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平和だ(*´˘`*)
えめーーーーーっちゃ好き!!!!!🖤💚
えーーーーーーーーーーどしたの急に🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺 穏やかほんわか二人の世界の🖤💚嬉しすぎるぅ🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺
「阿部ちゃん、また勉強?」
仕事終わりに家に帰ると、阿部ちゃんがダイニングテーブルで、いつものようにテキストを片手に真剣に勉強をしていた。ペンを握る様はすっかり見慣れて、阿部ちゃんがそこにいる時の、馴染みの風景になっていた。
阿部ちゃんの受験生時代からの習慣らしいけれど、5分でも10分でも、空き時間があると机に向かうというその姿勢には頭が下がる。 しかも阿部ちゃんの場合、特に勉強が好きだというから驚きだ。
俺は学生時代、勉強は自分には必要ないと割り切って、サッカーに、芸能に、邁進してきた。
学ぶこと、学校で良い成績を修めることは、副次的なことで、あったらいいけど、なくてもいい、無意味に近い事柄だと長年思っていた。
しかし、目の前にいる阿部ちゃんは、学ぶことをちゃんと自分の武器にして、今では唯一無二の個性を発揮している。豊富な知識が活かされて、物事の考え方もとても思慮深い。一途で頑固な人だけど、そういう筋が通ったところが本当に好きだ。
「阿部ちゃん、好きだよ」
「なに?急に」
ふわり、と花のように笑いながら、めめも飲む?と阿部ちゃんは紅茶を淹れてくれる。眼鏡を外した目の奥が優しい。形の良い唇が、柔らかく微笑んでいる。
ケトルを操る背中を後ろから抱き竦めると、こら、危ない、と嗜めるように叱られた。
「俺ね、後悔してることがひとつだけある」
「ん?」
「阿部ちゃんとこうなれるってわかってたら、もっときちんと勉強しておけばよかった」
二人分の紅茶を淹れ終わると、阿部ちゃんはそのひとつを俺に渡した。
「いいんだよ、めめは、今のままで」
そして、ことり、とカップをカウンターに置き、じっと俺の目を見て優しく微笑む。細長い指先が、俺の唇をなぞった。
「めめの知らないことを教えるのは、俺の貴重な楽しみでもあるんだから」
優しい笑顔で俺を包み込む阿部ちゃんは、やはりとても魅力的で、そして、とても神秘的だった。
だから俺はやっぱり思うのだ。
阿部ちゃんしか知らない、より奥深くてより広い世界を、同じ場所から同じ視点でいつか見てみたいと。そして、その上で話がしてみたいと。
「めめ、キスして?」
でも 阿部ちゃんのこの可愛いお願いに応えられるのは唯一自分だけだと思うから、俺は阿部ちゃんと同じくらい優しく口付けをした。