ると。
受付にいた神官が阿部を見る。
一瞬、目を見開いた。
「魔王様」
佐久間と康二が揃って阿部を見る。
阿部はもう慣れた顔。
「今日は付き添い」
「承知しました」
神官はあっさり頷いた。
康二が小声で佐久間へ。
「魔王様、顔パスや」
佐久間も。
「便利」
と返す。
二人はそれぞれ転職用の台座へ立った。
神官が。
「希望職は?」
と聞く。
佐久間。
「魔法使い!」
康二。
「俺も!」
即答。
光が二人を包む。
佐久間の服が魔法使いらしいローブへ変わる。
康二も同じように、杖を持った姿へ。
二人は自分たちを見る。
佐久間が。
「おお!」
康二も。
「めっちゃそれっぽい!」
阿部が二人のステータスを見る。
「ちゃんとレベル1」
「本当に1なんだ」
目黒も覗く。
佐久間が。
「伸びしろしかない!」
康二も。
「ええやん!」
渡辺がいたら。
絶対。
初心者、と言われる数字だった。
神殿を出ると。
少し離れた場所に。
天使と魔王が待っていた。
二人とも何か食べている。
今日は、串に刺さった果物。
康二がすぐに手を振る。
「魔王ー!」
魔王も嬉しそうに。
「康二ー!」
目黒が小さく阿部へ言う。
「本当に仲いいね」
阿部も。
「旅行行くくらいだしね」
康二は魔王のところへ行くと。
「転職できたで!」
と自分のローブを見せる。
魔王が。
「似合う」
「やろ?」
佐久間も横から。
「俺も!」
魔王。
「佐久間くんも似合うよぅ」
「やった!」
天使がそんな二人を見る。
「レベル1」
佐久間。
「言わなくていい!」
康二も。
「これからや!」
魔王が楽しそうに笑った。
「今日はゴーレム出すから」
佐久間の目がすぐ輝く。
「氷魔法使える?」
「最初からは無理」
「えー!」
康二も。
「炎は?」
「それも基礎から」
「えー!」
阿部が。
「当然だからね」
と二人を見る。
「まず魔力の出し方」
「次に形」
「そのあと属性」
佐久間が少し不満そう。
「映画だとすぐ出してたじゃん」
「映画だから」
康二も。
「派手なん使いたい」
「レベル1」
「分かってるって!」
目黒が笑っている。
すると。
天使が阿部と目黒を見る。
「で」
二人が見る。
「先に結界やる?」
阿部の顔が一気に変わった。
「やる」
目黒も。
「やりたい」
佐久間が。
「結界?」
と聞く。
康二も。
「何の?」
阿部と目黒が顔を見合わせる。
阿部。
「ちょっとした実験」
目黒。
「うん」
佐久間が。
「絶対ちょっとじゃない顔してる」
と呟いた。
一行が向かったのは。
異世界で一番広い平原。
どこまで見ても。
草原。
遠くに山は見えるけれど。
町も家もない。
魔王が両手を広げる。
「ここ!」
康二が。
「広っ!」
佐久間も。
「ここなら何しても大丈夫そう!」
天使が。
「普通にやったら駄目だよ」
と即答。
「二人が本気出したら壊れるから」
佐久間と康二が。
同時に阿部と目黒を見る。
目黒が。
「そんなに?」
阿部も。
「山は壊したくない」
と真顔。
康二が。
「何する気なん?」
「手合わせ」
「誰と誰が?」
「俺とめめ」
佐久間が一瞬、黙る。
「……本気?」
阿部。
「本気」
目黒。
「全力」
二人が少し距離を取った。
天使が。
「じゃあ教えるね」
阿部と目黒が集中する。
結界魔法そのものは。
難しくなかった。
ただ、範囲が広い。
しかも。
内部でどれだけ強い攻撃をしても。
外へ影響を出さず。
壊れた地面や草木も。
戦闘が終われば元へ戻る。
かなり特殊な魔法。
天使が。
「二人で張った方が安定するよ」
と言う。
阿部と目黒は少し離れて立つ。
阿部が手を上げる。
目黒も同じように魔力を流す。
足元から薄い光が広がる。
どんどん。
どんどん。
平原を囲っていく。
佐久間が空を見る。
「うわ」
康二も。
「めっちゃ広がってる」
半透明の膜が。
平原一帯を大きく包んだ。
阿部が。
「これで?」
と天使を見る。
天使が結界へ触れる。
「大丈夫」
魔王も地面を軽く蹴る。
「壊れても戻る」
目黒が少し笑った。
「じゃあ本当にできるね」
阿部も嬉しそう。
「うん」
佐久間がその二人を見る。
「俺たちの修行は?」
魔王が。
「あとで」
「あと!?」
康二が。
