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泣き疲れてぐったりとアルフォンス様にもたれ掛かっていると、彼は私を抱き上げて寝室に連れて行った。
彼は私を大きな寝台の上に優しく横たえたあと、自分もその隣に寝転ぶ。
「君の本音が聞けて安心した」
アルフォンス様は私の髪や頬を撫で、穏やかな声で言う。
「手紙の中の君は、いつも『強くいないと』『誇り高い姫でいないと』と崇高な想いを胸に抱いていた。五歳の時に俺の言葉が君の胸を打ち、人生を変えたのは光栄な事だと思っている。けれど君はまじめな性格だから、高潔な生き方を常に自分に課してきたのだと思う」
高潔と言われるほどではないけれど、陰口に負けてふてくされ、王女らしからぬ態度をとったら終わりだと思っていたのは確かだ。
「……貴族たちは多少の悪を余興とします。ドレスの色が被っただけで『生意気』と下級貴族をいじめたり、思い人と少し仲良くしたからといって、気に食わない令嬢を集団で責めます。男性たちも噂が大好きで、自分の利になる情報を得ようと躍起になっています。気に入った令嬢がいたら、自分の家柄や財産をチラつかせ、半ば脅すように迫る者もいました。……みんな、自分の望みを叶えるためなら、多少の悪もやむなしと思っています」
アルフォンス様は私の手を握り、黙って話を聞いてくれている。
「でも私は王女です。それも、周囲から快く思われていない王家のはみ出し者。……それが少しでも逸脱した行為をしたなら、私が責められるだけでなく、家族にも迷惑をかけるのが目に見えています。だから、……なるべくいつも清く正しくいなければと思っていました」
「気持ちは分かる。俺も生まれた時から次期皇帝となるべく育てられ、皆の模範にならなければいけないと言われ続けてきた」
横になって彼の低く穏やかな声を聞いていると、気持ちが落ち着いてくる。
「だが結婚するしないは、君の意志で決めなければならない。政略結婚はよくある事だ。しかし俺は皇帝として命令するように妻にするより、フェリの意志で『結婚したい』と言ってほしかったんだ。君を大切に想っているからこそ、気持ちを大切にしたかった」
その言葉を聞き、また胸が一杯になってしまう。
出会った時からずっと、彼はこうして優しくしてくれる。
私を一人の人間として捉え、尊厳を傷つけないように最大限に配慮してくれる。
「俺の求婚を受け入れてくれるか?」
もう一度尋ねられ、私は泣き笑いの表情で頷いた。
「はい。……こんなに私を想ってくださる方はいませんもの」
「なら、指輪を受け取ってくれ」
アルフォンス様は起き上がると、ベッドサイドに置いていた先ほどの指輪を手に取る。
私は起き上がって乱れた髪を整え、ドキドキして大きなダイヤモンドの輝きを見つめる。
「不思議だな。守り、導いていきたいという想いが恋慕に変わった。俺も君に頼られる事で自身を叱咤し、今日まで進んできた。今の俺にとって、君はなくてはならない存在だ」
彼は私の手をとり、優しく笑う。
「真摯に己の運命に立ちむかう君を見て、いつも励まされていた。俺たちはきっといい夫婦になれる」
そう言って、アルフォンス様は私の左手の薬指にダイヤモンドのついた指輪をそっと嵌めた。
「綺麗……」
アルフォンス様は指輪を見て呟いた私の頬に手を当て、優しく微笑む。
(あ……)
――キスされる。
甘い予感を得た時には、私は彼の腕に囚われて想いの籠もった口づけを受けていた。
ちゅ、ちゅぷっと音を立てて何度も唇をついばまれ、唇が少し離れた隙に、必死に酸素を求める。
唇を重ね、抱き締められているだけで全身が火照り、幸せな気持ちに包まれる。
――私、彼に愛されているんだ。
キスされるだけでこの上ない安堵に包まれた私は、うっとりとしてアルフォンス様に身を任せた。
トロリと柔らかい舌が口内に入ってきた時は少し驚いたけれど、真似をしておずおずと舌を伸ばすと、レロリと舐められて全身にゾクリとした感覚が駆け抜けた。
「あぁ……」
キスは優しいだけでなく、ヌルヌルと舌を擦り合わせる事で淫らな気持ちになった私は、落ち着かなく腰を揺らし、疼く下腹部をもてあましている。
「フェリ……」
彼は私を押し倒し、ドレスの背中にあるくるみボタンを外すと、性急な手つきでコルセットの紐を緩める。
「あ……っ」
すると、下着で押さえつけられていた乳房がまろび出て、彼の視線を奪う。
「や……っ」
羞恥を覚えた私はとっさに両手で胸を隠そうとするが、彼はその腕を掴んでそっと左右に広げる。
「見せてほしい。君のすべてを知りたいんだ」
アルフォンス様は熱っぽい眼差しで言い、私の乳房をじっと見つめてくる。
(恥ずかしい……っ)
視線を感じた私は興奮を覚え、それに伴って乳首がプクンと勃起していく。
「君は美しい」
彼はまた私を讃美する言葉を口にし、覆い被さるように首筋に顔を埋めると、ツゥ……と舌でそこを舐め下ろした。
「ひ……っ、ぁあ……っ」
ゾクゾクッと身を震わせた私は、反射的に体を緊張させて彼の腕を掴む。
「堪らない」
アルフォンス様は熱でかすれた声で呟くと、上半身を起こしてジュストコールを脱ぎ、ベッドの上に放り投げる。
クラヴァットも緩めてシャツのボタンを外した彼は、普段の堂々たる皇帝から、一人の男に表情を変えていた。
厚い胸板に引き締まった腹筋を見た私は、サッと赤面して目を逸らす。
けれどアルフォンス様は私の手を握ると、自身の胸板に押し当てた。
「あっ」
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