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『凛……。今夜、会えないか?』夜のメッセージに、凛は驚きつつも頷いた。
2人は、いつもの公園で落ち合った。
街灯の下、敬太は真剣な眼差しで凛の手を握る。
『全部じゃないけど、思い出したんだ。前の人生で、俺たち……一緒に死んだんだよ。愛し合って、でも壊れて、最後には……』
凛は震える唇を押さえながら、そっと頷いた。
「私も……。白い部屋、鍵、鎖……そして、あなたが、私に“さよなら”を言ったこと」
ふたりの視線が交差する。
胸の奥が、今にも引き裂かれそうに痛い。
でも、それ以上に……
“もう、離れたくない”という想いが強かった。
敬太はポケットから、古びたペンダントを取り出した。
『これ、祖母が昔くれたものなんだけどさ。なんでかわからないけど、これを君に渡さなきゃって、ずっと思ってた』
それは、錆びた小さな“鍵”の形をしていた。
凛の指が触れた瞬間、意識が弾けるように過去の記憶が流れ込んできた。
“「この鍵は、私の気持ち。”閉じ込めるんじゃなくて、守るための鍵……」
それは、前世の美咲が良規に贈った最後のものだった。