「俺らの修行のために来たんちゃうん?」
「それもするよ」
「それもなんや」
その時。
遠くから何かが飛んできた。
「ままぁー!」
阿部がすぐに振り向く。
「クッキー?」
クッキー。
ココ。
モカ。
三匹が大きな荷物を持って。
こちらへ走ってくる。
正確には。
ココとモカが荷物を持ち。
クッキーは小さな袋を抱えている。
阿部が。
「何で来たの?」
クッキー。
「おいも」
「それは見れば分かる」
ココは。
地面へ大きな機材を置いた。
カメラ。
三脚。
予備のカメラ。
そして。
何故か音声用の機材まで。
目黒が嫌な予感のする顔になる。
「……何するの?」
ココ。
「撮影」
モカ。
「記録」
阿部が。
「何の?」
二匹は当然のように阿部と目黒を指差した。
「手合わせ」
「撮るのぅ」
佐久間の目が輝く。
「映画?」
ココが首を振る。
「YouTube」
一瞬、全員が黙った。
目黒が。
「YouTube?」
モカがにこにこする。
「魔王対闇落ち勇者」
ココ。
「伸びる」
渡辺がいなくても。
全員が同じことを思った。
完全に金だ。
阿部が。
「これ映画じゃないよね?」
ココ。
「映画とは別」
モカ。
「収益源」
康二が。
「言い切った!」
佐久間が。
「わんちゃん達、YouTubeもやるの!?」
ココは胸を張る。
「多角経営」
モカも。
「興行収入だけに頼らない」
目黒が。
「犬が言うことじゃない」
と呟く。
クッキーはそんな話を気にせず袋を開けている。
「終わったら」
阿部が見る。
「何?」
クッキーは嬉しそうに。
「おいも」
「持ってきたの?」
「うん」
「みんなで食べる?」
クッキーは少し考える。
「クッキー多め」
「だと思った」
阿部が笑う。
ココは。
もうカメラを設置している。
目黒が隣へ行く。
「本当に載せるの?」
「載せる」
「顔出し?」
「当然」
「許可取る前提じゃないんだ」
モカが別のカメラを準備しながら。
「タイトルも決めたよぅ」
阿部が。
「早くない?」
モカ。
「『魔王と闇落ち勇者が本気で戦ったら平原が消えました』」
天使が。
「消えないよ」
と冷静に言う。
モカが少し考える。
「じゃあ」
ココ。
「『レベルカンスト同士、本気で戦わせてみた』」
佐久間。
「YouTubeっぽい!」
康二も。
「絶対見るわ!」
阿部が頭を抱える。
「俺たち何してるんだろ」
目黒は少しだけ考えて。
「でも」
阿部を見る。
「やりたかったんでしょ?」
「……うん」
「俺もやりたい」
阿部の表情がすぐに戻る。
「じゃあやる?」
「やろ」
ココが即座にカメラを回す。
「撮影開始」
阿部が。
「まだ!」
モカ。
「準備から使える」
「本気でYouTuberじゃん」
魔王は楽しそうに。
佐久間と康二へ言う。
「二人もよく見ててね」
佐久間が。
「魔法の勉強?」
「うん」
康二も真剣な顔になる。
「分かった」
天使が小さく笑う。
「参考になるかなぁ」
阿部が。
「ならないと思う」
目黒も。
「俺も」
レベル1の魔法使い二人。
その目の前で。
魔王レベルカンスト。
賢者レベルカンスト。
闇落ち勇者レベルカンスト。
二人が本気で戦う。
ココはカメラの画面を確認しながら。
満足そうに言った。
「再生数」
モカも。
「広告収入」
クッキーは。
「おいも代」
佐久間が。
「あ」
と笑う。
「結局全部ご飯じゃん!」
ココが真顔で振り返る。
「生活」
阿部はその言葉にとうとう笑った。
こうして。
佐久間と康二の魔法修行初日。
その前座として。
何故か。
阿部と目黒による全力の手合わせが。
YouTube撮影付きで行われることになった。
目的。
阿部と目黒。
やってみたかったから。
天使。
面白そうだから。
魔王。
見たいから。
佐久間と康二。
魔法の参考。
クッキー。
おいも。
そして。
ココとモカ。
完全に金だった。
コメント
4件
おはようございますm(_ _;)m クッキー、ココ、モカYouTubeデビューおめでとう👏 クッキーは好物のおいもの為に💚ままぁを余り振り回さないであげてね(#^^#)

3匹と天使魔王 完全に楽しんでるよな。 2人の魔法デビューが 先に めめあべのどちらが強い観戦からなのですね。 何かをすればその先に収入なんだね😃