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「……なにしてんだ、目黒」
低く唸るように問いかけた時、すでに目黒の長い脚は俺の股間を割って、しっかりと壁際に追い詰めていた。
閉じ込められた空間。
目黒の体温。
息がかかるほどの距離。
嫌でも高鳴る鼓動を、必死に押し込める。
「壁ドン?」
そう言って、目黒はゆるく笑ったまま、脚の位置を変えない。
長い足が、ちょうど太ももの間を占領して、逃げ道をふさいでる。
「お前な……離れろ」
「やだ」
たったひと言が、妙に重く響いた。
目黒は微笑んだまま、少し足を押し上げた。
布越しに押し当てられる熱。
擦れる感触に、岩本の体が小さく跳ねる。
「……っ」
「……今、びくってした」
目黒の声が、少し低くなる。
意地の悪い笑みが口元に浮かんだ。
「なに、感じたの?」
「……ちがう」
睨みつけたつもりだった。
でも、目黒の目は楽しげで、余裕そのものだった。
「ふーん? でも、」
再び足をぐっと押し上げられた瞬間、喉の奥からひゅっと息を吸った。
太腿の内側を這うように動かされるたび、無意識に腰が逃げそうになる。
「やめ、ろ……」
「……声、甘くなってきたよ?」
耳元に落とされる声にゾクッとする。
「変態」
強がるように吐き捨てたその声は、少しだけ掠れていた。
目黒は、にやりとしたまま、まっすぐに見つめてくる。
「こんなに反応してるのに、俺のこと変態って言うの?」
「……っ」
歯を食いしばる。
認めたくない。
けど、体は正直だった。
脚の動きに合わせて、びくびくと震えて、喉から漏れる吐息が甘くなるばかり。
「どっちが変態だよ」
目黒がわざとらしく足を動かし、押し上げる。
「ん……っ、やめ……」
目黒の指が腰に触れる。
くすぐるようなその指先に、体がまた、ほんの少しだけ震える。
「……今日の岩本くんも可愛いね」
「っ……めぐろ……」
名前を呼んだその声は、怒りでも拒絶でもなくて——
ただ、情けなく、甘く、震えていた。